川崎だったか、横浜だったか定かではないが、表通りから入った路地の角に立っていた。
「赤い靴の女の子」に会いに行くのが、今回の横浜行の目的のひとつだった。
思わぬところで出迎えてくれたお嬢さんが愛おしくて何枚か撮ってしまった。
関内で降りたのだろうか。
記憶は定かではなくなった。あれから3ヶ月が過ぎてしまっている。
中華街ゲートの看板はどれもピンボケ。
最近、特にカメラを安定させずに慌てて撮ってしまう。
「手ブレ防止付き」といったって、100%信頼できるほどの値段のカメラは買ってない。
中華料理でも食べてみようかとの目的もなく、ただぶらついただけである。
修学旅行生が多い。
ひとつのグループに声をかけてみた。
「中学生?」
「ううん、高校生」
「ごめん。お爺になるとみんな可愛いく見えてしまうんだ。どこから?」
「北海道!」
「そうなんだ。楽しんでね」
流行りの北海道弁を使ってみたが反応はなかった。
この色とりどりは中華風だ。
若い頃だったら、きっと手にとってみただろう。
路地も歩いてみたけれど、何処の都市にもある路地裏風景だった。
駐車場の料金が気になった。
これは安いと驚いて撮ったつもりだったが・・・。
<余録>
「是非、行ってみろ」という友人の勧めもあったのでよく16日、横浜「ラーメン横丁」に出向いた。
レンガ倉庫を出て新横浜に向かう。
教えられた通り向かうが、それらしき通りがない。
余程歩いたところで尋ねてみる。
3,4人の通行人に尋ねたが、皆快く応えてくれた。
歩くほど、確かこの通りのはずだが目ぼしき辺りにたどり着き、辺りを見回すけれどラーメン店は一軒もない。
「そこですよ」
不審に思い、又、尋ねてみたら4,5メートル先の映画館風の建物を指差す。
確かに、ラーメン横丁の看板が目に入った。
入り口はロープで仕切られ、3,4人の男女が手持ち無沙汰に立っている。
「あの有名なラーメン横丁はここですか」
それでも合点がいかなかったので彼等の一人に話しかけた。
「そうです。入場券が要ります。ひとり300円です」
「えっ?300円?」
「65歳以上ですか」60歳だったかもしれないが、記憶は定かではない。
「そうです」
「じゃあ、100円です」
300円ならやめようと思ったが、100円ならいいかと窓口で入場券を買った。
ラーメン横丁に入るのに「入場料」とは驚いた。
入ったところで右、左と食堂が並んでいた。
言われる通り、地下に入って行く。
足元が暗いので、そっと降りてゆく。
突然、目の前に暗い空間が広がった。
どうもビルの地下らしい。
周囲がラーメン屋の小さな店が取り囲んだ狭い広場に迷い込んだような気がした。
ここだけは夜である。
空を仰ぐと夜の雲が浮かんで見えたが、目が慣れてくると天井に描かれた画のようである。
店先を一軒一軒歩いたが、概ね値段も700円以上だ。
兎に角暗い。
それでも、どこの店にも数人の客がいた。
突然、ふたりの警察官の姿が目に入った。
この時、25歳のときに香港の貧民窟みたいなところに連れて行かれたのを思い出した。
現地ガイドから「香港らしいところにお連れしましょう」と言われ、夕食を共にすることにした。
「汚れてシワだらけのYシャツに着替えて来てください」
旅行も5日ほど経っていたので汚れたYシャツには事欠かなかった。
「普通の人は絶対にこの地区に入ることは出来ません。警察も手は出せません」
何とか城と云っていたが失念した。
テレビで見るまさに巣窟であった。
気味が悪かったけれど、ガイドと二人連れなので耐えられた。
小さなテーブルが3つほどの食堂に入った。
そこで食べた白肉のスープはうまかった。中の白身もうまかった。
後にも先にも、あのようなうまいスープを食ったことはない。
食べ終わって、感想を聞かれ
「いやあ、美味しかったです」と丁寧に礼を述べた。
「今食べたのがそこにいますよ」
店先のショーウインドーにまっ黒の塊で鰻がうようよ蠢いていた。
「ああ、鰻ですか」
「よく見てください」
「え?蛇?」
鰻と思ったのは蛇だった。
びっくりしたが、妙に納得した。
「最初に蛇だというと食べないでしょうから黙っていました」
香港大使から紹介されたガイドだった。
警察官の姿を見た時、あの時の香港を思い出した。
きょうはひとり。
頼る人間はどこにもいない。
早々に退散することにした。
階段を昇りながら、思い直してシャッターを切った。
たった一枚である。
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