あれやらこれやら いろいろ沖縄

沖縄に住み30数年の県外居住者が見た沖縄の生活や人情・自然や文化、観光。「あれやらこれやら」気ままに。

行ってみたかった川崎・横浜 ~ ① 東京行の機中で

2019年06月13日 18時27分16秒 | Weblog
 東京にいる妹を訪ねてみようと思い立ったのは正月明けであった。
昨年、腰の骨を折ったが、順調に回復したということだった。
電話では快活な明るい声ではあったが、運動不足などで体力が衰えているだろうと気にかかっていた。

 2月には日程を決め、取り敢えず便だけ予約した。
東京には仕事で数えきれないほど行ったが、目的を達したら、とんぼ返りばかりだった。
 横浜には一度だけ立ち寄ったことがある。
列車を降りて、横浜駅前のレストランで娘と昼食を食べただけだった。
これじゃあ、横浜に行ったことにはならない。
そんなことで、妹の元気な顔をみたら横浜・川崎を歩いてみようと決めた。

 5月中旬。
那覇空港10時発の全日空機で那覇を発った。
薄めのジャケットに長袖のスポーツシャツ、所謂、春の気候に合わせた。
この頃、日本全土は冬になったり、夏になったりの不安定な気候だったので、バッグには半袖のポロシャツと長袖のアンダーシャツと長裾の下着を入れた。
お土産は数日前、沖縄の菓子類を買い込み、ダンボールに詰め込んで宅急便で送ってあったから身軽だった。
 沖縄を離れるのは5,6年振りだった。
5年前、免許証を自主返納したから、空港には出迎えも、見送りにも来ることがなかった。
久しぶりの筈なのに、以外に時の流れを感じることはなかった。
空港ロビーの賑わいも、売店の陳列も搭乗口で待つ人々の列も変わらなかった。
搭乗の際、機内に入るところで「新聞は・・・」と問うと、
「新聞は積んでおりません」と中年の女性スチュワーデス、否、客室乗務員から言われた。
席について、落ち着いて機内を見渡すと、通路を行き交う乗務員たちがほとんど中年だった。
やはり時代は変わっているのだと苦笑いした。

 窓外の景色を楽しもうと窓側の席を予約していた。
離陸するときは、ほぼ満席だったので助かった。






格納庫の前の駐機しているのは海上自衛隊の哨戒機P3Cだろう。
10数年前、あのP3Cに乗って、ここから尖閣列島上空を飛んだ事を思い出した。


 糸満上空。
曇りであったが、市街を見下ろすことが出来た。



 離陸後、直ぐに外界は雲海に一変した。
雲海をぼんやりと見下ろすのは嫌いではなかった。
遠くに盛り上がる雲は、時には雪を抱く高山の峰にも見えた。
ときには雲海が広く切れて、まるで湖のようにも感じた。
想像を逞しくしたものだった。
 きょうの空には魅力を感じなかった。
こういうときは機内で新聞を隅々まで読み、退屈な時間を過ごしたものだった。
その新聞のサービスはないという。
座席に取り付けられた袋から雑誌などを漁る。
イヤホーンを使ってみるがすぐに飽きた。

 隣席の中年男性から声をかけられた。うとうとしていたらしい。
通路にワゴンを押す乗務員がなにか言っている。
一段と耳が遠くなったらしい。
面倒だからコーヒーを頼んだ。
有料だったか、サービスだったか、一ヶ月を過ぎた今は記憶にない。
 隣席の男性の話が面白かった。
今年65歳になるという。
歳を聞いて驚いた。50代前半と思っていた。
今年、引退するつもりだという。
会社を経営しているという。
 「観光税というか沖縄観光に来る人から500円取ろうかという案が検討されているらしい」
とこの若々しい、エネルギーに満ちて、話し上手な彼に話題を投げかけてみた。
彼は知らなかった。
「新聞で一度見かけただけですから・・・」とことわりを入れた。
このことが契機となって、彼からとてつもなく面白い経験談を聞くことになる。
話の内容は割愛するが、彼のアイデアとその行動力には突き動かされるような衝動を感じた。
これほど心を動かされたことは10数年なかった。
「これからの沖縄を、沖縄観光をどうするか」というものであった。

 気が付いたら、機は着陸態勢に入っていた。
「その案は捨てないで、なにか方策があるかもしれませんよ」
別れ際、携帯番号を交換して別れた。
 30年前、沖縄に来たとき、驚いたことがふたつあった。
ひとつは、「日本で最後の大和撫子が残っている」ことと、
いまひとつは、地方なら、当然県外に出ていたであろう「才能ある素晴らしい先輩たちがいる」ことであった。
縁あって、その先輩たちの酒席に同席することになった。
ゴルフもした。旅行もした。
驢馬が駿馬の群れに紛れ込んだようなものだった。
彼と別れて、ふと、その事を思い出した。

 滑走路に入ったところで、この写真を撮るのが精一杯だった。


<それぞれの画面をクリックしてください。拡大画面になります>



人気ランキングに参加しています。