アメリカの楓の多くはカナディアン・メープルだ。その紅葉の色合いはゴールデンが主だが濃いスカーレットが混ざりゴールデンを一層あざやかに燃え立たせる。我が住まいの窓越しから見るメープルの林は遠景から日に日に押し寄せ、迫って来た。緋色、つまり赤みを帯びた黄金色が我が家を囲んで東西南北にあり、秋の最中の今は目の前で輝いている。自分の脳裏に反映する眼前の幽玄の自然美が心中で燃え上がる。贅沢の一語に尽きる。人間の描いた絵画などお呼びもつかない神秘の世界である。私は今降りしきる黄金紅葉の中に住んでいるのだ。わが生涯最高の時なのかも知れぬ。この素晴らしい環境が利便性は抜群で立地的にも車で30分で国際空港に行ける所にあるのだ。この時期、年令の近い南田洋子さん(76歳)が他界された。あの世も我が眼前の風景のごとく美しいことを彼女のために祈っている。(自悠人)