風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

有安杏果研究序説 その3~「米子の夜」~

2014-10-25 21:24:37 | ももクロ
  



                     



2012年6月30日。ももクロの全国ツアー米子大会が行われた日の夜。

ももクロメンバー間で、ある重要な話し合いが行われました。

正確には、杏果と他の4人との間の話し合いです。






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(杏果)きっかけは夏のツアーの米子大会の夜(6月30日)ですね。ライヴが終わったあと、みんなで凄い話し合いをしたんですよ。

(インタビュアー)はい、それは前号に登場してくれた、あーりんも話してくれました。

(杏果)それがきっかけで、あの夜を境に、自分の皮を、まるでゆで卵の薄皮を剥ぐようにすこしづつポロポロと剥きはじめて……自分的にはだいぶ剥がせたかなって思うんですよ。

(インタビュアー)差し支えなければ、そのときどんな話がきっかけになったのか、教えてもらえますか?

(杏果)私、それまでメンバーとの間に微妙な壁をつくっていたんですよ。それをみんなに指摘されたんです。

(インタビュアー)それは本当にぶっちゃけた話し合いですね。そもそも、有安さんが積極的に絡んでいけなかったのは何故なんでしょう?途中からももクロに参加したという遠慮みたいなものがどこかにあったんですか?

(杏果)私からすると、別世界に見えたんですよ。みんなオンもオフもないじゃないですか?楽屋でキャッキャ騒いだまま、ステージへ向かっていく、みたいな。それを見て「あっ私はこのノリは苦手かも」って、決めつけちゃったんですよね。だったら、楽屋では一歩、引いておこうって。

(インタビュアー)別に仲が悪いとかいうわけではなく、ほかの四人と、有安さんの、ライフスタイルが違い過ぎたんですね。有安さんはオンとオフとをしっかりと分けたいタイプだった、と。アイドルに限らず、グループでは、ステージ上だけバシッと決めればいいとプライベートでは距離を置く人も多いですし。

(杏果)ずっーとオンではいられないタイプだと思い込んでいたんですよ、私。なんだろうなあ……素直になれないっていうか、話の輪の中に「えっ、なになになに?」と入っていくことに抵抗があったっていうか。

(インタビュアー)ただ、ほかのメンバーからしてみたら、輪の中に入ってきてほしかったんですね。

(杏果)それを米子で指摘されたんです。最初に言われたときは、みんなの気持ちが痛いほど伝わってきたから、とにかく言葉が心に刺さりましたね。本当に痛かった。でも、この状態を放っておいたらダメだなって思ったし、みんながこんなにも私のことを考えたり、思ってくれているんだったら、自分、変わんなきゃダメじゃんって。

(インタビュアー)……。

(杏果)でも、人ってそんなに簡単に変われないじゃないですか?だから、ゆで卵の皮みたいに、ゆっくり少しづつ剥いていったんです。それは大変なことではなくて、いままで無理だと思い込んでいただけで、実際にみんなの輪の中に入ってみたら、全然、違った!自分でできないって決めつけていただけで、本当に楽しいんだって。

〈中略〉

(インタビュアー)夏のツアーではお約束として、メンバーが順番に「私が一番かわいい」って言い出して、最後に有安さんが残ってしまい、どんなリアクションをするのかを楽しむ、みたいな流れがあったじゃないですか?あれを見て藤井編集長が「有安は本当に嫌がっているんじゃないか。杏果がかわいそうだよ」って、言ったんですよ。

(杏果)えっ、本当ですか?じつは米子でこんな話になったのは、それが原因だったんですよ。

(インタビュアー)えっ?

(杏果)米子であまりにもそのネタを私が嫌がり過ぎたんです。最終的に「私が一番かわいい」って言わないで終わらせちゃった。私としては、毎回嫌がりながら言うんじゃなくて、最後まで言わないっていう新しいパターンを作ったつもりだったんですけど、メンバー的にはやってほしかったみたいで……「どうしてやってくれないの?」という話からはじまって、最後は「私たちの輪の中に入ってきてほしい」って。

(インタビュアー)そうだったんですね。でも、そういう話をするきっかけができたという意味では、良かったですね。

(杏果)たしかに米子の夜がなかったら、いまごろどうなっていたんだろう、と思うと怖いですよね。みんな目が腫れるまで泣いて、声が枯れるほど話あって……そのあと、泊まったところがはじめての五人部屋で、みんなでいつまでも話していましたね。本当に女子高生の友達同士みたいに。考えてみたら、そういう機会もいままでなかったし、それで気持ちが楽になったのかもしれない。

(『クイックジャパンspecial issue ももいろクローバーZ~compass of the dream~2013-2014』より抜粋しました)

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生真面目な方ですから、自分がももクロに入った意味とか、ももクロの中での「立ち位置」みたいなものとか、色々と悩んだのでしょうね。

おそらくは歌やダンスも、自分が求めるレベルに到達していないとか、そうしたことの悩みやら焦りやら、色々と溜まってもいたのでしょう。もう自分のことばかりで精一杯だった。

それが気が付かない内に、ほかのメンバーとの間に壁を作ってしまっていた。

でも、杏果は自分は素直じゃないといってましたけど、充分素直だと思いますよ。

素直だからこそ、みんなの話を直に聞けたのだし、素直だからこそ、みんなの気持ちを直に受け止められたのだと思うんです。



話というのは、話す側より聞く側の問題、受け取る側の問題が大きいと思うんです。受け取る側の器量によっては、話の中身を捻じ曲げて受け取ってしまい、余計にややこしくなる、傷が広がるといったことにも成りかねませんでしょ?

でも杏果は真っ直ぐに受け止めた。それを自分自身の問題だとしっかり自覚して、自分で努力して克服していったんです。

決してほかのメンバーのせいにすることはなかった。

もしも杏果がこんな素直な子じゃなかったら、この「米子の夜」の出来事は、それこそももクロ分裂の危機の原因となっていたかもしれない。

このインタビューを書き写してみて、改めて思いました。

2012といえば、杏果はまだ17歳です。なんてしっかりした、大人びた子だろう。

凄いですよ、ホント。

凄いです。









杏果以外の4人がわちゃわちゃ騒いでいるときに、杏果だけ一人別の事をしているという光景は、今でも変わらず、よく見かける光景だそうです。

以前なら両者の間には、微妙な空気が流れていたそうですが、今はまったく無くなったとか。

杏果が4人の輪に入りたいときは、いつでも自由に入っていけるようになったようです。

もはやそこには、なんの気兼ねも遠慮もありません。



それでいいんです。杏果は杏果なんだから、無理して全部変えてしまう必要はない。

杏果は杏果のままでいい。

それでいい。



それにしても、何故杏果は、こんな重大な話をぶっちゃけてしまったのでしょう?

普通なら、表に出すべき話ではないように思えますが、何故?


決まっています、それは

ファンのため、モノノフのためです。

杏果とほかのメンバーとの仲が悪いんじゃないか?と心配しているファンのために「もう大丈夫、心配ないよ」と伝えたかったのでしょう。

どこまでもファンのこと、モノノフのことを第一に考える。いかにも、ももクロメンバーらしい気遣いです。

ホント、良い子だ。





                   




杏果研究、まだまだつづくでありやす。










参考文献
『クイックジャパンspecial issue ももいろクローバーZ~compass of the dream~2013-2014』
『クイックジャパンVOL116有安杏果特集』