風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

数字の海

2005年01月07日 | 清水ともゑ帳
先日、図書館から「予約の本が準備できた」と電話が入った。
予約して3ヵ月以上も経っていたので、何を頼んであったのかすら忘れてしまっていた。
最近のベストセラーで、映画化もされ動員数もなかなかの話題作。
図書館の本できれいなものなど手にしたことがなかったのに、これは紐までが製本時の位置に
おさまっている新品のものだった。
けれど、半分読んだところで、どうしてもつまらなくてそのまま返却した。
今の私の気分に合わなかったというだけで、時間が経てばもうちょっと違う捉え方ができるのかもしれないのだが…。
たぶん、出版部数が百万部突破とか、動員数がどれだけという数字に、私が白けてしまっていたのかもしれない。
数字というのは、とかく世間の注目をひく。
星占いによる運の良し悪しのランキング、番組視聴率、ここ数日では地震災害の援助額など、
身近なことから、国際的な問題までさまざまだ。
近ごろは特に、番組視聴率、本やCDの売上、映画の動員数などの数字がクローズアップされるせいだろうか、制作者側の伝えたい想いが薄まっているような気がしてならない。
本来、伝えたかったもの、表現したかったことは何だろうと思う。
また、「年商○億を目指す」というのを、一番の目標に掲げている企業も私は好きではない。
どうも消費者や利用者が置き去りにされているような気がしてならない。
一時的な数字を追って、数字しか見えなくなってしまうと、最初に目指していたものの本質が変わってきてしまう。
数字に対する意識はすごく大切。
それがあってこそ向上心が生まれるものだと思う。
個人的な価値観にすぎないのだけれど例えば、いいもの、おいしいものを作ろう、喜ばれるものを売ろうと追求した結果が数字になって表れた、という構図の方が私は好きだ。
数字は、努力やがんばりに対して影のようについてくるものであると思う。
影だけを追い求めるのではなくて、影(数字)を振り返りつつ前進を続けていけたらと思う。
災害に対する寄付、援助もとても重要なことだけれど、これがおかしな競争にならなければいいなぁと思う。
数字に振り回され、数字の海におぼれてしまったら悲しいんじゃないか。
だからこそ、時々立ち止まっては、初心にかえる、基本に戻らなければと思う。
年頭の抱負をいだいたばかりだけれど、いろんな数字から、これまでの自分の仕事における姿勢や
日常生活なども省みる一日だった。
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