「誇」-URAWA REDS-
共に…
 



赤い波を掻き分け、家路を急ぐ。
遠く聴こえる歓声。
大好きな駒場、僕の故郷。
“どれを着ていこうかな…”
なんて考えてしまうくらい、特別な場所。
林の向こうに見えてくる2階席。
鮮やかなカクテル光線、無骨な鉄塔。
「負けない」
「ここで恥ずかしい真似は出来ないんだ」

GK都築
DF坪井・堀之内・阿部
MF暢久・啓太・細貝・相馬・ポンテ
FW高原・エジミウソン
リザーブ山岸・闘莉王・平川・岡野・梅崎・セルヒオ・永井
負傷欠場が噂されていた闘莉王はベンチスタート。
右サイドがヒラから暢久にチェンジ。
岡野もリザーブ入り。
“駒場、だからな”
連戦。
選手起用が鍵を握るのだろうか。

アイーダ。
駒場にはこれが良く似合う。
“こんなに観辛かったっけ?”
“昔はもっと観辛い所に居たのにね”
埼スタに慣れた身体には、遠く感じるピッチ。
小さく見えるオーロラビジョン。

都築のGKが逸れて行く。
“芝、悪いんだ…”
パスが繋がる浦和。
“ちょっと重いのかな”
スピードを感じない攻撃。
“向こうはカウンター狙い、か?”
右手で握り締める手摺り。
この感触、堪らない。
“どうだ、どうなの?”
水平線の先にある、西のゴール裏。
独特の距離感が甦る。
“いいぞ、エジ!”
“行け!タカ!!”
選手の判別も容易になっていく。

自陣前、相手10番が倒れる。
プレーが中断される。
“自爆、だよな”
リスタート。
“!!!”
“何やってんだよ…”
26分、京都先制。
集中を欠いた隙を突かれたゴール。
“このクセ、何とかならないのか”
“1人少なかったんだぞ、向こう…”
痛い失点、防げたはずの失点。
声を、失う。
“チクショウ…”

京都側に続けて警告。
主審は高山氏。
“らしい、よな”
37分、PA内で暢久が倒される。
“PKか!?”
判定はシミュレーション。
“暢久がそんなことするか?”
囲まれる主審、判定は覆らず。
“負けねーぞ!絶対”
40分、ロビーのFKにエジ。
浦和同点、1-1。
“ストライカーなんだね、エジは”
“いい根性してるじゃない”
42分、エジからロビー。
“入れ!!”
“入った!!”
浦和逆転、2-1。
“タカだ、タカが押し込んでる”
ここは駒場。
勝たなきゃいけない場所。

前半終了、2-1。

“しっかり!”
“回されるな!”
49分、2-2。
“完全に崩されたか…”
“また立ち上がりにやられた…”
気勢を殺がれる失点。
乗り切れない浦和。
“闘莉王がいないとダメ、ってこと?”
シジクレイが網を掛ける。
田原が身体を張る。
“動き、止まって来たのか”
他会場では鹿島、G大阪がリード。
「疲れ」は言い訳にならない。
63分、相馬out平川in。
“ヒラの左、か…”
68分、ポンテout永井in。
“予定通り、ってこと?”
“確かに消え始めてたかな、ロビー”
時計の針が早く進む。
“あと15分しかないのか”
ボールを引き出す動きが小さくなっている。
“萌、頑張れ!”
“啓太、頼むぞ!”
78分、高原out闘莉王in。
“前線に入れるのかよ…”
“これでいいのか!?”

闘莉王をダーゲットに向かってくる浦和。
永井から何本もクロスが上がる。
エジが精力的に動く。
“決めろ、決めてくれ!”
跳ねる。
汗が滴る。
“駒場なんだ、ここは駒場なんだよ”
最後まで諦めない。
諦めなければ何かが起こるんだ。
ロスタイム3分。
“hurry!!!”
“勝つんだ、絶対勝つんだ”
駒場らしくない芝の上で、選手がもがいている。

試合終了、2-2引き分け勝ち点1。
散発するブーイング。
試合内容を語る声。
何も聞きたくなかった。
駒場で、勝てなかった。
これが今の浦和なのか。
これが僕らの力なのか。

街に繰り出す気力まで、失っていた。


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甘えてたかな。

駒場だから勝てるなんて、過信なんだね。

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