いただきます

手のひらを器にして

時間の水をいただきます

器にこぼれるひかりは

思いがけないことの瞬き

ときに揺れときに静まる

この時間をいただきます

美味しくいただきます

ひとつぶの手紙

大きな海がある

連なる山がある

その樹の下を葉が埋めつくし

その樹の上を鳥がわたり

いくらでも変わりうる

果てしないかたちの種子が

この世の庭にこぼれひろがる

そのひとつぶが

手紙を書いている

会うこともない誰かに

声をかけるために

その目の前の路に

灯りをともすために

あの緑いろの葉っぱのように

時間をつぶす　

つぶすんですか

もったいないことです

おひさまがのぼる回数は

誰もわかりません

ただ　おひさまに向かう

こころが望むところへ向かう

それだけで　

あの緑いろの葉っぱのように

しあわせ

おちびさん

ごはんだよ と

呼ばれても聞こえないほど

熱中してたちびのわたし

あのおちびさんが

まだここに

ここにいるんだよ

ずうっと守っていくんだよ

死ぬまで一緒にいくんだよ

宝さがし

何のために

うまれてきたか？

決まってるだろ

宝さがしにきたんだよ

ただ それだけ

空の色は

名づけられない

風の音は

文字にできない

意味も使命も知らないけれど

流れる水は　うたうだけ

目覚めた種は　芽吹くだけ

素直な脳

ひとは

脳がつくりあげるものを

見ている

他人の脳に征服されるべからず

洗いたての素直さで

目をあけて世界を見る

素直な脳で生きるが勝ち

握手

友だちと握手

おんなじように

自分と握手

そのあとは

いい旅になりそうだ

ひとはなぜ満ちたりるのか

散歩道がひとつふえました

今朝は緑が降るようでした

坂道の多い街を

てくてく歩く毎日です

ひんやりとした眩しい朝

目がさめたとき考えました

ひとは　なぜ　満ちたりるのか

幸せかどうかわからないけど

ひたひたと満ちたりるために必要なものは　

愛着　だと思います

善悪でも　好き嫌いでもなく

執着という似たものでもなく

愛着　が　必要です

場所に人に土地の記憶に

生きているこの世に

自分自身に　自分につながる人に

静かに愛着をもっていること

カーテンを開けながら

そう考えました

一番いい夢

おやすみなさいを言う前に

今日の一番　なんだったかなと

明日の一番　なにかなと

思い描いてください

こころ楽しいことを思う

それは生きものの使命です

おやすみなさいを言ったなら

こどものようにころころと

一番いい夢　みてください

ごきげんな月

ぴかぴかの

つやつやの

最高のまんまる

空に浮かんだ

ごきげんな月

見上げてスキップ

うさぎもスキップ

覚悟の花

美しいのは

覚悟の花

それは　

刃物でない

まるで　

あかりのように

照らすのです

みつめるひとを

あたためるのです

雨あがりのまち

雨あがり　こぼれる緑

通り過ぎる電車

踏切の縞模様

待っている人の靴が濡れている

屋根　ドア　ガーベラ

咲きたてのはなみずきの

花びらのさきの紅

忘れものの新しい傘

路で跳ねてあそぶ

油断だらけの若い雀

はしゃぎたいのは　

みんな一緒

ひとりじゃない

ひとりだけど

ひとりじゃない

どこにいても

ひとりじゃない

なにがあっても

ひとりじゃない

ひとりだけど

星座のように

つながっていて

ひとりじゃない

会えなくても

ひとりじゃない

雨が降る

音たてて　雨が降る

拍手のように　雨が降る

どんなひとにも

おんなじように

洗い流せと　雨が降る

うまれてすぐのこどものように

新しい目で見るのだと

音立てて　雨が降る