懐かしのバレエ

バレエ、パフォーミングアーツ等の感想、及び、日々雑感。バレエは、少し以前の回顧も。他、政治、社会、競馬、少女マンガ。

日本的なるもの

2007-09-03 02:10:17 | Weblog
映画「蝉しぐれ」の世界。

日本的な美学の映像化、といってはどうだろう。

確か吉本隆明あたりが、「日本的」というのはどういうものか、実は未だはっきり

していないんだとかいう趣旨の発言をしていたことがある。

確かに、よく考えると案外解明されてないものなのかもしれないけれど。

とりあえず、それでも、あの「蝉しぐれ」の中で語られる、恋愛のすれ違いの話な

どは、あの展開が作者の美学の世界なのだろうと捉えてる。

例えば、主人公が、ヒロインが江戸に下ると知って、追いかける場面。

ワルガキたちに捕まり袋にされて、ヒロインをとめることが出来ない。

ああいう歯がゆい展開によって、切ない結ばれぬ純愛に終始するのだが。

たぶん、そういうことも含めて、完璧に破綻のない日本的美学なんだろとは思う、

一応は。

でも。

本当は、恋は、そうあってはいけない。

実の所、恋ゴゴロを抱く女の子が江戸へ行く、それを止めるとひた走る。

「ここ一番!」と言う時に目的を達せられる、「運を引き寄せる力」は、恋には必須

の能力だと思う。

最後は破滅でも、別れでも、1回くらい、逢瀬のひとつもないことには・・・。

こういうセンスは小説上は、西欧的なセンス、ということになるんだろうか。

「ロミオとジュリエット」などは典型的に、関係を前に進めることで話が回ってゆ

く。

「蝉しぐれ」の結ばれぬ純愛は、小説の作者たちがこころのどこかで願ってる完成

された世界、ということはなかろうか?

山田洋次監督語る、「寅さん」の女性や恋愛への感じ方も、ちょっと似てる。い

や、もっとさらにパワーアップしたシャイで、「いいな」と思う女性がいて、脈あり

でも、寅さんが「でも、やっぱり巧くいかないのではないか」と思って、心の中で

がっかりして、自分から恋をやめてしまう、そんな感じらしい。

(なんかかわいい)

こういう昔の日本人男性は、時々いたと思う。

これは「蝉しぐれ」の美学とはちょっと違うけど。


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「マラーホフ来日不可」、お大事に!

2007-09-03 01:53:18 | Weblog
公演降板したスターダンサー、踊る芸術監督、マラーホフがさらに具合悪そうで、

踊らなくても仕事で来日するはずだったのを、キャンセル!

本当に特別な芸術家で、「誰も怒ってないから、どうかゆっくり休んでほしい」と

言うのが、バレエファンの私の感想だ。

仕事に穴をあけるのは色々大変だと思うが、

今年日本公演でもカムバックしたボリショイバレエのウヴァーロフのように、

きちんと直してから復帰してほしい。

鉄人のように丈夫で精神的にも強く、今まで私はマラーホフの身体の心配をしたこ

とがなかった。降板歴もとても少なかった。

ここらで年貢の納め時か。

膝の再手術なんて痛そう・・・。

ファンじゃないけど、天才マラーホフよ、お大事に。


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映画「出口のない海」

2007-09-03 01:44:49 | Weblog
やっぱり塩谷瞬が出ていなければ見なかったと思う。

冒頭の男たちだけで狭い潜水艦艦内を暑がってるシーンだけで、リタイヤしそうだ

った。女性がでない映画ってのがダメなたちで。

でも全部見ると結構面白かった。

今の状況に慣れた身としては、この夏、クーラーないとダメ人間になり、クーラー

あっても夏ばてで、あの冒頭シーン見ただけで「戦争には行きたくない」と思う私

は軟弱もの。

40度のクーラーなし(当然)艦内で耐える青年たち。

自分はやりたくないと思うが、来世以降に男に生まれてきて、そういうシチュエー

ションになったら・・・とはたと考えてしまった。

今生、女で軟弱ものの自分には、論外である。

は~、暑そう、見てるだけでもうだめだった。

昔、戦争ものは多くあったのだけど、「風化度数」を考えるとこういう地道な戦争

ものもあっていいのかもしれない。

「私は貝になりたい」の氷を身体に巻く拷問も、冷え性感覚で見ていて腹こわしそ

うだと思った。

戦争へ行った人々にはとても言えない軟弱な感想。

我ながら凡庸な内容だが。


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