「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



「降って来ちゃったよ」
「傘、いるかな?」
関東地方は強風で大荒れの様子。
新庄行き普通電車は、東京から来るつばさ号の連絡待ち。
「昨日だったら良かったのに」
冷たい風とパラつく雨と厚い雲の間から時折覗く薄い空。
「鹿島よりマシ!?」
「そ、そうかもね」

GK山岸
DF細貝・暢久・坪井・宇賀神
MF阿部勇樹・啓太・ロビー・柏木
FWエジミウソン・達也
リザーブ大谷・スピラノビッチ・堀之内・岡本・高原・原口
平川が離脱、右には岡本ではなく細貝。
「啓太を使いたいからかな」
控えGKは大谷、ホリがベンチ入り。

自陣で網を張る山形。
ボールを繋ぎチャンスを窺う浦和。
「どこもこういう戦術で来るよね」
パスは回る、が決定機は訪れない。
「いいんだよ、これで」
心の中にある焦燥を、自らの声で押し潰す。
達也、エジが精力的に動く。
「90分持つのか!?」
捲った腕が冷たい、身体が温まらない。
「山形、寒いな・・・」


試合の主導権は浦和が握っている。
「持たされてる訳じゃないよね?」
時折受けるカウンターも前節、前々節ほどの迫力はない。
「先に取れば向こうが焦るはず」
左クロスから達也のシュート。
「いいねぇ、達也に取らせてやりたいね」
CKからサイドにボールを振る。
「決まった!」
「入った、よね!?」
副審がこちらへ駆けて来る。
31分、浦和先制0-1。
「エジ、でしょ!?」
阿部勇樹、達也が倒される。
山形に警告。
「焦ってんだよ、あっち」

ロスタイム2分。
「結構取るな・・・」
DFラインを割られ、ボレーシュート。
「大丈夫か!?」
前半終了、0-1。

「寒い・・・」
捲った袖を戻す、帽子を被る。
足の筋肉が硬くなっている。
HT、達也outセルヒオin。
「達也、怪我?」
「痛いな、達也がいなくなるのは」
阿部勇樹のシュートはGKセーブ。
「左足だったか」
ロビーのFKにセル、GK正面。
「いいぞ、セル」
悪くない立ち上がり。

「入っちゃった・・・のか」
57分、山形同点1-1。
「ミヤだってよ、得点者」
アウェイの雰囲気のあるスタジアム。
「数は赤と半々だと思うんだけど」
圧されている気がしていた。
細かいパスを繋ぐ浦和。
堅守速攻、山形。
「間延びしてないか、ウチ」
次第に勢いに乗る山形。
78分、啓太out高原in。
ベンチからのサインは“勝て”。

細貝のクロスに高原、セルがフリーに。
「決めろ!!」
ボールは右に逸れていく。
「今のは決めなきゃ・・・」
決めるべき時に決められない。

ロスタイム4分。
セルのクロスにエジが突っ込む。
「合わないのか・・・」
ロビーのミドルはGKがキャッチ。
「まだある、まだ時間あるよ」
阿部勇樹のダイビングヘッドはクロスバーに嫌われる。
「チクショウ!」
「もうワンプレーくらいか・・・」
「あ、マズい!」
山形のカウンターにDFが追い付かない。
「ダメか・・・」
山岸ファインセーブ。
「助かった・・・」

笛が鳴る。
試合終了、1-1。
負けたような気分。
何かが足りない。
ゴールへ向かう迫力か、それとも剥き出しの闘争心か。
確信を持って戦える日は、いつ訪れるのだろう。

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