墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

みこし

2005-08-28 17:32:20 | まち歩き
 家の近所のスーパーおおたまで帰って来たら、大きな神輿を7人がかりで台車で運んでた。台車ったって、そんじょそこらのコロコロ付きの安物台車ではない。しっかり空気の詰まったタイヤ付きの立派な台車だ。神輿を積んだ台車は、交差点で一時停止した後、「せーの」のかけ声と共に左折して立川通りに向かって行った。
 スーパーおおたでビールを買って店を出たら、日に焼けた老人が一人で、台車に乗せた子供用と思われる小さな神輿を運んでいた。確かに一人でも運べるほどの神輿だが、さっきの神輿が大人7人がかりなら、この神輿にも、最低2人は必要だ。なのに、日に焼けた老人はたった一人で運んでいる。たぶん、この老人は多人数で大神輿を運ぶより、一人で子供用神輿を運搬することを選んだのであろう。たぶん手伝うと申し出た若い衆の協力を拒んでまでも。
 老人は今日だけでなく、今までずっと、こんな生き方を選んで生きて来たのだろう。


2005-08-28 17:06:25 | まち歩き
 昼過ぎからチャリに乗って、少し祭り見物をしてきた。
 ものすごい人だった。普段は、車がぎっしりつまって常に渋滞している見慣れた道に交通規制がひかれ、山車と神輿と歩行者の楽園になっている様子には、なんとなく感動してしまう。特に若い女の人が半ケツで、さらし巻いてキリリとはちまき巻いて大太鼓を叩いている姿には、特に臀部に見惚れてしまう。
 でも、腹の底まで響くような大太鼓もいいが、俺は祭り囃子が好き。単調なメロディの繰り返しにしかすぎないように思われるのに、それが聞こえて来るとつい足は止まり耳をすましてしまう。祭り囃子に、なにか哀愁にも似た懐かしさと、祭への期待感、それに伴うあせりを抱いてしまう。祭り囃子はいい。


徒然草 第三十三段

2005-08-28 12:16:27 | 徒然草
 今の内裏作り出されて、有職の人々に見せられけるに、いづくも難なしとて、既に遷幸の日近く成りけるに、玄輝門院のご覧じて、「閑院殿の櫛形の穴は、丸く、縁もなくてぞありし」と仰せられける、いみじかりけり。
 これは、葉の入りて、木にて縁をしたりければ、あやまりにて、なほされにけり。

<口語訳>
今の内裏(新しい内裏。焼け落ちた二条富小路の内裏を再建した)作り出されて、有職の人々に見せられたら、いづく(どこ)も難なしとして、既に遷幸の日も近くになって、玄輝門院が御覧となり、「閑院殿(焼け落ちた内裏)の櫛形の穴(くしがたの、のぞき窓)は、丸く、縁(ふち)もなくてぞありし(ないようであった)」と仰せられた、いみじ(すばらしい)ことであった。
これは、葉の入りて(切り込みが入っていて)、木にて縁をしてあったが、誤りとして、直された。

<意訳>
 新しい内裏が再建され、有職の方々に見て頂いたところ、どこにも難なしとなり、花園天皇が新内裏にお移りになられる遷幸の日も既にまじかとなっていた。ところが、花園天皇の祖母であられる玄輝門院が新内裏を御覧になられたところ、「のぞき窓が、ひし形ですが、かっての閑院殿では、丸く、ふちもないようでありました」と仰られたそうだ。すばらしいことである。
 この窓には、切り込みが入り、木で周りにふちをつけていたが、これは誤りであるとして直された。

<感想>
 テキストによると、問題の窓は、清涼殿の鬼の間と殿上の間との仕切り壁に設けられた覗き窓のことだそうだ。これは、尊いお方たちが外の役人どもの様子を覗き見る為に作られた窓なんだそうである。
 ようするに、本当は扇形であったはずの窓が、新築の内裏では横に長いひし形となっており、なかったはずのふちまでつけられていた。それを見た玄輝門院(皇后)が昔の内裏と違うと、注意したという話しである。
 古い内裏が焼け落ち、新しい内裏が再建されたのは、焼失から58年後のことである。だからこそ、当時を知る玄輝門院の発言には意味があったのだろう。ちなみに、内裏が焼け落ちた時の玄輝門院は14歳の少女、新築の時には72歳となっている。
 兼好は、この三十三段で玄輝門院の指摘を「いみじ」と評価している。十代の少女が覗き穴から世間の大人たちをどんな目で見ていたのだろうかとか、長い年月がたっても昔の様子をきちんと覚えておられるのはすごいとか、いろんな感慨が入り交じっての、「いみじ」(すごい)なのであろう。
 ところで、昨日までは、推定年齢37歳の兼好法師が書いていたが、この三十三段以降は40代後半の兼好法師が書いていると推測されている。そのためか、この段以降は文章にも落ち着きが出てきて、文のかかりと結びが判りやすくなり、読みやすくなるが、例えが難しすぎてやっぱり判んないやという文章が多い。













原作 兼好法師

現代語訳 protozoa

参考図書
「徒然草」吉澤貞人  中道館
「絵本徒然草」橋本治  河出書房新書
「新訂 徒然草」西尾 実・安良岡康作校注 岩波文庫
「徒然草 全訳注」三木紀人 講談社学術文庫


白いビニール

2005-08-28 10:19:13 | まち歩き
 今朝はお休みなので、矢川緑地へ朝の散歩に出かける。
 今日は立川で大きなお祭りがある。立川駅の南口では街中が祭となる。立川の駅前に行けば一日中なんらかのイベントを催しているはずだ。外を歩いていると、電柱や木、アパートの手すりなどを利用して、白いビニールのロープが通り沿いにめぐらせてあり、それには細い針金で白い幣束がくくりつけられ風になびいている。
 幣束はくもり空の中で、奇妙な光沢を放ちテラテラと白く輝いている。どんな素材で出来ているのかと気にかかり、手をのばして幣束に触ってみたら、ビニール製だった。白いビニールひもに、針金でくくられた白いビニールの幣束。
 ほっとくと、なんでもかんでもビニール製になるな。ちなみに押し入れに突っ込んである俺の恋人もビニール製である。