内容紹介
ぶらりぶらりと歩きながら、語らいながら、静かに時間が流れていく。鎌倉稲村ガ崎を舞台に、父と息子、便利屋の兄と妹の日々・・・それぞれの時間とうつりゆく季節を描く。谷崎潤一郎賞受賞作。
今年はエキセントリックな小説ばかり読んできたので、こういうゆるふわ系のを読むと新鮮に感じる。
特別な事件は何も起きず、深刻な悩みもなく、我々の日常に近いこんなものが小説になるんか?というところが逆にすごい。ただ、しゃべってる内容は高度に哲学的ではあるが。
『ビブリア古書堂~』で鎌倉に興味を持っていたところへ、さらにより鎌倉をクローズアップしたこの本、益々関心が高まった。鎌倉散歩してみたい・・・
まあストーリーと呼べるものは殆ど無いのだけど、それでも強く惹かれるのはキャラクターに感情移入できるかどうかなのだなあ。この主人公が自分と似てるとか思っちゃうと、完全に捉えられちゃうわけだ。
軽妙なおしゃべりも魅力の一つ。いちいちすごく理屈っぽいところもかえってよい。ストーリーがないくせに登場人物がやたらと多いのもよいし。
ところで、著者の名前をどこかで見たなあと思ってたら『羽生』の作者だった。
ブログにも書評を書いてた2007/8/21保坂和志『羽生~最善手を見つけ出す思考法』
これは将棋棋士羽生善治の思考を研究した内容。羽生ファンなので読んでみたが正直ちんぷんかんぷんだった。最後まで読みきれなかった気もする。
けれど、もう一度トライしてみようかな・・・