墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平成マシンガンズを読んで 177

2006-12-08 21:09:09 | 

 死神は出前を取るべき『おゝもり庵』に電話した。
 なんか、話してる。
 やがて、死神は私の方を向いて重大発表した。
 受話器は片手で塞いでいる。

「大変だ、出前は1500円からだそうだ!」

 私は驚いてメニューを確認した。『冷やし中華』720円。
 720円×2=1440円。
 60円ぐらいオマケしろ!!

 なんだろう。どうしたらいいんんだ?

「なんでもいいから追加しろ。でないと冷やし中華は出前されない!」

 なんたること。
 何が良いだろう。ライスは150円だ、ライスにするか。でも、冷やし中華とライスの相性は悪そうだ!
 ライスの次に安いのは、『もりそば』か。

「死神、もりそばを追加するんだ!」

「えっ、もりそば?
 冷やし中華にザルソバかよ?」

「大丈夫。『冷やし中華定食』は疑問だけど、ソバならツルツルッと問題なく食べられる」

「つるつるって」

「いいじゃん。『もりそば』なら半分こして食べられるから。
 半分こして食べようよ。そうすりゃツルツルだよ」

「はんぶんこ。
 あんたは『名犬ジョリィ』か?
 まぁ、いいや。
 後、『もりそば』ひとつで」


平成マシンガンズを読んで 176

2006-12-08 20:46:12 | 

「冷やし中華は、夏の食べ物では最高ランクかもしんない!」

 私がそう言うと死神があきれたような目で見ながら言った。

「冷やし中華なんかそんな旨いモンでもないだろ?」

 確かに、今年はもう食べられないと諦めかけていた冷やし中華を食べられる嬉しさに少し声が高くなったようだし言い過ぎたかもしれない。でも、そんな風に言われるとムカつく。それに、冷やし中華は最高なのだ。

「へぇ、死神は冷やし中華が嫌いなんだ? 千切りのキュウリだよ」

「千切りキュウリぐらい冷やしタヌキにだってのってらぁ」

「卵焼きも千切りだよ!」

「ばか言うなよ、卵焼きは寿司屋のが一番旨い」

「ハムも千切りだよ!」

「本格派はハムじゃなくて叉焼だろ」

「そこにね、いきなり大きめにカットされた真っ赤なトマトがだよ、ゴロンと横たわってんだよ」

「トマトだったら丸かじりの方が旨いよ。ってか、冷やし中華にトマトだなんて御家庭向けだな」

「海苔だよ! 細切りの海苔がポワンとてっぺんに積まれてるんだよ!」

「まーな」

「そして隅に紅ショウガが食べてくれたら良いなって顔して淋し気に色を添えている!」

「うん、紅ショウガも残さず食ってやんないと可哀想だ」

「でね、黄色い練りガラシが当然の顔して居座って!」

「あー、いるいる。何故かいるよな」

「毎日そうめんみたいな、白と茶色だけの夏のお昼ご飯。
 そこにこつ然と現れる白昼のものすごい色の洪水。
 それが冷やし中華!
 豪華絢爛!
 才色兼備!
 赤、白、黄色、ピンクに黒!
 思わずため息ついて『素敵』と一目惚れして、こわごわと箸でつついて麺の一筋そっと口に入れるなら、思わず口の中に広がる甘酸っぱさとシコシコ麺のシャーモニー!
 あぁ、おいしい。
 すっとすすれば、見た目美しい具は固さと柔らかさの微妙な歯触りを具現化し、口の中にはノリとキュウリとハムと麺が甘酸っぱくも豊かな味わい。
 シコシコ サクサク ムニュムニュ パリパリ。
 箸休めにそっとトマトをほおばれば、トマトの酸味が甘酸っぱさを増大。さらにおいしい」

「分かったよ。
 冷やし中華は旨いよな」