想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

偲ぶ夜に

2013-03-05 15:40:55 | Weblog
ドッグフード缶が一個、棚と棚の隙間に落ちていた。
片づけたはずなのに、散歩ウンチ袋の使いかけとかと一緒に
出てきた。
掃除をすると黒い毛を見つける。ふわっと綿ゴミに混ざり、
存在を主張するでもないが、あることはあるという具合。

消えないというより、消す必要もないけれど、揺らぐ。
悲しみからさみしさに変わって、埋めようのない隙間がかえって
くっきりとしてきた。





2011.3.12からの数日、どこへもいけずにいた頃、
たぶんわたしは彼がいたからだいじょうぶだった。
不在がかえって存在を知らしめるの日々がいまも続いています。

これからずっとそうでしょうけれど、それは幸せなことなんだと
思いもします。
よろこびはふかいと、跳ねたりはしゃいだりではなく、しんとして
います。通り過ぎて泡のように消えないよろこびだから
底の底のほうでじっとしています。

森の春はまだ先なので、もうすこしわたしはさみしがって
だらだらとしているかもしれません。
こんなんじゃなあと情けなく思って鼓舞してはいるのですけれど、
隙間は日々、くっきりとし、今はその縁が鋭角なのです。
ほんとうの春がくるころにはまろやかな縁取りになるでしょうか。




コメント (4)
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