後れ馳せながら、ようやく西日本が梅雨入りしたと思ったら、沖縄は梅雨明けとか。東京も、六月が終わろうという時期に梅雨本番の模様。
本日は、毎年楽しみな恒例のテディベアデー。最初から続いてるイベントって、もしかして三菱電機デーとこれだけかな。
ホーム2試合続けてレイニーデイになってしまいました。なんとなくマリノス戦はいつも天気に恵まれないですね。
マリノス戦といえば、玄人好みの地味なロースコアの印象が強いのですけど、ここ二年はすっかり雰囲気が変わりました。リーグ前半戦最後の試合はくしくも首位攻防の、前半戦のハイライトとなる楽しみな対戦です。You'll Never Walk Alone♪
試合後に、建英の壮行会がありました。偶然だけど、プロに関わった2チームで送り出すことができてよかったですね。スピーチ。胴上げ。チャント。
攻守ともにマリノスらしさがあふれた、マリノスの独り相撲になりました。ひさしぶりにゴレアーダ。
東京はベストメンバーです。シフトはスクウェアの4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは成と諒也。CMは洋次郎と拳人。メイヤは今日は右に慶悟左にサンホ。これが効きます。2トップはディエゴと謙佑です。
マリノスもベストメンバーです。シフトは4-2-3-1。GKはパク・イルギュ。CBはチアゴ・マルチンスと慎之輔。SBは右に和田左にティーラトン。CMはあまじゅんときー坊。WGは右に仲川左に渓太。トップ下はマルコス・ジュニオール。1トップはエジガル・ジュニオです。
対戦時点で最小失点と最多得点という、首位攻防よりも楽しみの理由はむしろそっちですね。最も守備力の高いチームと最も攻撃力の高いチームとは、イデオロギーの対決ともいえます。ただし、試合の結果を分けるのは、光が当たる数字ではなく、その裏側の数字だと思います。東京の得失点差11に対しマリノスは7。リーグ全般で得点数が極端に少ない今年ですから、東京の数字は特筆すべきものでもないのですけど、マリノスは格別。得点数はACL参加ラインに匹敵するのに、得失点差だと中位クラス。それでも昨年の得失点差ゼロに比べれば格段の進歩です。いっぱい取っていっぱい取られるポリシーの成長の行く末が楽しみな2019年。おそらく、いつの時代劇でもそれなりのポジションを確保できる、東京のような堅実なポリシーと当たってみて、その真価が測れると思います。
ポステコグルーマリノスの闘いかたはいまさらなので省略します。昨年からの上積みだけをみてみます。編成上の変化は明白。ポステコグルーサッカーの象徴といえるSBにティーラトン。そして前線にエジガルとマルコス。チーム得点数は昨年と同程度だけど、アタッカーの得点比率が上がっています。まして二枚看板は目下リーグ一位と二位。チーム得点王のウーゴはかならずしもレギュラーだったわけではないのですけど、今年は明確にエースで取る方針であり、それが実現できているのでしょう。
作戦上の違いはそれほど顕著な差を感じません。無駄がなくなって、洗練された印象です。まずサイドアタックに特化していること。マリノスのフィニッシュパターンはほぼクロス。ビルドアップが変態なわりには、攻撃そのものはオーソドックスです。クロスに特化することで、クロスのバリエーションを増やそうという意図だと思います。二枚看板に取らせるポリシーだといいましたけど、クロスに合わせる役は二枚看板だけでなく、SBがほぼかならずゴール前に顔を出しています。このポジションギャップが、マリノスのテーマなのです。
もうひとつはスピード。おそらく攻撃開始からシュートまでの時間が昨年よりも速くなっていると思います。これもサイドアタックに特化した産物でしょう。ポゼッションスタイルですと、東京のようにリトリートする相手にスピードダウンせざるを得ないのですけど、マリノスはなんら迷うことなくサイドスペースにどんどんボールを運びます。
最後の差は、昨年より守備がタイトになっています。試合を通じて、二枚看板を含めボールホルダーへのチェックがはやく、運動量が高い。とくにマルコスは攻守に行動範囲が広く、かつスピードもあるので、得点力やチャンスメーク力だけでなく、献身性もなにしろ目立ちます。実際の身長よりも大きくみえるのが不思議ではないくらい。ルックスといいキャラクターといい、マリノスはエポックメイキングな外国人選手を得たと思います。
序盤は、その守備のギアをトップに入れ、前線から執拗に東京のボールホルダーを追います。いわゆるかましなのでしょうけど、マリノスのように取るけど取られるお祭りチームにとっては、お祭り状態を能動的に作る意味は他のチームよりもあり、効果が高いと思います。東京の試合では後半に見られるオープンなどつきあいを、マリノスの場合はオープニングから仕掛け、意図的にカオスを作るのです。
東京は、マリノスの、とくに最終ラインを狙ったフォアチェックを焦らずいなします。マリノスの狙いはたぶんもうひとつ。東京のカウンターの起点を予防する意図もあったと思います。とくに洋次郎、モリゲ、諒也がターゲットだったのでしょう。ともあれ、マリノスのオープニングラッシュを受け止めることができました。いつものように攻撃権を渡しつつ、中盤の支配力を徐々に高めようとした矢先、カウンター一閃をくらいます。
15分。自陣でボールを回すマリノス。和田がサイド低い位置でパス回しに参加していたのでチャンスとみたのでしょう。サンホがチャレンジします。これを見たきー坊がサンホの裏を取ります。和田はきー坊にパス。前方を確認しながらパスを受けたきー坊は、ダイレクトでさらに前方にロングスルーを送ります。これがラインギリギリでかつ遠かったので諒也の足が一瞬止まります。そこに走りこんでいたのは仲川だけ。ここで勝負ありました。一気にゴール前に押し寄せるマリノス攻撃陣は、スピードを保ったままアタック。仲川はドリブルインしながら間合いをはかります。狙いは、やや遅れて入ってくるマルコスでした。彰洋の手をかいくぐった仲川のクロスは、トップスピードで入って成の前に入ったマルコスに合いました。東京0-1マリノス。
数的不利ではなかったのですけど、あっという間だったので勢いまではコントロールできませんでした。結果的に先制パンチをくらったのでマリノスの思うつぼにはまっちゃったかなと心配になった矢先、杞憂にさせてくれる幸運な同点ゴールが生まれます。
17分。彰洋のGKから。彰洋のロングフィードを最前線で洋次郎がフリック。左奥に流します。洋次郎に和田がついていたので、フリックしたボールは広大なスペースに単独で転がります。そこに走りこんだのはサンホ。ドリブルでペナルティエリアに入ったサンホは、コースを確認して右足シュート。これをイルギュが後逸します。東京1-1マリノス。
チャレンジしないとなにも始まらないし結果も生まれないとは、まさにこのゴールなんでしょうね。サンホに求められることはシュートへの積極性。どういう形であれ、シュートすること。東京には2トップ+アルファがあることを印象づけることが、後半戦に向けたなによりのポイントです。今日はもとより明日のためにも、もしかするとターニングポイントになったゴールかもしれません。
このゴールによって、東京は今日の作戦の有効性を確認できました。なので、ここからは東京も能動的に仕掛けはじめます。イニシアチブが東京にわたり、試合のオーガナイザーが決定した瞬間でした。東京は今日、メイヤを左右入れ替えました。左サイドで仕掛ける意図です。和田を狙ったというよりか、サンホの右足のシュート力を重視したのだと思います。そして、サンホにディエゴを絡めます。ディエゴとサンホが入れ替わりでサイドにはり、基点を担います。ここに諒也が加わって、超高速でリズミカルな勢いを生み出します。後方から外連味のないロングフィードが左奥にどんどん送られ、ポゼッションのマリノスに対しカウンターの東京という構図が形成されました。
これが重要でした。マリノスの強みは、実は東京とベースが似ています。最先端のトレンドである、ハイラインからのチェックを根拠とした超高速のカウンターです。先制点が象徴するように、マリノスに、カウンターを仕掛ける形を作られることが東京には最も回避すべき状況でした。マリノスにボールを渡し、マリノスが気持ちよくマリノスのリズムで闘えば、マリノスらしくSBがポジションを開けてくれます。そして、またも左ロングカウンターが炸裂します。
38分。マルコスの左CKをセーブした彰洋のロングスローから。これを洋次郎がセンターライン付近で受けます。マリノスはいちおう四人いますけど、ラインもマネジメントもなく、カオス。そこに、オフサイドから戻るサンホと入れ替わるように、謙佑が逆サイドを長駆かけ上がっていました。洋次郎は謙佑にロブスルー。謙佑はこれをペナルティエリアやや外で受け、そのままロブシュート。これがイルギュの手をはじき、ゴールに吸い込まれました。東京2-1マリノス。
雨でハンドリングコントロールがききにくい状況だったのかもしれません。マリノスが圧倒的な強さを身につけるために重要なポジションは、だれがどうみてもGKとCBです。攻撃時のラインにCMを下げるなど、Jリーグのトレンドのセーフティネットを取りいれつつ、徐々に変態要素を薄めているのだと思いますけど、依然守備は個人任せであることには変わりありません。この路線でいくなら、補強の方向性は明確。早々、東京のオーガナイズが成立して、前半は逆転でリードしたまま終了。
こうなってしまうと、今日の結末はおおよその予想の範囲です。後半も流れは変わらず。てかマリノスの変態ポリシーに、今日の状況をアジャストする思想すらそもそもなく。マリノスの変態ビルドアップは、一見すると変態ですけど、目線を人ではなくゾーンに移せば案外オーソドックスです。たしかに数的優位なのだけど、マリノスが使えるゾーンを絞れば数的優位は局面でリセットされます。そうなると、あまじゅんが上がれず和田もティーラトンも中途半端で、さらにはマルコスも下がり、肝心の数的優位すら機能しません。もちろんマリノスは、本来はリトリート上等のチームだと思います。それを許さなかった東京守備網の堅さの勝利です。東京の守備力vsマリノスの攻撃力というテーマは、ここにおいて軍配が決しました。
55分。ティーラトンがタベーラのイメージで渓太に預けたところを成が狙います。イーブンになったボールを洋次郎が拾い、そのまま持ち上がってあまじゅんときー坊を引きつけます。二人とも振り切った洋次郎のパスコースは、右にディエゴ左に謙佑。洋次郎は謙佑を選択します。アタッキングサードに入ります。チアゴを引きつけた謙佑は、ゴールライン際から逆サイドにロブクロスを送ります。クロスが、ファアにいたあまじゅんの図上を越えた先にいたのはディエゴでした。東京3-1マリノス。
立て続けに。
62分。自陣ペナルティエリ付近で、仲川からトランジションした拳人がフリーのサンホにパス。サンホはドリブルで一気に加速します。カウンター発動です。アタッキングサードに入ったサンホは一度ディエゴに預けます。チアゴと和田を引きつけたディエゴはサンホをさらに走らせるスルー。ゴールライン際で拾ったサンホは、チャンス無しとみて諒也に戻します。ここから、珍しく華麗なショートパス回しで崩します。諒也、謙佑、サンホ、慶悟が絡むパス回しから、諒也が中央にスライド。この時、和田の背後から謙佑が抜けだそうとしていました。これを見た諒也がスルー。フリーになった謙佑のシュートはイルギュが弾きますけど、そこにつめたのはディエゴでした。東京4-1マリノス。
エースが戻ってきました。ディエゴを元気にするのは+アルファ役の活躍次第。ディエゴを、チャンスメーカーではなくゴール前で消せるようにしないといけない。あらためて実感できましたね。優勝の鍵は+アルファ。
セーフティリードに入ったので健太さんが動きます。洋次郎に代えてアルを同じくCMに投入します。現時点ではセカンドアタッカーがポイントだけど、健太さんは新たなパターンを作ろうとしています。アルは、これまでのパターンに比べて明らかに異質です。結果が伴えば加速しそうな予感がします。
状況を踏まえ、ポステコグルーさんも動きます。あまじゅんに代えて三好を同じくCMに投入します。マルコスが動き勝ちになったので、中央にアタッカーとして据える意図だと思います。ここは、三好のテクニックよりアルの存在感が勝りました。むしろリードしている東京の勢いが加速します。
そこで健太さんが動きます。謙佑に代えて晃太郎を左メイヤに投入します。サンホがトップに回ります。謙佑のコンディションを考慮しつつ、守備力の強化を狙いました。加えて、今日の勢いに晃太郎を乗っけることで、晃太郎の積極性を引き出そうという意図もあったと思います。
直後にポステコグルーさんも動きます。マルコスに代えて山谷を投入します。当時にシフトを4-4-2に変更します。山谷はトップに入ります。直進的な推進力を得たいという意図だと思います。直接的ではないけど、なお攻めよというメッセージが奏効します。
83分。マリノスのビルドアップから。きー坊のパスを受けた慎之輔がティーラトンにパス。ティーラトンはさらに前方ライン際の渓太に渡します。アタッキングサードに入ります。三好とのタベーラで抜け出した渓太は、アーリー気味にファアにロングクロス。彰洋の手を越えたところにいたのは仲川でした。仲川は右足ダイレクトで合わせます。これはポールに当たりますけど、跳ね返ったボールは彰洋に当たってゴールに吸い込まれました。東京4-2マリノス。
なんだかカオスになる恐れもあったので、健太さんが〆ます。ディエゴに代えて輝一を同じくトップに投入します。前線をフレッシュにしてマリノスに脅威を植え付ける意図でしょう。
結局カオスにはならずに済みました。このまま試合終了。東京4-2マリノス。You'll Never Walk Alone♪
シーズン折り返しを首位で通過することができました。いろいろあったので実感なく、後半戦のイメージが確たるものではないので不安いっぱいの折り返しです。ディエゴのいうとおりまだ何も成し遂げていません。でもまあ、落ちつかなさがありつつも、首位ターンの嬉し恥ずかしを満喫してます。WE ARE TOKYO♪
まずは、前半戦の闘いかたを踏襲できる目処が立ちました。当面の+アルファは、サンホで引っ張って晃太郎で〆る継投策でいくでしょう。新たにアルモードのチャレンジもしていますし、どうやら中断期間の積み上げはしっかりとできているようです。今年は小さな中断がいくつかある変則日程ですから、まだまだ積み上げるチャンスがありますし、そこをどう過ごすかが優勝への道程の鍵のような気がします。ディエゴのシュワッチ。サンホのシュワッチ。
次は七夕。ユニ配布もあるし、いっぱい集まってほしいですね。