酔っ払いどもに 呼び出されて
飲むこと 2時間。 いま 帰宅。
外は 台風の接近のあおりを受けて 雨であった。
ふらりと 外へ出る。
飲み屋から アパートまでは 数分の距離。
「な~に。大した事はあるめぇ~」と歩き出す。
そのとき 飲み屋のママが 私に向かって 叫んだ。
「濡れちまうよ。この傘 持ってきなぁ~」と…
ふとした時に 思いもかけぬ場所で
厚き人情に 触れた瞬間である。
都会じゃ お目にかかれぬ 客への 心遣い。
いいねぇ~ こんな瞬間。
初めて お邪魔した店。
小生は 所詮 一見の客にすぎぬ。
そんな客に なんの躊躇いも見せずに 傘を差し出すママ。
これぞ 田舎地方都市の 風情である。善哉。