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アガサ・クリスティ『アクロイド殺し』

2009-10-24 | 読書
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推理小説わりと好きなのに今までアガサ・クリスティを読んでこなかった。それには明白な理由がある。若かりし頃唯一読んだ『オリエント急行殺人事件』、今では内容についてまるっきり覚えてないものの読み終えたあとのあの読後感は忘れられない。「面白い」とかじゃない、ただ唖然として「ふざけるな!」と怒りを感じたのだ。こんなのが推理小説かよ!って。ネタばらしになるからトリックは書かないけどね。

それがため読まずに来たのだけど、雑誌で推薦されていたのを見て本作だけは読んでおくかと。
人間って年齢で感性が変わるんだなと、つくづく感じ入った、素直に面白かった。ただし、本作のトリックもあまりにも驚愕もののため賛否両論あるという。ま、確かに掟破りではあるな。

森博嗣氏が「アクロイド殺しを先入観なしで読んだ人は幸福である」と書いたそうだ。確かにうなずける。なので詳細は書きません、ぜひ未読の方は情報を仕入れずに読んでみてください(って上で「掟破り」と書いてしまったが)。

でもぼくが今回面白かったのはトリックよりもむしろ探偵エルキュール・ポアロのキャラだな。若いときに感じたのはなんか冴えないつまらない探偵だなあと。だって物語のヒーローなのにチビ・デブ・ハゲの3拍子そろいそのくせやたらと上品ぶった言い回しだもん。本よりもドラマのポアロの影響かもしれないが。

いや、ポアロの魅力はだからこそ輝くのだと今になって理解できた。上品な口ぶりから辛らつな皮肉を交えた推理、自信過剰気味の自己評価などこんな魅力的なキャラはなかなかいない。

というわけで、しばらくクリスティ漬けになるかも。