ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

イノシシと鹿、頂きました~、と…苦労して作った稽古用プリントが~!!!!

2010-02-06 00:16:49 | 雑談
世の中にはいろんな方がおられるもので…

先日 地方に稽古に行きましたところ、ずっとお休みになっていて久しぶりにお稽古に見えた生徒さんがおられましたが、帰り際に ぬえにプレゼントをくださいました。それが…

イノシシ肉 と 鹿の肉! …とさらに どっさりの果物~

果物は畑で採れたものなのだそうですが、イノシシと鹿は…お宅の山(!)にワナを仕掛けて捕らえたものだそうで… すごい…「イノシシは牡丹鍋で、鹿はお刺身でもいけますが~」と、この方はおっしゃっておられました。

イノシシ肉を使った牡丹鍋は、例の、元旦の深夜に兵庫県・丹波篠山で行われる師家の恒例行事「翁神事」の際に毎年 現地で戴くので、ぬえには特に違和感はありませんが、まさか個人でイノシシを捕る人がいるなんて。冷凍された塊の肉を頂いて、ん~、しかし自宅で牡丹鍋を作るのは大変そう~~

そういえば丹波篠山には「猪肉専門店」というものもあって、ときには東京へのお土産用に猪肉…これはスライス肉ですね…を買って帰ることもあるのですが…。が、しかし、なぜか猪肉ってとっても高価! そうそうは何百gも買えるわけではありませぬ。やっぱり狩猟によって1頭ずつ仕留める手間が掛かっているんでしょうか。ついでながら「猪肉専門店」には鹿肉や熊肉も売ってま~す。

ちなみに丹波篠山地方で牡丹鍋は名物ではありますが、べつに観光用に開発されたものでもなんでもなく、一般の家庭でも普通に牡丹鍋…つまり猪肉を食べるのだそうですね。今年の正月に丹波篠山に伺った際には当地の「能楽資料館」館長の中西薫さんとご一緒に牡丹鍋屋さんに行ったのですが、帰省中の中西氏の大学生のご長男がご一緒で、いろいろな話を聞かせて頂きました。で、彼は北陸地方の大学に通っているのですが、丹波地方を離れて暮らしてみて、はじめて他府県では猪は普通は食べないことを知って驚いたのだそうです。そんなものですかね~、「え? みんな、イノシシ、食べないの?」と言われた彼の友人の方がとっても とっても驚いたと ぬえは思ふ。

さて丹波篠山で見る牡丹鍋のレシピですが、まず材料は猪肉。脂身が多く、やや厚めにスライスした(ハム 2~3枚分ぐらいの厚さでしょうか。自宅でスライスするならば半解凍状態で切るのですが、この薄さでは無理かも。これよりやや厚めで仕方ないでしょう)を花のように盛りつけたさまがボタンの花のように見えるところから「牡丹鍋」と呼ぶのだそうです。あとは普通の鍋と同じような野菜(白菜、ネギなど)や、豆腐、キノコ類、蒟蒻と、それから丹波名産の「山の芋」という巨大で粘りのある芋をスライスして使います。

鍋に水を張り(出汁かも)、大きな昆布を入れて煮たてます。煮たってきたところで、ここが大切! の味噌を入れます。4人用の鍋で、入れる味噌はどんぶり1杯! これでもかっというくらい味噌を入れるのですね~。

そして最初に野菜を入れて…かと思いきや! 牡丹鍋では最初に猪肉を入れるのですよ! じつは猪肉は、煮込んでも固くならないのです(!)。それで、肉の味も溶け出すように、最初に肉を入れるのですよね~。山の芋は煮えにくいので肉と前後して入れます。これで鍋に蓋をしてしばらく待ちます。煮えてきたら、ほかの野菜などを入れて、もう一度蓋をして、野菜が煮えてきたら出来上がり! これを すき焼きと同じように溶き卵につけていただきま~す (*^。^*) あ、そうそう、山椒をたっぷりふりかけるのも忘れずに~

で、問題は味噌なんです。丹波篠山の牡丹鍋屋さんで見る味噌はドロッとして真っ黒な味噌で、これはいろんな工夫で作られたものでしょうね~。「猪肉専門店」では同じような味噌をくれるのですが、これは小さなパック入りのものなので、「もっと たくさん下さいな!」とお願いします。一度、自宅でこの小さなパックだけで牡丹鍋を作ったことがありますが、味噌が少ないと情けない味になります。家庭で作る場合は赤味噌ベースに酒やみりんを入れて調整するほかはないか…やっぱり山椒を入れてみたらどうでしょうね。

ぬえ家では明日! 牡丹鍋に挑戦してみます~

というわけで、自作の稽古プリントのファイルが壊れた~、という話題はまた明日をお待ちください~