シャルル・デュトワ指揮、ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団、ピアノ独奏:マルタ・アルゲリッチ。2009年4月27日、ロンドン、ロイヤルフェスティバルホールにて。
Prokofiev
The Love for Three Oranges: Symphonic Suite
Piano Concerto No.3
Romeo and Juliet (excerpts)
Charles Dutoit: Conductor
Martha Argerich: Piano
Royal Philharmonic Orchestra
ロンドンって本当に良い所だ。高くても50£でこの演奏が聴けるのだから。月曜とはいえ空席があるのは勿体無い!
月並みな表現だけれど、アルゲリッチは本当に上手い。幾ら早いパッセージでも、とても正確だし、音も粒揃いで、きれい。やっぱり、ここのコンサートグランド、とても良いピアノだったんだ(笑)。
プロコフィエフのピアノ協奏曲、殆ど聴いたことが無いけれど、ぐいぐいと引き込まれて、一瞬たりとも飽きることがない。尤も、殆どピアノパートのことしか覚えていない。オケがいたことを忘れている。
初めて生で聴くアルゲリッチ。とても自然で、演奏中「あちら側」へ行ってしまうピアニストが結構多い中、彼女は淡々と、あくまで「こちら側」で弾いている。見た目は、ちょっと既に魔女っぽいけれど。
アンコールはショパンのマズルカを2曲。あまりに美しい音で、涙がこぼれそうになる。
デュトワは、N響とも関係が深く、その顔には見覚えがあるが、背中をこんなに長い時間まともに見たのは初めて。もう70歳を超えているにもかかわらず、素晴らしいスタイルで、貴族的。指揮も「殿様」っぽい。まるで、
「お前、弾け!」
とオーケストラに命じているように見える(特に顔が見えないと-ファニーフェイス、と思いませんか?っと、失礼!)。
しかし、お殿様の指揮、というのはちょっとつまらなかったりする。昨年オケで演奏した曲だというのに、「ロメジュリ」では一瞬気を失ってしまった。オケの技術力はともかくとして、私達のオケのほうが、面白い演奏だった、気がする。
ドュトワは現在このロイヤルフィルハーモニー管弦楽団の主席指揮者兼芸術監督である。殿にはやっぱり「ロイヤル」がお似合いなのだろうか。