ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

第21次支援活動<登米市・気仙沼市>(その1)~滝桜は散っていました。。

2014-05-13 22:51:14 | 能楽の心と癒しプロジェクト
もう今週には第22次活動が予定されている昨今。。去る4月末に登米市および気仙沼市にて第21次となる活動をして参りました。

今回は桜の頃の活動で、それがなんと言っても楽しみでした。かつてプロジェクトでは2012年のゴールデンウィークに気仙沼大島で活動したことがありまして、東京ではとっくに散っていた桜が満開なのを見て驚いたものですが。。今回はたまたま登米市でお世話になっている横山不動尊さんの春のお祭りに出演させて頂けることになり、満を持して、桜の下での舞という趣向となりました。

。。が、そこは自然のこと。活動の日が迫ってくるにつれて、福島ではもう桜が満開だ、気仙沼でも咲きだした、と例年より微妙に早い開花の便りが東京にもたらされてきて、このままでは活動の頃にはもう桜の時期は終わってしまうんじゃ。。? と心配される事態になってきました。

それでも東京を出発する前日には「まだ咲いている」との報告も寄せられて、なんとかギリギリのタイミングで東北地方に向かうことになりました。

【4月27日(日)】

例によって未明に東京を出発。この4月から消費税が増税となり、ガソリン代の値上げが心配されますが、それはまだ顕著に影響は表れていないようですが。。問題は時期を同じくして行われた高速道路の割引制度の廃止や縮小で、東北支援活動にとっては またまた大きな障害となる心配が起きました。今回はたまたま往復とも休日割引の対象日で、6月いっぱいまでは50%の割引が適用されますが、これとて7月以降は30%割引に縮小される予定。我々プロジェクトに限らず東北の被災地支援がますます難しくなって来るのは必至です。なんとかならないのでしょうか。。

そういう心配事がある一方、この日の ぬえは活動の最初から観光気分も。せっかくの桜の季節の活動なのだから、と往路に有名な福島県・三春町の滝桜に立ち寄ることにしました。もう活動の何日も前から楽しみにしていて、三春町のホームページに上げられた開花状況の報告を見たり、ライブカメラの映像でチェックしたり。。なんて便利な世の中になったもんでしょう。

で、この日の滝桜は散り際。。やはり桜を見るにはギリギリ、という感じでした。桜の季節には滝桜の周辺は大渋滞、見るなら夜明けがお勧め、という情報も得ていたので午前5時過ぎに滝桜に到着しました。高速道路を下りて滝桜に向かう道すがら、あちらこちらにある桜はどれも花盛り。いやが上にも期待は高まりました。

が。

ああ、なんということか、滝桜は完全に花が散って灰色の無惨な光景でした。。



この時間にすでに観光協会の職員さんも滝桜の詰め所に出勤していたのでお話を聞いてみると。。
この前日まで、なんとか滝桜は花を残していたのだそうです。そして、むしろ滝桜の後方の丘の上にあるソメイヨシノがちょうど花の盛りとなって、広い公園になっている滝桜の周辺全体がちょうど見頃なのだったそうで。

ところがその午後に強い風が吹いて、一気に花が散ってしまったのだそう。滝桜も、ソメイヨシノも。
観光協会の職員さんは「そのときは、まるで真っ白いレースのカーテンを空中に引いたようで、それはそれはキレイだったんですよ!」と。そうですか。。

ついでながらその夕方近く、すでに花が散ったあとにNHKの取材が来たのだそうです。花が散っていたのに取材班も困ったようですが、そこはプロの技術で、右下の方に少しだけ残っていた滝桜の花を上手に写して「うん、これなら満開に見えるかもしれませんね」なんて言って帰ったのだそうで。花が残っている? ははあ、このへんか。。



そしてテレビでその映像が放映されたのですが、それを見てやって来た観光客は散った滝桜を見てガッカリ。「観光協会では観光客に問いつめられて平謝りだったんですよ」と職員さんは笑いながら教えてくれました。そうですか。。

そんなわけで、最初からつまづいた形の今回の活動。登米市と気仙沼の桜はどうだろう。。不安は胸をよぎりつつ、残念な寄り道に落胆しつつ、先を急ぐことにしました。。