「事実は小説より奇なり」と言われるが誰しもまさかの現実を経験することがある。人はどこかで繋がっていると思わざるをえない。人生行路の極く一部を共有することから交友範囲が拡がり、生きる楽しみも増えるというものだ。覚えてる範囲の奇妙な出会いを紹介しよう。
珍遇では新宿の繁華街でばったり甥に出会ったことだ。我々は国立から、甥は鳥取県の郷里から出てきたばかりで信濃町で研修期間を過ごしていた。彼が東京に出ていることは知らなかったが、ワイフが見つけて「シンチャン」と声をかけた。違う名前を持つ彼が振り返った。お互いの驚きようは隠しようもなかった。「振チャン」は彼の兄貴の名前だったのだ。だが兄弟のテレパシーが通じたのか。
海外の旅で日本人らしき人に会えば私はよく話しかける。南米パラグアイでもまさかの人に出会った。話かけていて偶然国立市のわが家から歩いて10分のところに住居のある人だった。彼は20年来途上国の土木建設に携わった人だが、
ご近所でも多分一生会うことのなかっただろう人に地球の裏側で会ったのは奇遇以外の何ものでもなかった。
国際線ダラス行きの機中、飛び立って5時間ぐらいしてフライト・アテンダントが隣の空いた席に客を連れて来てよいかと尋ね、了解したら日本人らしき女性が席を求めて来た。聞いて驚いたことには、彼女はシンシナティの我が家のご近所、イーナおばさんの所に以前住んでいた下宿人だった。今は日本で結婚し、パナマの友人に会いに行く道中のフライトだった。高校、大学とイーナおばさんと暮らしたそうだ。イーナとは我々夫婦も付き合ってきた。そもそもイーナとの付き合いは、別の男性下宿人をイーナがシンシナティ空港に迎えに出た折、私がご近所と知り、同乗させてくれたことが始まりだった。これも因縁、今もって両人と付き合っている。(自悠人)