「江戸の下半身事情」 永井義男著 祥伝社新書 (08/12/02読了)
日曜日の新聞書評はそこそこ熱心にチェックしていますが、お気楽本を中心に読んでいる私にとっては、ややハードル高し。紹介されている本は難しげであるものが多く、書評の文章そのものもお堅い。そういう中で、異彩を放っているのは、三浦しをんさんです。この人が紹介している本は、いつも、一味違う、というか、ちょっとヘンな本ばかり。この「江戸の下半身事情」も、1-2カ月前ぐらいにどこか(読売新聞か朝日新聞だったような…)で三浦さんが書評を書かれていて、気になっていました。書評は「文楽や歌舞伎を見るたびに、本当に江戸時代の人々は、すぐに誰かと寝ちまっていたのだろうかと不思議に思っていたが、この本は、そういう疑問に答えてくれるもの」という趣旨(あくまでも趣旨です。手元にコピーを残していないので、正確な表現は忘れました)であったと思います。
なるほど、大変、興味深く、面白い本でした。といっても、別の意味の面白さを期待すると拍子抜けかもしれません。結構、マジメな本です。多くの古い文献に当たり、古典の中の描写を抽出することで、江戸の人々の生活シーンをつむぎ出していく感じ。興味深かったのは、梅毒が世界中に広がった経緯。そして、私ですら、なんとなく名前は聞いたことがある著名な蘭学者・杉田玄白が年に700-800人もの性病患者を診察していたということ。まるで、性病専門医のようです。そして、あの、ドラマでも有名な大岡越前が、いちいち事情を聞いて裁いていくのが大変だから(そんなに多かった?)ということで、「姦通罪の示談金は7両2分」と決めてしまったこと。確かに、示談はしやすくなったが、逆に「7両2分さえ払えば、何やってもいいじゃん」というような風潮を作ってしまったそうです。そして文楽の「恋娘昔八丈」は、大岡越前が裁いた不倫殺人未遂事件がベースになっているというのも、新鮮な発見でした。その他、現代のラブホテルにあたる料理茶屋事情や、品川遊郭の常連さんなど面白いお話満載でした。
文楽・歌舞伎ファンや時代小説ファンのバックグラウンド知識本としておススメかも。もちろん、雑学知識アップにも役立ちます。
日曜日の新聞書評はそこそこ熱心にチェックしていますが、お気楽本を中心に読んでいる私にとっては、ややハードル高し。紹介されている本は難しげであるものが多く、書評の文章そのものもお堅い。そういう中で、異彩を放っているのは、三浦しをんさんです。この人が紹介している本は、いつも、一味違う、というか、ちょっとヘンな本ばかり。この「江戸の下半身事情」も、1-2カ月前ぐらいにどこか(読売新聞か朝日新聞だったような…)で三浦さんが書評を書かれていて、気になっていました。書評は「文楽や歌舞伎を見るたびに、本当に江戸時代の人々は、すぐに誰かと寝ちまっていたのだろうかと不思議に思っていたが、この本は、そういう疑問に答えてくれるもの」という趣旨(あくまでも趣旨です。手元にコピーを残していないので、正確な表現は忘れました)であったと思います。
なるほど、大変、興味深く、面白い本でした。といっても、別の意味の面白さを期待すると拍子抜けかもしれません。結構、マジメな本です。多くの古い文献に当たり、古典の中の描写を抽出することで、江戸の人々の生活シーンをつむぎ出していく感じ。興味深かったのは、梅毒が世界中に広がった経緯。そして、私ですら、なんとなく名前は聞いたことがある著名な蘭学者・杉田玄白が年に700-800人もの性病患者を診察していたということ。まるで、性病専門医のようです。そして、あの、ドラマでも有名な大岡越前が、いちいち事情を聞いて裁いていくのが大変だから(そんなに多かった?)ということで、「姦通罪の示談金は7両2分」と決めてしまったこと。確かに、示談はしやすくなったが、逆に「7両2分さえ払えば、何やってもいいじゃん」というような風潮を作ってしまったそうです。そして文楽の「恋娘昔八丈」は、大岡越前が裁いた不倫殺人未遂事件がベースになっているというのも、新鮮な発見でした。その他、現代のラブホテルにあたる料理茶屋事情や、品川遊郭の常連さんなど面白いお話満載でした。
文楽・歌舞伎ファンや時代小説ファンのバックグラウンド知識本としておススメかも。もちろん、雑学知識アップにも役立ちます。