「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



王子駅乗換え、南北線。
休日出勤を終え、仲間の下へ急ぐ。
東川口駅、赤、赤、赤…。
キックオフまで1時間。
気が逸る、歩幅が広くなる。

GK都築
DF峻希・暢久・闘莉王・西澤
MF啓太・阿部勇樹・原口・ロビー
FW高原・エジミウソン
リザーブ山岸・濱田・堀之内・永田・アレックス・セルヒオ
「坪井は?」
ケイタイオフィシャルにあった坪井の名前がない。
「怪我?だよね!?」
突然のアクシデント。
「暢久と闘莉王って、組んだことあったっけ?」
細貝と直輝を欠き、さらに試合直前に坪井まで失う。
「厳しいな」
誰が出てもウチらしく出来るはず。
そう信じるしか、なかった。

「ロングボール、多いな」
細かく繋ぐイメージがあった広島。
後ろから蹴って来る。
右サイドで暢久が振られる。
「あっ…」
中央の佐藤寿人が合わせる。
6分、広島先制0-1。
「チクショウ…」
立ち上がりの失点。
混乱するDFラインの裏を狙われる。
「仕方ない、切り替えよう」
ここで落胆してはいけない。
まだ90分、時間はあるんだ。

自陣で守りを固める広島。
後方でパスを回す浦和。
「嫌なサッカーするよな、広島」
縦にボールが入らず、決定機を創れない。
「攻め急ぐな、急ぐとやられるぞ」
スタンドからピッチへ戦術を指示する声が聞こえる。
(煩いな、集中しろよ)
まだ1点差、俺たちが雰囲気を悪くしてどうするんだ。
ちょっと攻められただけで、
ちょっと形勢が悪いだけで文句を言う。
そんなの、おかしくないか。

相手のペースに嵌る。
闘莉王が前線に上がる回数が増える。
「上がったらシュートで終わろう!」
バランスを失いカウンターを食らう。
想像したくないシーンだけは、勘弁だから。
CKから闘莉王のオーバーヘッド、
原口のドリブル、高原の切れ味。
どれもゴールには繋がらない。
「落ち着いて、焦らなくていいんだ」
佐藤寿人のシュートがクロスバー直撃。
1対1を都築が弾き返す。
そのこぼれ球を闘莉王がブロック。
「ヤバいな」
いつ追加点を取られてもおかしくない展開。
「我慢だ、堪えてくれ」

0-1。
相手の速さと洗練された戦術に翻弄された前半が終わる。
「な、何で??」
スタンドからブーイング。
「そこまで悪いか?」
選手たちが戦っていないのなら、仕方ない。
「アクシデントがあったのに、どうして?」
僕にはその意味が、分からなかった。

HT、西澤outセルヒオin。
暢久が右SBへ、阿部勇樹がDFに入る。
「ボランチは?」
「啓太のワンボランチ、だ」
攻撃的な布陣にシフトする浦和。
ベンチからメッセージが届く。
俺は、ヤるよ。
選手と共に闘う。
ピッチで選手たちが苦しんでいるのなら、
俺たちが鼓舞してやればいい。
昔から、弱い時からずっと、そうやって来たんだ。
それだけは、譲れない。

原口が仕掛ける。
「行け!突っ込めグッチ!!」
FKに闘莉王が反応、ボールはクロスバーの上。
セルが粘る、相手を引き攣り倒す。
「頑張れ、セル!」
「グッチ、打て!!」
前へ向かう姿勢が、チャンスを生み出す。
「そうだ、いいぞ!」
65分、エジのシュート。
「惜しい!」
その直後、闘莉王のヘッド。
「もう少しだったな…」
カウンターの脅威に怯えながら、
声を絞る、跳ねる。
「負ける訳にはいかないんだ」
高原のパスにエジが抜け出しGKと1対1に。
「決めろ!」
流し込まれるボール。
68分、浦和同点1-1。
「さあ、ここからだ!」
勝つんだ、引き分けじゃ満足出来ないんだ。

高原がPA内に進出、DFと交錯する。
「ファールか!?」
主審がスポットを指す。
「PKだ!」
76分、キッカーはエジ。
「静かに、静かにしろよ」
敵は広島ではなく、ざわめくゴール裏だ。
静まるスタンド。
ボールがポストを叩く音がする。
「外した…」
リバウンドを追う原口。
「まだだ、まだ行けるぞ!」

1-1、同点。
DFラインの裏を徹底的に狙う広島。
対応に追われる峻希。
「誰かフォローしてやらないと…」
運動量が落ちても粘りを見せる広島。
残り時間10分。
走らされる浦和。
苦しい時間が続く。
「負けるな、頑張れ!」
左サイドで原口が光る。
相手のファールを誘う。
「吹っ切れたみたいだね、グッチ」
84分、ロビーのFKからエジミウソン。
浦和逆転、2-1。
「やった!やった!!」
この試合初めて、仲間たちと喜びを分かち合う。
85分、峻希out永田in。
「チャラ、しっかり守れよ」
86分、ロビーout堀之内in。
「1点差、まだ早いかも…」
なおもサイドの裏を突く広島。
闘莉王が、阿部勇樹が、永田拓也が、堀之内聖が身体を張る。
「頑張れ、しっかり!」

ロスタイム5分。
「急ぐな、落ち着いて」
攻守共に溜めがなくなっている。
右サイドから中央のセルヒオへ。
「そうだ、シュートで終わろう」
時間が立たない。
時計の針が進まない。
「まだか、まだか…」
主審の手が挙がる。
崩れ落ちる紫色。
「勝った…」

強く早い相手に圧倒された試合。
僕らの目指すものを何年も前から追い求める相手。
まだまだだった。
まだまだだけど、勝ったのは僕たち。
結果が伴えば、次はもっと良くなるはず。
1ヵ月後、もっと強くなった姿を見せてやるんだ。

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コメント
 
 
 
Unknown (赤幸)
2009-07-13 12:48:28
参戦お疲れ様でした。
2試合続けて逆転勝ち!
結果は大満足ですが、
守備の課題は山積でしたね。
CB,SBはやはり相手によってチョイスできる、
あるいは守り方を変えられる臨機応変さがあれば
なんて贅沢な事を考えてしまいました。
ブーイングは選手を鼓舞するためですかね?
REDSが悪いんではなくて
相手のコンビネーションが上だと思いました。
決定力があれば前半で沈められていましたね。
それでもしっかりと中で跳ね返して、
エジタカで点が取れる。
ここにコンビネーションが加われば!

前半戦で勝ち点34の2位はできすぎですね。
負傷メンバーが戻ってくるこれからが楽しみです。

来週はいよいよババ抜き!監督いるのかな~。
あの芝には苦労しそ~ですね。(笑)
その前にmidWのナビQF1、脚相手に4点と
元気良さそ~な感じ。
1日に同じよ~な内容の試合を2試合見て
疲れましたので(でも勝ち点3,3)のどの枯れを
戻してまた参戦します。


 
 
 
緊急事態 (otteru)
2009-07-14 00:08:51
赤幸さん、お疲れさまでした。
1失点は急な変更の影響でしょうね。
しかも組んだことのない2人。
それも暢久と闘莉王(笑)
一筋縄では行きません(爆)

ここ数試合、相手の狙いがはっきりして来ましたね。
両サイドの裏。
特に左SB。
実績ならアレックスでしょうが、
如何せんスピードと守備に難あり。
細貝&峻希では持ち味を生かせず。
永田拓也はまだこれからといった感じ。
今年はこのまま乗り切るんでしょうかね?

嫌なタイミングですね、次のリーグは…。
ウチはこういうの特に苦手ですから。
その前には好調・清水。
ウチの幼稚園児たちが
素敵なダンスを踊ってくれるはず。
夏の連戦、始まりますね。
頑張りましょう。

追伸
相手が一枚上手なのは明らかでしたからね。
あのタイミングのブーイングは??でした。
 
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