昼過ぎて、雨になった。きょうのような静かな雨なら、この季節らしい趣があってそれも悪くない。気になっていたキャンプ場の鹿の落とし物を片付け、トイレや露天風呂の掃除を済ませたあと、ようやくいつもの牛たちのご機嫌伺いをしてきた。そしてまた、コナシとの格闘を続けてる。伐ったままにしておいても、一冬越せば枯れてもっと扱いは楽になるが、なるべく目障りにならない方が良いだろうと一応気を遣っている。
枯れ枝 ほきほき 折るによし ―― 尾崎 放哉
ふと、こんな自由律の句が浮かんだ。どんな思いの裡にあって、このような句ができたのか。彼が小豆島の南郷庵で、いよいよ死期を意識しながら暮らしていたころの作のはずだ。佳句か駄句かも分からない。
雨音が次第に強くなり、色づき始めた白樺やコナシの上に霧が降りてきた。いい眺めだ。権兵衛山は灰色の雲の中にまた隠れてしまって、その分だけ空白が広がって見える。大分赤みを帯びてきたヤマザクラの葉と、緑と黄色のまだら模様の草地がかろうじて視界にあるが、もうすぐに白い闇に包まれてしまいそうだ。
落葉松の大木が消えたかと思うと、また霧の中から浮かぶように現れ、今はまた完全に見えなくなってしまった。そういうことをくりかえしつつそのたびに霧は濃くなり、もうすぐそこまで忍び寄り・・・。
突然、酔っぱらった声の山奥氏の電話が飛び込んできた。そうでなければもう少し別なことをここに書けそうだったが、マグロの漬けはあまり焼かない方がいいとか、食に関するセンセイのあれこれの講釈を拝聴していたら、すっかり気分がおかしな方へ行ってしまった。山奥奴、早く海に行け!しっしっ。
これからの季節は時代遅れの山小屋がオススメ。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」と「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。