二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

続いたネタ18 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり

2016-01-01 11:33:31 | 習作SS

続いたネタ18 GATE~夢幻会、彼の地にて戦いけり


「な、な、なんて事をしたんだーーーー!!」

ピニャ・コ・ラーダの叱責が部屋に響く。
叱責されたボーゼスは既に頭を下げるどころか土下座している。
次にピニャは妹とも言える人間を叱責することになって渦中の人物に眼を向ける。

「……ど、どうも」

イタミヨウジと名乗る門の向こうからやって来た軍人。
その姿はボロボロであちこち服は破けており、傷を負っている。

何故かよく分からない笑みを浮かべおり、
他の緑の兵士達も敵意を出さず何故か微妙な表情を浮けべている。
が、土色の軍服を纏った人間達は冷ややかな視線を投げており、殺気立っている。

当たり前と言えば当たり前だ。
何せイタリカと結んだ条約を向こうは簡単に騎士団を壊滅できたはずだが、
それを尊重していたにも関わらず、ボーゼスは妄言と一笑し、破った上での蛮行なのだから。

ジエイタイは条約を守りために隊長であるイタミを一度置いて撤退したが、
もしも後からやって来たダイニホン帝国軍の騎兵部隊が騎士団を包囲し、
連絡を受けたハミルトンが駆けつけていなければイタミはさらに傷を負っていただろう。

「協定違反の責任、殿下はどうするおつもりでしょうか?」
『約束破り、どうする?』
「ま、待ってくれ!これには、その……」

レレイに翻訳されたダイニホン帝国の大使、
スギハラチウネの言葉に反論を試みるがうまい言い訳が思いつかない。

何せ連絡が届かない事を利用して相手の条約破りを口実に戦争を起こすのは帝国の常套手段である。
少なくてもこれまで帝国に歯向かった国々がうまく言いくるめた例など聞いたことがない。

そして今回帝国は今までとは逆の戦争を仕掛けれる側で圧倒的弱者だ。
先に自分が彼らの捕虜となりイタリカで猛威を振るったあらゆる攻撃が帝国に無慈悲に繰り出されるだろう。

ピニャは内心で頭を抱え、腹部はキリキリと締め付けられるような痛みを覚える。
傍に控えるハミルトンも同じ事を考えているようで顔面は蒼白で痛みを抑えるように手を腹部に当てている。

「す、すまなかった!許すが良い!
 まま、まずはイタミ殿の傷をこちらで手当したいと思う!
 それから、その謝罪と双方の誤解を埋めるために食事会なんてどうだろうか!」

が、思いつく策など時間稼ぎぐらいしかないピニャは強引に傷の手当や食事会などを誘う。

「協定の履行について考えさせて貰います」
『約束、履行しなかった、考えがある、こちらに』
「―――――――」

その言葉の内容と意味にピニャの意識がしばらく飛んだ。

「隊長ーあの人って最近映画の人ですよね、例の。
 意外というか何か容赦ないですね、ウチなんてあんな事言ったらバッシングの嵐間違いなしですし」

「倉田、史実じゃあソ連。
 それにナチスに眼を付けられていた根性のある人間だからな。
 おまけにポーランドの諜報組織と連絡を取り合ってスパイ網を構築していたすごい奴なんだぜ」

大日本帝国の容赦ない交渉に倉田と伊丹が思わずそう囁き合う。

「それに殿下。
 伊丹隊長、小野田少尉の両者は日本の国会に呼ばれてますから時間がないのですよ」

『イタミ、オノダ、元老院に呼ばれている。急がねばならない』

「な、元老院だと――――そ、それは困る!!」

国家の中枢である元老院に呼ばれる。
帝国の慣習に沿うならばそれは将来が約束されたエリート将校だけの特権で、
まさかこのような小部隊の隊長がそうだったとは思わずピニャは驚愕する。
そして、元老院に条約破りを報告などされたらそれこそ帝国の命運は終わることに気付き再度顔を青ざめる。

「困る、ですか?
 ですが別にあなた方には関係のないことでは?」

『別にそちらは関係のない話』

「それは――――」

時間稼ぎは無駄、おまけに傷を付けたのはエリート将校。
この積んだ状況をひっくり返す手段がピニャには思いつかない。
皇族としての教育も教養も何もかも役に立たず、己の無能を理解しうな垂れる。

「でしたら私をニホンに連れて行って弁解の機会をくださいませ!!」
「な―――ボーゼス!?」

これまで頭を下げていたボーゼスの突然な発言にピニャは驚く。
何せ責任を取って単身敵国に乗り込むと言っているのだから。
しかもこの騒動の原因である彼女が行けば命の保障はない。

「ああ、もうでしたら私も行きます!
 殿下は頼りないですしボーゼス1人で行かせる訳にも行きませんから!!」

「は、ハミルトン、お前まで―――!!」

さらにハミルトンがやけくそ気味に自分も行くことを表眼したことでピニャは絶句する。
だが危険であるが今出せる最後の手段としてこれしかないことにピニャは気付く。
帝国貴族の威信や帝国の威光を頼みとせず自らの弁才と勇気のみが打開の道であると。

「ならば――――」

騎士団の部下、否。
互いに固い友誼を結んだ姉妹を置いて、
どうして自分だけが安全な場所にいようか?
ピニャはそう考えるとこれまでの迷いを捨てて即座に決断を下した。

「ならば妾もニホンに行こう!!
 グレイ、パナシュ、しばらく騎士団をそなた達に預ける。
 イタリカの治安維持に専念し、もしも妾が帰ってこないときは即座に帝都へ帰還せよ」

「で、殿下!?」

「ピニャ殿下!!?」

椅子から立ち上がり、
グレイとパナシュに自分が帰ってこない事を前提とした命令を下す。

「スギハラよ、
 まさか皇族である妾を受け入れない、という訳はなかろうな?
 妾と繋がりを持てば帝国とニホンの間で交渉の糸口が出来ると妾は思うが?」

ピニャは必死だった。
日本が交渉のパイプ役として自分に利用価値を見出すことに期待していた。
それならば、日本は交渉によって利を得ることに考え帝国への進撃が遅れ、時間を稼げる。

「いいでしょう、我が国は殿下の訪日をお待ちしています」
『訪問、了解した、歓迎する』

返答はピニャが期待していたものであった。

(やった!これで帝国は救われる―――!)

ピニャは内心で歓喜の声を挙げた。

「ならば明日の朝、
 直ぐにそなた達の所まで出向こう」

「良いでしょう、足の用意はこちらがします」

『移動手段、用意する、こちらで』

さらに明日から移動できるとの言葉にピニャは一安心する。
これは帝国への侵攻よりも外交交渉に極めて積極的な表れである証拠に他ならないからだ。
交渉など考えない国なら交渉の日程を曖昧にするなどして、適当に時間を稼ぐのが常道なのだから。

(帝国が軍と国力を回復うるまで兎に角今は時間を稼がねば、
 そして妾がニホンという国を見てその姿を父上に報告し、今後の対策を考えなくては)

イタリカで見た日本の力を知るピニャは、
時間を稼ぐと同時に日本の力をさらに知るべく情報収集を考えていた。
最もピニャが考える日本、そして大日本帝国は彼女の想像を遥かに上回る国である事をこの時は知らなかった。




注釈:実家から投稿したところ掲示板はホスト規制を受けたため書き込めませんでした。












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