
ある人に、この時期なら晴れている日と、曇っている日の「どっちが好きか」と聞かれた。難しい質問である。いかにも秋らしい青空の下の色とりどりの華やかな森もいいし、霧の流れる曇天のしめやかで渋い森も捨てがたい。優劣をつけることはできそうもないし、それに見る側のその時の気分、心の状態なんかも評価に影響するだろう。
それにしても、森の中は大分赤の色調が強くなり、きょうのような曇り空ではカエデやモミジ、ヤマブドウ、ウルシが、一際目立つ。晴れなくても一向に構わないから、しばらくこのまま見事な自然の演出を続けて欲しいと思う。

霧がまた降りてきた。草を食む牛との共演で、止まっていた風景にもようやく動きが生まれた。牛たちは第4牧区の奥の方に移動していたはずなのに、いつの間にか戻ってきたようだ。こうして牛を見ていれば、自然と気持ちが和む。寝ている時と反芻の時以外は殆ど同じ動作を繰り返し、時々頭を上げて考え込むようなふりをする。まるで何かを思い出そうとしているかのようで、その様子が可笑しい。この見慣れた平和な景色の中から、牛の姿が消えてしまうのも、もうすぐだ。
短かい一日が終わる。
これからの季節は時代遅れの山小屋がオススメ。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」と「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。