おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「福家警部補の挨拶」 大倉崇裕

2008年12月30日 | あ行の作家
「福家警部補の挨拶」 大倉崇裕著 創元推理文庫 (08/12/30読了)

 福家警部補、ブラボ~! 超カワイイ!! 久々の新規開拓で大当たりでした。

いつものように有隣堂をプラプラしていて、ふと、目に付いたのは「NHKドラマ化 出演 永作博美」の赤い帯。永作ちゃんファンとしては、「いいモノ見っけ!ドラマ放映前にストーリーを読めちゃう!」というつまみ食い根性でしたが、期待以上に楽しめました。主役の福家警部補がめちゃめちゃいいのです。ちっちゃくて、可愛いくって、カバンに入れたはずの警察バッチが見つからずいつもゴソゴソ(やや、だらしない?)。あまりの可愛らしさに誰からも一課の刑事とは認識されず、「交通課の婦警さん?」「就職活動中の学生さん?」などと誤解される。でも、見た目の可愛らしさに騙されてはいけない。福家警部補はとってもキレモノ、そして、恐いもの知らず。(恐らくは)密かな福家ファンである鑑識の二岡クンとの名コンビで、小気味よく事件を解決していく。トリックは若干、甘いものもありますが、でも、エンタメ小説としては十分すぎるぐらいに楽しいです。
 
それにしても、この小説って、永作博美のために書いたんじゃないの? と思うぐらい、永作博美はまり役です。セリフの一つ一つを読むたびに、永作ちゃんの笑顔が思い浮かんでしまいました。でも、二岡=小泉孝太郎はいただけませんな。ちなみに、さっき、NHKで予告していましたが、ドラマの放映は1月2日。収録されている4つの短編のうちの2番目が取り上げられるようです。

さて、放送後の反響として想定されるものは…恐らく「女版・古畑任三郎!」です。ストーリーの組み立てが、犯人が主役となる犯行場面から始まる。つまり、読者は誰が犯人か知っており、犯人探しではなく、福家のロジックの組み立てを楽しむのです。いつも、徹夜明けで登場する福家警部補は、小さなアリバイのほつれ目を、グイグイと引き裂いていく。助っ人としてタイムリーに登場するのは鑑識・二岡。それって…まるで、古畑と今泉クンじゃ??? 斜め読みした解説によれば、作者は大の刑事コロンボファンで(そもそも、古畑任三郎も刑事コロンボ型)、意図して、こういう組み立てのストーリーを書かれているようです。

2日に放映されるドラマがいかにも古畑チックで既視観のあるものになってしまうのか、永作ちゃんのキャラクターで新鮮に見えるのかが、シリーズ化の分かれ道かもしれません。