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『暗号解読』サイモン・シン

2008-10-17 | 読書
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たかっぺさんにコメント欄で薦められ素直に読んでみた、面白い、面白いけど疲れる。副題に「ロゼッタストーンから量子暗号まで」とあるが、どちらかというとロゼッタストーンのほうがぼくの好みだな。つまり古代文字の解読。

この本では有史以来の暗号作成と解読の歴史を物語っているのだけど、この古代文字編だけは暗号ではなく古すぎて読める人が居なくなった文字の話。そのロゼッタストーンには古代エジプトの文字「ヒエログリフ」が書かれており何世紀も謎のままだった。
Egyptian_funerary_stela.jpgこれがヒエログリフ(ロゼッタストーンじゃない)

けれど解読の進め方は暗号解読と同じで、文字の頻出度やセンテンス内での位置などによって推理していく。これ以外にもいまだに解読されてない古代文字はたくさんあるそうで、もちろん解読に向けて日夜取り組んでいるんだろうが何かしらの取っ掛かりがないと厳しいらしい。
未解読の文字を見てみたけど、ぼくなんかが見ると古代の子供が無意味にいたずら書きしたんじゃないかと訝ってしまう、それくらい文字という概念から遠い。

本題である暗号作成者と暗号解読者の戦いは壮絶を極めている。
暗号ってこんなに複雑に進化しているんだ!と思わず唸ってしまうほど複雑怪奇で、ましてやそれを解読する人がいるというのだから驚いた。双方の暗号の掛け方と解き方を丁寧に書いてくれてるが、とてもじゃないが理解しきれない。その部分は読んでるうちに眠ってしまうのが常だった。

ちなみに数学的見地からも暗号の発見および解読は優れた文化的歴史的功績であるものの、戦時などでは解けたことを他国に知られないようにほとんど機密扱いにされた、よってノーベル賞レベルの功績も当人が死んでから発表されるなど、なんともやりがいのない仕事だ。

他に興味を惹いたのは「ナヴァホ・コード」といってこれは第2次大戦時のアメリカによる先住民の言葉を利用した暗号。ナヴァホ族の言葉には文字がなく他国からの接触もないためナヴァホ族同士の会話を理解できないことを利用している。特に気になったのは文字を持たない民族って記憶力が数段高いってこと。脳における文字の負担は相当でかいのだろう。

最後の章の量子暗号はぼくの好きな「量子物理学」に関わってくるが、もうだめだ、わけわかんないって^^;例によって「シュレティンガーの猫」とか出てくるが、ぼくには一生かかっても理解できないような気がする。好きなことと得意なことは別という良い例だ。