単身赴任先の壁掛け時計は【電波時計】である。
勝手に電波をキャッチして、勝手に時刻を修正している。
まぁ 最近は どこにでもある時計である。
ところが こいつ… 深夜に時刻調整をする…という悪い癖がある。
夜中に 妙な物音で目が覚める。
「カタタタタタタタ…コココココココ…」
寝ぼけマナコで「なんじゃ?」とあたりを見渡す。
暗がりで 目にするのは…
異常な速さで回転する…
時計の針である。
これ、暗闇で見ちゃうと かなり怖いよ。
一瞬、自分が【時を駆ける少女】になったような錯覚を覚える。
そして 私は 悪夢を振り払うように ベッドの中で歌うのである。
「♪ と~き~を~ かけぇ~る 少女~」なんてね。
夜中に暗闇で歌を歌っているオジサンも…
傍から見れば 相当に不気味な存在である。