この方の役者人生は、決して順風満帆なものではありませんでした。
2枚目スターとしてデビューしたものの、会社を移籍したところ、これが当時の映画会社間で結ばれていた「5社協定」に抵触するのではないかとクレームを付けられ、仕事を干されてしまいます。
津川さんは知り合いの監督のつてを頼り、初期の必殺シリーズの悪役など、テレビドラマを中心にアクの強い脇役を多く演じるようになっていきます。
こうして、「性格俳優」津川雅彦が出来上がっていくこtになるのです。
私が学生の頃の津川さんのイメージは「金持ちの嫌なスケベオヤジ」、といったようなもので、あまり良いイメージではなかったように思う。映画などで、若い娘さんを愛人に囲ってる嫌な奴みたいな役ばかりを演じていましたからね。
このイメージが変わってきたのは、故・伊丹十三監督の作品に出演するようになってからですかね。特に『マルサの女』で演じた税務調査官は大きかったように思う。この役あたりから、ただのスケベオヤジじゃないと思えるようになってきましたからね(笑)
嫌な奴とかスケベオヤジとか、散々なことを云ってきましたが(笑)、この方は人間の持つ「業」というものを面白おかしく演じることができる、そんな役者だったのでしょう。それは大河ドラマで2度演じた徳川家康などで遺憾なく発揮され、ドラマの質を何段も上げていたように思う。
主役級の役者さんではありましたが、私の中では稀有な、本当に稀有な
超がつくほどの、「名バイプレーヤー」でした。
【巨星墜つ】なにか本当に、時代が「終わった」感じがします。この喪失感。これほどの役者が、今後出てくることがあるだろうか……。
今はただただ、ご冥福を想うばかり。その稀有なる役者魂に、敬意と感謝を込めて
合掌。
また一人、昭和の名バイプレイヤーがいなくなりましたね…。ご冥福をお祈り致します。
素晴らしい役者さんでしたね。
奥さまのご逝去に際しての会見で、酸素吸入されているのを見て、ようやく、
機械を使わなければ溺れるような苦しさなのに、それを見せずに演じておられたと知りました。
ご冥福をお祈り致します。
津川さんのコメでこんなことを言うのもなんですが、先に亡くなられたお兄様の長門裕之さんのある演技を、わたくし、大変尊敬申し上げているのです。
博士に怒られちゃうかもしれませんが。
それは、エロ場面なのです。
長門裕之さんは、エロジジイを何度か演じておられるのですが、その時、物凄くエロく見えるのです。そのカラクリが、演技のテクニックだと気づいた瞬間、猛烈に感動しました。
今や、エロとは本物に近づければいいと思い込んでいるテレビ、映画ばかりですが、
長門裕之さんや津川さんのように、演技の方がより良く見える、テクニックで惹きつける、方法を、若い方々が受け継いでくれると良いのですが。
現代演劇は難しいのでしょうか。
規制がある方が、広がる、ということなんでしょうね。
この御兄弟はしっかりとした演技テクニックを最期まで活用し続けた役者さんだったように思います。役者というのは枯れてくると、どうやら二通りに分かれるらしいです。例えば加藤嘉さんや大滝秀治さんのように、ほとんど「演技」というものをしなくなるタイプ。ただそこにいるだけ、ただセリフをしゃべるだけで、深い存在感を出してしまう方々と、長門、津川御兄弟のように、練り上げた演技テクニックを、心地よく見せるタイプの方々とに分かれるみたいです。
丁度今日、時代劇専門チャンネルで林遣都くん主演の時代劇『銀二貫』を放送していて、津川さんが御隠居さん役で出ていたんですが、この枯れた感じの演技が素晴らしくて、思わず涙が出そうになりましたね。
何度でも云います。ホントに素晴らしい役者さんでした。