灼熱の太陽の下で咲くハイビスカスは色鮮やかだ。
ひと月ほど前、久し振りに訪ねた万座毛を見た後、昼食をすることになった。
何処で昼食にしようかと迷う。
友人のからいつもの店の名が出てたが、うまい店はない。
初めて聞く店の名前が出たのでそこに行くことにした。
名護近くまで来た。
「ここの店はいろんなメニューがあって、和食、中華、沖縄料理と洋食。一応何でも食べられる」
という。
店前の駐車場まで来てみるとドライブイン風である。
例外はあるかもしれないが、メニューの多い店にうまい料理はない。
「もっと、こだわりのある店にしよう」
友人、先程から空腹で機嫌が悪い。
「どこに行く」
ときた。
「東海岸にいい店がある、場所はよく覚えてないけど、凡その見当はつく」
と応えた。
実のところ、行くあてなどはない。
一ヶ月ほど前、ある人から
「金武あたりに美味しい店が出来たらしい。一度、いってみたらいい」
と云われた情報だけで、場所はおろか店の名前すら聞いていない。
この話が浮かんだだけである。
58号線許田から東海岸へ。この道を走るのは好きだ。
許田で国道58号線を右折して東海岸の国道329号線に向かった。
右折してすぐ、名前さへ知らぬゴルフ場の看板を目にした。
「ゴルフ場で飯食ったことある?」
と訊ねると、
「ない」という。
先程のドライブインよりはここが多少いいかと
「ここに入ってみようか、ぼくも初めてだけど」
クラブハウスの駐車場には車が10台ほどしか停まってない。
ゴルフクラブらしい風情はない。
「流行ってないゴルフ場は駄目だ」
と、直ちにUターンし、更に東に向かう。
運転する友人は言葉少なになった。
東海岸に出た。国道329号線である。
「左に行くの、それとも右」
左に行けば更に北上することになる。気の利いた食事どころなんてない。その上、帰りが遠くなる。
「右に行こう!」
見慣れた風景でもあるので、一応、ガイドをして時間を稼せぎ、彼の気を逸らす。
宜野座村に入ったところで、本土の人たちが別荘代わりにしたり、移住して来た人たちの小さな集落が海岸沿いにあることを思い出した。
「この地域の一角だったかもしれない」
そう云って車をせまい村道に乗り入れた。
あった。
覗いてみると開店休業、客はおろか店の人間もいない。
厨房の暖簾越しにステテコ?姿の男の横顔が見えた。
「ここはまずい。ろくなものは食わせない」
「どこに行くの?腹ペコペコだよ」
と相棒は不機嫌この上ない。
国道329号線を那覇に向かって南下する。
彼はすでに空腹の限界に達している模様。気力が失せている。
「雲行きがあやしくなったね」
と話しかけるが、
「うん」と生返事。
ちょっとずるいかな、少しばかり反省しかかったとき、
レストランの文字が目に飛び込んできた。
「ここだ、左に入って!」
威勢はいいが、初めてのところ。レストランとあるし、看板も立派だ。
ここならいい加減ではないだろう。少々高くってもいいだろう。
よくみると「かんなタラソ沖縄」とある。
田舎の施設にしては立派な建物だ。
中に入ると内装がホテルかクラブハウスのように立派だ。フロントに従業員が3人ほどいた。
レストランは簡素で「しまった!」とおもったが、言葉は飲み込んだ。
「ここなら味はまあまあだろう」
思い切ってレストランのドアを開けた。
食事は簡単な定食メニューで800円~1,200円。
期待も出来ないのでカキフライ定食を注文した。
以外に美味しかった。
「いいとこ知ってるねえ。安くておいしいよ」
空きっ腹にまずいものなどない、とは言わなかった。
テラス風のテーブルでコーヒーを飲んだ。
海の青さが目にーーというところだが、生憎、梅雨の真っ只中、雲を映して海も沈んでいる。
漢那ビーチに出る。前は金武湾。
遠景は左から伊計島、宮城島、平安座(ヘンザ)島、浜比嘉島、中央に海中道路、そして右端に黒くかすのは勝連半島。
出掛けに、フロントに立ち寄り施設の説明を訊いた。
宿泊施設はない。それにしては立派だ。
第三セクターで、開業10年になるという。知らなかった。
レストランの女子従業員、フロントの人たちの対応がよかったことが印象的だった。
機嫌が良くなった友人のM氏。
彼の希望で「漢那ダム」に行くことになった。
「かんなタラソ沖縄」 左にメモリーを+(上)方向にクリックすると拡大する。