本日、観世栄夫先生のお通夜に伺って参りました。
いつかはこんな日が来るのは分かっているはずの事だけれども、まさかこんなに突然に栄夫先生がいなくなるなんて。。
1ヶ月前に高速道路での交通事故があり、我々も心を痛めていましたが、しばらくお舞台から遠ざかることはあっても、必ずや復帰されてまたあのお元気なお姿を拝見できる事を信じ、また楽しみにもしていました。他門の ぬえたちでさえ そういう思いだったのですから、栄夫先生は能楽師みんなに敬愛されておられました。おそらく能楽師で栄夫先生の事が好きでない、という人はひとりもおられないんじゃないか、と思います。
ぬえは観世寿夫先生の生前のお姿はついに知らないままで育ってしまいましたが、先代の銕之丞(静雪)先生と栄夫先生には大いに感化された者のひとりです。能楽界での宴席でもあれば、いつも若い者のテーブルを選んではその真ん中にどっかりと座り込み、熱く能楽論を語っておられた静雪先生。その静雪先生が亡くなった時には能楽界全体が。。一瞬だけれどもフリーズしたのを ぬえは目撃してしまいました。静雪師のご逝去のあと、もちろん能の催しは各会のスケジュールに従って行われ続けたわけですけれど。。ぬえがそれら他門のお会を拝見していると。。何かおかしい。。何かが止まっちゃっている。。そのあと、また別のお会を拝見に伺ってもやっぱり同じ。。そのときの出演者全員がそうだったのではないでしょうが、ぬえは恐ろしいものを見てしまったような気がしました。静雪師のご逝去は ぬえ自身にとってもショックだったけれど、これほど広い範囲に影響を与えたなんて。
静雪師が能楽師のほとんどみなさんから尊敬を集めておられたとすれば、栄夫師はまさに敬愛を一身に受けておられたように思います。あまり口数の多い方ではなかったですが、若い者にもまったく分け隔てなく接してくださる。楽屋で作物を組み立てるのに手間取っていると、最後までそばに立ってアドバイスして下さったり指示を与えたり。。偉い先生なのに、細かい点まで楽屋で注意を払ってくださるためか、いろいろな会から出演の依頼があったようで、お舞台で後見をされているお姿は頻繁に拝見しました。今日のお通夜でも、若手の弟子が涙をこらえていました。。
栄夫先生とのお別れが、こんな突然に、こんな形で訪れようとは思っても見ませんでした。まさに「かき消すように失せにけり」。。なんだか実感がわかない ぬえには、おワキの待謡を聞いて、また栄夫先生が元気なお姿を見せてくださるような気がしてなりません。。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
合掌
いつかはこんな日が来るのは分かっているはずの事だけれども、まさかこんなに突然に栄夫先生がいなくなるなんて。。
1ヶ月前に高速道路での交通事故があり、我々も心を痛めていましたが、しばらくお舞台から遠ざかることはあっても、必ずや復帰されてまたあのお元気なお姿を拝見できる事を信じ、また楽しみにもしていました。他門の ぬえたちでさえ そういう思いだったのですから、栄夫先生は能楽師みんなに敬愛されておられました。おそらく能楽師で栄夫先生の事が好きでない、という人はひとりもおられないんじゃないか、と思います。
ぬえは観世寿夫先生の生前のお姿はついに知らないままで育ってしまいましたが、先代の銕之丞(静雪)先生と栄夫先生には大いに感化された者のひとりです。能楽界での宴席でもあれば、いつも若い者のテーブルを選んではその真ん中にどっかりと座り込み、熱く能楽論を語っておられた静雪先生。その静雪先生が亡くなった時には能楽界全体が。。一瞬だけれどもフリーズしたのを ぬえは目撃してしまいました。静雪師のご逝去のあと、もちろん能の催しは各会のスケジュールに従って行われ続けたわけですけれど。。ぬえがそれら他門のお会を拝見していると。。何かおかしい。。何かが止まっちゃっている。。そのあと、また別のお会を拝見に伺ってもやっぱり同じ。。そのときの出演者全員がそうだったのではないでしょうが、ぬえは恐ろしいものを見てしまったような気がしました。静雪師のご逝去は ぬえ自身にとってもショックだったけれど、これほど広い範囲に影響を与えたなんて。
静雪師が能楽師のほとんどみなさんから尊敬を集めておられたとすれば、栄夫師はまさに敬愛を一身に受けておられたように思います。あまり口数の多い方ではなかったですが、若い者にもまったく分け隔てなく接してくださる。楽屋で作物を組み立てるのに手間取っていると、最後までそばに立ってアドバイスして下さったり指示を与えたり。。偉い先生なのに、細かい点まで楽屋で注意を払ってくださるためか、いろいろな会から出演の依頼があったようで、お舞台で後見をされているお姿は頻繁に拝見しました。今日のお通夜でも、若手の弟子が涙をこらえていました。。
栄夫先生とのお別れが、こんな突然に、こんな形で訪れようとは思っても見ませんでした。まさに「かき消すように失せにけり」。。なんだか実感がわかない ぬえには、おワキの待謡を聞いて、また栄夫先生が元気なお姿を見せてくださるような気がしてなりません。。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
合掌
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