【 不毛地帯（６） 】

去年の大河ドラマで上杉景勝を演じ、加藤清史郎に次ぐ
儲け役となった北村一輝が俳優として売り出しているが、
ドラマ「不毛地帯」でも、唐沢のライバルとして登場する
東京商事の鮫島役、遠藤というらしいが、ＮＴＴ西日本の
ＣＭに起用されている。

商社仲間の中には、昼間の仕事から解放された夜には
共にディナーのテーブルを囲むのに、何の抵抗も感じずに
すむ者が殆どであったが、近畿商事に擬せられている
商社の人間だけは誰もが敬遠した。

ボクは自ら起業して三十年が過ぎたが、かつて大阪御堂筋に
建つ住友生命のビルの中にオフイスを構えていた時期に、
ボクが独立したことを知って、多くの他社の人々も訪ねて
きてくれたが、ついに近畿商事の人間だけは一人として
現れなかった。
ボクが心を許した者が一人も居なかったのだから当然のことだ。

結構大勢居たこともある女子社員たちに、如何に良い縁談
だと思っても、近畿商事、野村証券、住友銀行の社員との
結婚だけは、やめておけと忠告もしていた。
近畿商事以外は実名を挙げたが、その通りだから文句はあるまい。

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