
土曜日、日曜日と伊豆に行っておりました~
日曜日に子ども創作能の稽古があったのですが、土曜日は「子どものための能楽講座」というものの講師を勤めて参りました。これは静岡県が主催して子どもに芸術文化を体験させることで創造性を養う「ふじのくに子ども芸術大学」の講座で、応募により県内各地で講座が開かれます。
ぬえの場合は「子ども創作能」の主催団体が ぬえに「やってみない?」とお勧め頂いて応募したのですが、主催団体は県の事務局との交渉や会場の確保、事務手続きから当日の受付まで引き受けてくださって、とてもありがたい事でした。
考えてみれば「子ども創作能」の指導も ぬえはすでに13年間続けているわけですが、いまの参加者の子どもたちは能をちゃんと見ていないのですよね。もともと子ども能は、どちらかといえば能を子どもたちが演じる、というよりは「能の形式を用いた創作舞台」で、ましてや子どもたちが演じるのは地元の歴史的事件や民話を題材にした新作の台本です。ちょっと能とは別のものなので、この講座はとても良いチャンスでした。子ども能の参加者には、自分たちが携わる「能」の伝統的に受け継がれてきた古典の作品に触れ、また子ども創作能では用いない本物の能面や能装束を体験するのです。これらを知ってはじめて「子ども創作能」というものの存在価値が生まれる、と言えるわけですからね。
講座では、まず古典の能の作品を実際に見てもらう、ということで、ぬえが紋付の上に長絹や鬘帯、天冠を着け、また面を掛けて、簡易な形ながらも実際の能に近い条件で『羽衣』を演じました。『羽衣』は 言うまでもなく静岡県が舞台の作品。伊豆から見たら三保の松原は駿河湾をはさんで対岸という感じの場所ですし、なんと言っても富士山は伊豆からは本当に大きく見えるので親近感もあるのですよね。
ついで面の解説なども行って、さていよいよ 子どもたちにも動いてもらいます。お手伝いに来てもらった ぬえの師家の同門UさんとKさんと手分けして、ぬえは『羽衣』、UさんとKさんには『熊野』の仕舞の稽古。実際にはどちらも 子どもたちがすぐに覚えられるように型を簡略にしたのですが、子どもたちはやっぱり すぐに覚えた模様。まあ、相変わらず子どもたちの記憶力は底なしですわ。(^◇^;)
『熊野』も これまた静岡県にゆかりのある曲ですね。もうひとつ、この曲を選んだ理由は、『羽衣』とはまた違った装束を身につけるためです。このあと実際に装束を着せて、その違いも見て欲しかったのです。『羽衣』も『熊野』も、ちょっと小学生には難解な曲かもしれませんが、今回はあえて飛んだり跳ねたり、派手な曲は避けて、ゆったりとした舞を見せる曲を選びました。派手で面白い曲の方が子どもたちも喜ぶだろうけれど、繊細な面の表情とか動作の優美さとか、そういうところを感じ取ってもらいたいと考えたのです。
さて2つのグループに分かれてしばし稽古をしてから、ちょっとした仕舞の発表会になだれ込みました。(^_^; 『羽衣』、『熊野』、それぞれの装束を着けて実際に舞ってもらったのです。ぬえの所蔵の装束にも限りがあり、また着付けの時間もそれほど取れないので発表する子は数人でしたが、これはなかなか面白いものになりました。トップ画像がその『熊野』の発表。大人の装束なのであちこちダボダボなのは仕方ないにしても、なんかヨチヨチ、かわゆい熊野御前になりました~(^^)V

こちらは『羽衣』。紫の長絹はこの曲には使いませんけれども。。こういう装束は子どもに着せるのには少々無理がありますが、生地を縫い込んだり、即席に工夫をしてなんとか着付け成功。。でもなんか重たそうですね~~。ホントに飛べるのかいな。

が、予想に反して子どもたちは軽々と舞ってみせてくれました。

今回の参加者は子ども創作能の出演者が多かったですけれども、そうでない一般の子どもたちも何人か参加してくれました。『熊野』ではそんな、初めて能に触れる子も装束を着てみたのですが、こちらも ずっと以前から子ども能に携わっているような余裕もあったのですよ。やはり子どもたちに日本の伝統文化を伝えるのは必要。あの吸収力ならば、ちゃんと学校で教えれば、いま周囲にあふれる外国の文化と同じように自然に日本の文化も身近なものになるでしょう。
最後に、これは ぬえはどこででも講座があればやるのだけれども、古い扇と現代の扇の職人さんの仕事の違いを見てもらいました。こういうこと、長い長い歴史を持った日本のような国でなければできない事なのですよね。今、それと気づかないうちに外国の文化にばかり慣れ親しんでしまっている我々。「日本くらい、自分たちの文化を捨ててしまった国はほかにないのですよね。。」何年か前に、小田原で聞いた児童教育の専門家の講演が ぬえの耳をよぎります。そうして、ぬえは日本の文化のすごさを。。世界で一番の奥深さを持った文化と確信しているから、これを子どもたちに理解してほしいのですよね。
ぬえ、キミたちに期待してます!
日曜日に子ども創作能の稽古があったのですが、土曜日は「子どものための能楽講座」というものの講師を勤めて参りました。これは静岡県が主催して子どもに芸術文化を体験させることで創造性を養う「ふじのくに子ども芸術大学」の講座で、応募により県内各地で講座が開かれます。
ぬえの場合は「子ども創作能」の主催団体が ぬえに「やってみない?」とお勧め頂いて応募したのですが、主催団体は県の事務局との交渉や会場の確保、事務手続きから当日の受付まで引き受けてくださって、とてもありがたい事でした。
考えてみれば「子ども創作能」の指導も ぬえはすでに13年間続けているわけですが、いまの参加者の子どもたちは能をちゃんと見ていないのですよね。もともと子ども能は、どちらかといえば能を子どもたちが演じる、というよりは「能の形式を用いた創作舞台」で、ましてや子どもたちが演じるのは地元の歴史的事件や民話を題材にした新作の台本です。ちょっと能とは別のものなので、この講座はとても良いチャンスでした。子ども能の参加者には、自分たちが携わる「能」の伝統的に受け継がれてきた古典の作品に触れ、また子ども創作能では用いない本物の能面や能装束を体験するのです。これらを知ってはじめて「子ども創作能」というものの存在価値が生まれる、と言えるわけですからね。
講座では、まず古典の能の作品を実際に見てもらう、ということで、ぬえが紋付の上に長絹や鬘帯、天冠を着け、また面を掛けて、簡易な形ながらも実際の能に近い条件で『羽衣』を演じました。『羽衣』は 言うまでもなく静岡県が舞台の作品。伊豆から見たら三保の松原は駿河湾をはさんで対岸という感じの場所ですし、なんと言っても富士山は伊豆からは本当に大きく見えるので親近感もあるのですよね。
ついで面の解説なども行って、さていよいよ 子どもたちにも動いてもらいます。お手伝いに来てもらった ぬえの師家の同門UさんとKさんと手分けして、ぬえは『羽衣』、UさんとKさんには『熊野』の仕舞の稽古。実際にはどちらも 子どもたちがすぐに覚えられるように型を簡略にしたのですが、子どもたちはやっぱり すぐに覚えた模様。まあ、相変わらず子どもたちの記憶力は底なしですわ。(^◇^;)
『熊野』も これまた静岡県にゆかりのある曲ですね。もうひとつ、この曲を選んだ理由は、『羽衣』とはまた違った装束を身につけるためです。このあと実際に装束を着せて、その違いも見て欲しかったのです。『羽衣』も『熊野』も、ちょっと小学生には難解な曲かもしれませんが、今回はあえて飛んだり跳ねたり、派手な曲は避けて、ゆったりとした舞を見せる曲を選びました。派手で面白い曲の方が子どもたちも喜ぶだろうけれど、繊細な面の表情とか動作の優美さとか、そういうところを感じ取ってもらいたいと考えたのです。
さて2つのグループに分かれてしばし稽古をしてから、ちょっとした仕舞の発表会になだれ込みました。(^_^; 『羽衣』、『熊野』、それぞれの装束を着けて実際に舞ってもらったのです。ぬえの所蔵の装束にも限りがあり、また着付けの時間もそれほど取れないので発表する子は数人でしたが、これはなかなか面白いものになりました。トップ画像がその『熊野』の発表。大人の装束なのであちこちダボダボなのは仕方ないにしても、なんかヨチヨチ、かわゆい熊野御前になりました~(^^)V

こちらは『羽衣』。紫の長絹はこの曲には使いませんけれども。。こういう装束は子どもに着せるのには少々無理がありますが、生地を縫い込んだり、即席に工夫をしてなんとか着付け成功。。でもなんか重たそうですね~~。ホントに飛べるのかいな。

が、予想に反して子どもたちは軽々と舞ってみせてくれました。

今回の参加者は子ども創作能の出演者が多かったですけれども、そうでない一般の子どもたちも何人か参加してくれました。『熊野』ではそんな、初めて能に触れる子も装束を着てみたのですが、こちらも ずっと以前から子ども能に携わっているような余裕もあったのですよ。やはり子どもたちに日本の伝統文化を伝えるのは必要。あの吸収力ならば、ちゃんと学校で教えれば、いま周囲にあふれる外国の文化と同じように自然に日本の文化も身近なものになるでしょう。
最後に、これは ぬえはどこででも講座があればやるのだけれども、古い扇と現代の扇の職人さんの仕事の違いを見てもらいました。こういうこと、長い長い歴史を持った日本のような国でなければできない事なのですよね。今、それと気づかないうちに外国の文化にばかり慣れ親しんでしまっている我々。「日本くらい、自分たちの文化を捨ててしまった国はほかにないのですよね。。」何年か前に、小田原で聞いた児童教育の専門家の講演が ぬえの耳をよぎります。そうして、ぬえは日本の文化のすごさを。。世界で一番の奥深さを持った文化と確信しているから、これを子どもたちに理解してほしいのですよね。
ぬえ、キミたちに期待してます!
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