新聞に載っていた吉田都さんの記事から、覚えておきたい言葉を以下、自分用メモとして。
私は一つのことを成し遂げるのに時間がかかるほう。
努力しなくてもたどり着ける人は、もったいないことにあっさりやめてしまう。
入団した当初、ほつれた衣装を自分で直そうとして衣装係に「私の仕事を奪わないで」とたしなめられた。
プロとしても自覚を促された出来事だった。
日本では稽古の後の消毒もダンサーが自分でしています。
テクニックは世界レベルなのにどこか遠慮がちなのは、ダンサーという職業が成り立っていないからだと思います。
給料制のロイヤルバレエ団では公演中止でも給料の80%が支払われますが、日本では舞台がなければ収入の保証はありません。
五感に訴える舞台芸術は一期一会、生命の輝きです。
簡単ではないですが、バレエの未来のために、できることは何でもやっていきたい。
それが芸術監督をお受けした理由でもあるのです。
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吉田都さんがバレエを始めたのは9歳というから決して早いとはいえない。
その後17歳でローザンヌ出場を果たすのだから、彼女には元々非凡な才能がなかったとはいえない。
しかし、そこからロイヤルバレエのプリンシパルという輝かしい頂点へと至るまでには、影で並々ならぬ努力があり、人知れずの涙があったのだろう。
実力者がひしめくバレエ団の中で、足の指先が変形するほどの努力を重ね、自分よりも手足が長く容姿のよい才気あふれるダンサーと常に対峙してきた。そして、自分よりも才能があると認めるライバルたちがやめていく姿を彼女は幾度となく見てきたのだろう。
「努力しなくてもたどり着ける人は、もったいないことにあっさりやめてしまう」
東洋人というコンプレックスを常に抱えながら、世界最高峰の舞台で努力し続け、結果を出し続けてきた彼女の言葉は重い。
英国ロイヤルバレエ団の最高位であるプリンシパルを15年間務め、昨年、現役引退。
今年9月、新国立劇場舞台部門の芸術監督に就任する彼女。
小さな体ながら姿勢が良いせいもあってか、写真越しにもオーラを感じてしまうのだ。