二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

続いたネタ19 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-01-04 23:52:38 | 習作SS

アメリカ合衆国 ワシントン


「ふむ、日本の国会はドラゴンに襲われた避難民について、
 ジエイタイとインペラルジャパンアーミーの不手際で犠牲が出たと疑っているのかね、補佐官?」

「はい、大統領閣下。
 野党と現政権に反抗的な与党の一派が音頭を取っています。
 それとマスメディアも与党に批判的で最悪現内閣の首が飛ぶことも考えられます」

「ふん、メディアと野党はいつもそうだ。
 小さいことを如何にも大きな問題であると騒ぐ」

世界に君臨する超大国の中枢で、
ディデル大統領は銀座に現れたゲートに関する日本の政治動向について報告を受けていた。
特に注目しているのは異世界で自衛隊と日本軍が能動的に動いた結果、発生した犠牲が政治問題となっている事である。

自衛隊と日本軍がコダ村住民の避難を手助けし、
襲ってきたドラゴンから守るために戦闘し村人に犠牲が出たものだが、
日本のマスメディアの論調は「自衛隊と日本軍が勝手に戦って住民が巻き込まれた」
と言うもので、現在の内閣はマスメディアから総攻撃を受けており内閣の支持率低下が止まらない。
イラクやアフガンの戦争で口だけは勇ましい反戦論者を知るディデル大統領は内心日本政府に同情していた。

「特に現内閣打倒を目指す市民団体の動きが活発で、
 先日は国会前と銀座で辞任を求める大規模なデモが発生したの報告が大使館から入っています」

「赤い細胞持ちのろくでなし共の、な。
 おまけに我が国でもそんな連中が無視できない勢力に育っていると聞く、忌々しい」

舌打ち怒りを露にするディデル大統領。
主に某大陸、某半島系のアメリカ人を中心に門を日本に独占させること異議を唱える市民団体が勢力を増しており、
一部政治家もこれに便乗し、歴史問題に絡めたジャパン・バッシングと合わせて政治問題と化している。

そしてこれらの背後に赤い某大陸とレッドチームに片足を突っ込んでいる某半島がいるのをアメリカは把握していた。
だからこそ、性懲りもなく訪米し過去の事を穿り返す某半島の大統領には一体何を考えているのか警告し、
同じく自らを超大国と疑っていない某赤い大陸の書記長にも懇切丁寧に警告を発した。

「独裁者の娘は我が国の意図を理解したようだが、
 チャイナはウィルス攻撃の件も含めて言ったがあの面の皮の厚さときたら……」

「同情します、大統領」

どんな証拠を見せ付けても「米帝の陰謀である」としか言わないアカに愚痴を零し、補佐官が同情の言葉を述べる。

「でだ、近々特地から貴賓が来る。
 という話は君より先にCIAから聞いた。
 それに関する対応について各省は現在どんな考えかまとめてあるかね?」

「はい。現在各省で纏まっている考えは特地のプリンセスと伝手を作り、
 日本を介さず我が合衆国と直接交渉の窓口を作り、門に我が国が関わる契機を創造することです」

「妥当な判断だ、だが手段で意見が分かれているじゃないか?」

「その通りです、大統領。
 国防省を中心に門からやって来たプリンセスを強引に拉致する案。
 そして国務省の日本政府に呼びかけることでプリンセスと接触を図る案で意見が分かれています」

暗号解読やらハニトラやらで本来なら日本政府の極秘とされているピニャ一行の訪日を把握しているアメリカ。
今までは交渉相手がなく、異世界から攻めてきた敵とは何か分かっていなかったが、ここで交渉相手となる人間が現れた。

これは事実上異世界との始めての外交交渉になり、
この交渉に関わることで今後ゲートから得られる利益は図りしえない。
だからこそアメリカは例え同盟国の主権の範囲内であっても行動を起こさねばならないと考えていた。
 
「与党や内閣、官僚のスキャンダルは既に把握済みです。
 直ぐにこれで日本政府を脅迫して、特地から来訪する貴賓を我がアメリカに訪問させるべきです」

「まあ、待て。
 はやる気持ちは理解するがそれはあくまで最後の手段だ。
 当面は少々脅しつつかつ、通常の交渉を以って我が国が関わる機会を探るべきと私は考えている」

これまたアメリカの優秀な諜報網と、
杜撰極まりない日本の防諜体制で手に入れた有力者の弱みをネタに日本政府を脅すべき。
と、主張する補佐官に対して大統領ははやる気持ちを抑える。

「ゆえに脅しのためにCIAの要員に準備をしたまえ、早急にだ。」

「畏まりました、では失礼します」

しかし、脅しのための要員として同盟国内でCIAの活動を正式に容認した。
そして補佐官が部屋を退室した後、ディデル大統領は椅子に背中を預け呟く。

「さて、これで問題はない。
 政治力がない日本に我が国を止める手段はない。
 その度胸もない……ふふ、日本には悪いがプリンセスは我が国に招待してもらう」

異世界と関係を結びアメリカに繁栄をもたらした偉大な大統領。
そう歴史に名を残す事を妄想し、ディデル大統領は一人笑みを浮かべた。

「この戦い、我々の勝利だ!」

…まるで赤いスーツに顎鬚魔術師のような自信に満ちた表情で、
もしこの場に夢幻会の人間がいれば「慢心乙」と言うくらい気が緩んでいた。
そして自らの政治生命を犠牲にした総理の献身、オタク自衛官の機転により全てご破算となるまでは。

さらに全ての人間が予想していた以上の騒動になるとはこの時誰も思わなかった。











 

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