今日は国立能楽堂の「普及公演」で『朝長』を拝見して来ました。それほど上演頻度の高くない『朝長』ですが、昨年末から東京では何度か舞台に掛けられる珍しい事態となりました。12月には浅見真州師がご自身の会で、4月には先代宗家・観世左近師の追善能で関根祥六師(このときは「懺法」の小書つき)、そして今日は大阪から来演された大槻文蔵師が『朝長』を勤められ、さらに6月に ぬえ自身がこの大曲を勤めさせて頂きます。『朝長』は、このように大先輩が勤めるような曲なので、ぬえにとっては非常にナマイキなのですが。。
ともあれ ぬえにとっては、自分の上演の前に何度かそのような大先輩の舞台があるのは大変に幸運な事で、ぬえはそのすべての公演を拝見する事ができました。型や謡についてのそれぞれの先輩演者の解釈が、舞台にこれほど幅広い「幅」を持たせる事に今さらながら感嘆もしましたし、微妙な演技の違いが大きな効果の違いとなって現れてくるのを見るとき、このような大曲に限らず、やはり役者というものは、舞台での一挙手一投足、呼吸にまで神経を費やさなければならない、と痛感します。
。。閑話休題。
今日、国立能楽堂に到着して気づいたのですが、能楽堂の展示室でなんとも大変贅沢な展示が開催されています。あまり大仰な宣伝もされていなかったようでしたが、展示品はとんでもない一級品。
能楽入門Ⅰ『平家物語と能』 会期 4月29日~6月25日
開室時間 午前10時~午後5時
休室日 毎週月曜日
【主な展示品】(●印は今日展示されていたもの)
●平家納経(大正期=田中親美復元)
●金銀荘雲龍文銅製経箱(同)
平家琵琶 銘「大滝」(江戸時代前期)
●楽琵琶 銘「青山」(九条家伝来)
●龍笛 銘「青龍」(紀州徳川家伝来)
高麗笛 (江戸時代後期)
和琴 (江戸時代後期)
楽箏 銘「玉川」(桃山時代)
●俊成忠度 伝沢庵和尚筆(江戸時代初期)(掛軸)
●一の谷合戦絵巻 (江戸時代前期)
●光悦流書体観世流謡本(江戸時代初期)
●平家物語 灌頂巻 (江戸時代初期写本)
●源平盛衰記 (江戸時代前期古活字本)
●元和卯月本 (江戸時代前期)(観世流謡本)
●平家物語 八坂流「文禄本」写本(現代=復刻版)
能装束 ●紅白段腰替桐巴格子模様厚板
●竹屋町単法被(懺法法被)
能面 ●小面●十六●頼政●万媚●中将●泣増●平太
●能之図 狩野柳雪筆 (江戸時代後期)
●能絵鑑 (江戸時代中期)
特筆すべきは、なんたる偶然か、観世宗家に伝わる「竹屋町懺法法被」が展示されている事と、それと平家納経が同時に見られる珍しい企画だという事でしょう。
「竹屋町懺法法被」は観世宗家の家宝ともいうべき装束で、歴史資料としても大変貴重な装束です。製作されたのはなんと室町時代で、世阿弥の甥で世阿弥の跡を継ぎ三世観世太夫となった音阿弥が将軍・足利義政から拝領した、というものすごい来歴を持った装束で、おそらく現存する能装束としては最古のものではないでしょうか。しかもすごい事にはこの装束はいまだに現役で、観世宗家が『朝長』の重い重い小書「懺法」を勤めるときのみ着用されます。ぬえはこの「懺法法被」が展示されているのを見るのはこれが二度目か三度目になりますが、まさかこのタイミングで拝見するとは思いも寄らなかった。。
一見したところ紺地に見えますが、じつはかなり濃い萌黄色で、古い装束なのにかなり大ぶりなのが印象的です。単の法被なのですが、補強のために紗の裏地が付けられていて、また法被には本来ないはずの袵が付けられているのも珍しい事です。着付けのための折り切れもほとんどなく、保存状態は申し分ないと言えるのですが、さすがに前身頃は共布を接いであって(共布が、残されていたんですね。。驚異)、また能楽師の性分として ぬえは左の首のあたりを見てしまうのですが。。やはりそこは少し傷んでいるようです。修羅能の定型として、法被や長絹を着付ける場合は右肩を脱いで着付けるのですが、左側の肩がずり落ちてこないように、法被の襟のあたりを左肩のところで着付けに縫いつけるのです。そこだけはどうじても傷んでしまうので、これは修羅能に使う装束の宿命なのですね。
竹屋町単法被(懺法法被)の実物の画像は観世文庫のサイトでご覧になる事ができます。
ともあれ ぬえにとっては、自分の上演の前に何度かそのような大先輩の舞台があるのは大変に幸運な事で、ぬえはそのすべての公演を拝見する事ができました。型や謡についてのそれぞれの先輩演者の解釈が、舞台にこれほど幅広い「幅」を持たせる事に今さらながら感嘆もしましたし、微妙な演技の違いが大きな効果の違いとなって現れてくるのを見るとき、このような大曲に限らず、やはり役者というものは、舞台での一挙手一投足、呼吸にまで神経を費やさなければならない、と痛感します。
。。閑話休題。
今日、国立能楽堂に到着して気づいたのですが、能楽堂の展示室でなんとも大変贅沢な展示が開催されています。あまり大仰な宣伝もされていなかったようでしたが、展示品はとんでもない一級品。
能楽入門Ⅰ『平家物語と能』 会期 4月29日~6月25日
開室時間 午前10時~午後5時
休室日 毎週月曜日
【主な展示品】(●印は今日展示されていたもの)
●平家納経(大正期=田中親美復元)
●金銀荘雲龍文銅製経箱(同)
平家琵琶 銘「大滝」(江戸時代前期)
●楽琵琶 銘「青山」(九条家伝来)
●龍笛 銘「青龍」(紀州徳川家伝来)
高麗笛 (江戸時代後期)
和琴 (江戸時代後期)
楽箏 銘「玉川」(桃山時代)
●俊成忠度 伝沢庵和尚筆(江戸時代初期)(掛軸)
●一の谷合戦絵巻 (江戸時代前期)
●光悦流書体観世流謡本(江戸時代初期)
●平家物語 灌頂巻 (江戸時代初期写本)
●源平盛衰記 (江戸時代前期古活字本)
●元和卯月本 (江戸時代前期)(観世流謡本)
●平家物語 八坂流「文禄本」写本(現代=復刻版)
能装束 ●紅白段腰替桐巴格子模様厚板
●竹屋町単法被(懺法法被)
能面 ●小面●十六●頼政●万媚●中将●泣増●平太
●能之図 狩野柳雪筆 (江戸時代後期)
●能絵鑑 (江戸時代中期)
特筆すべきは、なんたる偶然か、観世宗家に伝わる「竹屋町懺法法被」が展示されている事と、それと平家納経が同時に見られる珍しい企画だという事でしょう。
「竹屋町懺法法被」は観世宗家の家宝ともいうべき装束で、歴史資料としても大変貴重な装束です。製作されたのはなんと室町時代で、世阿弥の甥で世阿弥の跡を継ぎ三世観世太夫となった音阿弥が将軍・足利義政から拝領した、というものすごい来歴を持った装束で、おそらく現存する能装束としては最古のものではないでしょうか。しかもすごい事にはこの装束はいまだに現役で、観世宗家が『朝長』の重い重い小書「懺法」を勤めるときのみ着用されます。ぬえはこの「懺法法被」が展示されているのを見るのはこれが二度目か三度目になりますが、まさかこのタイミングで拝見するとは思いも寄らなかった。。
一見したところ紺地に見えますが、じつはかなり濃い萌黄色で、古い装束なのにかなり大ぶりなのが印象的です。単の法被なのですが、補強のために紗の裏地が付けられていて、また法被には本来ないはずの袵が付けられているのも珍しい事です。着付けのための折り切れもほとんどなく、保存状態は申し分ないと言えるのですが、さすがに前身頃は共布を接いであって(共布が、残されていたんですね。。驚異)、また能楽師の性分として ぬえは左の首のあたりを見てしまうのですが。。やはりそこは少し傷んでいるようです。修羅能の定型として、法被や長絹を着付ける場合は右肩を脱いで着付けるのですが、左側の肩がずり落ちてこないように、法被の襟のあたりを左肩のところで着付けに縫いつけるのです。そこだけはどうじても傷んでしまうので、これは修羅能に使う装束の宿命なのですね。
竹屋町単法被(懺法法被)の実物の画像は観世文庫のサイトでご覧になる事ができます。
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