11月中旬、福岡に出向いたときの機上からの雲海。
懐かしく遠い過去を髣髴とさせる雲海だった。
見とれているうちに携帯電話で撮影してしまった。
「まずかったかな」と気付いたときは遅かった。
数十年前に、沖縄へと出張した日々が昨日のことのようの思い出される。
最近、居酒屋でゆんたく(おしゃべり)していて違和感を感じることがある。
「沖縄の人と喧嘩をしてはだめよ。勝てっこないんだから、あなたは、所詮ナイチャーだから」
そういって忠告してくれたママがいた。
「ナイチャーの前では、何が正しいの、誰が間違っているのと言うけれど、ナイチャーがいなくなったら<どうせ、ナイチャーだから私たちとは違うんだから>ってことにになってしまう。なまじ議論なんかするもんじゃないよ」
彼女の言葉を肝に銘じて酒場のカウンターでゆんたくを愉しんでいた。
いつのころからか、自分が県外人(ナイチャー)であることをすっかり忘れてしまっていることが多かった。
「出身はどこですか」
言葉が違うから、初対面の人によく訊かれる。
そんな時、自分が故郷を離れて数十年になり、異郷の地で生活していることを思い知らされる。心の内で冷めた空気がしばらく取れない。
質問する人には悪気はないだろうが、なぜか好きではない。
必然的に、沖縄と本土の生活や文化そしてとりわけ歴史の違いについの話題が多くなる。
ある友人は十数年前こんな話をしてくれた。
「沖縄での転勤生活で沖縄にほれ込んだ一流会社の管理職だった男がいた。
退職後、夫婦共々沖縄に移住してきた。
移住はしてきたもの、在任中はだれかれとなく訪ねてきた者たちが退職すると、全くこなくなった。
「沖縄の人間は冷たい」
そういって、ついに沖縄に馴染めず、本土に帰ってしまった。
「会社を辞めたあとでも会社の地位が忘れられないでいたんだ」
件の友人は、退職後の人間関係の意識の転換が必要だと説いた。
このことも肝に銘じておかねば、ときいた。
この1,2年那覇ではなく、浦添の居酒屋で飲むことが多くなった。
飲み代の安さもあるが、何より自宅からも近く、くつろいだ雰囲気がいい。
ところが最近になって、その内のある店で他の店のようなくつろいだ気分になれない。ママが何かと忠告してくれるのである。最初はありがたいと思った。
そもそもあまり行儀の良い酒ではないらしいので言動にはかなり気を使った。
「ナイチャートという意識がお客様にある。だから、気をつけた方がいいよ」
といった時は、なぜか面白くなかった。
誰がそうなのか言わない。
これ以上、気を使って飲みたくない。親切心も度を過ぎると皮肉になる。
その帰り道小佐野氏のことが頭に浮かんだ。
「酒は楽しく飲めばいいさあ。自分がたのしければいいさ」
変わらぬ彼の飲み方であるが、結構、どの店でも人気があるようだ。
「あれかな?」
それでも、あの店には足を運ぶことも少なくなるだろう、と月夜をひとり、家路を急いだ。
懐かしく遠い過去を髣髴とさせる雲海だった。
見とれているうちに携帯電話で撮影してしまった。
「まずかったかな」と気付いたときは遅かった。
数十年前に、沖縄へと出張した日々が昨日のことのようの思い出される。
最近、居酒屋でゆんたく(おしゃべり)していて違和感を感じることがある。
「沖縄の人と喧嘩をしてはだめよ。勝てっこないんだから、あなたは、所詮ナイチャーだから」
そういって忠告してくれたママがいた。
「ナイチャーの前では、何が正しいの、誰が間違っているのと言うけれど、ナイチャーがいなくなったら<どうせ、ナイチャーだから私たちとは違うんだから>ってことにになってしまう。なまじ議論なんかするもんじゃないよ」
彼女の言葉を肝に銘じて酒場のカウンターでゆんたくを愉しんでいた。
いつのころからか、自分が県外人(ナイチャー)であることをすっかり忘れてしまっていることが多かった。
「出身はどこですか」
言葉が違うから、初対面の人によく訊かれる。
そんな時、自分が故郷を離れて数十年になり、異郷の地で生活していることを思い知らされる。心の内で冷めた空気がしばらく取れない。
質問する人には悪気はないだろうが、なぜか好きではない。
必然的に、沖縄と本土の生活や文化そしてとりわけ歴史の違いについの話題が多くなる。
ある友人は十数年前こんな話をしてくれた。
「沖縄での転勤生活で沖縄にほれ込んだ一流会社の管理職だった男がいた。
退職後、夫婦共々沖縄に移住してきた。
移住はしてきたもの、在任中はだれかれとなく訪ねてきた者たちが退職すると、全くこなくなった。
「沖縄の人間は冷たい」
そういって、ついに沖縄に馴染めず、本土に帰ってしまった。
「会社を辞めたあとでも会社の地位が忘れられないでいたんだ」
件の友人は、退職後の人間関係の意識の転換が必要だと説いた。
このことも肝に銘じておかねば、ときいた。
この1,2年那覇ではなく、浦添の居酒屋で飲むことが多くなった。
飲み代の安さもあるが、何より自宅からも近く、くつろいだ雰囲気がいい。
ところが最近になって、その内のある店で他の店のようなくつろいだ気分になれない。ママが何かと忠告してくれるのである。最初はありがたいと思った。
そもそもあまり行儀の良い酒ではないらしいので言動にはかなり気を使った。
「ナイチャートという意識がお客様にある。だから、気をつけた方がいいよ」
といった時は、なぜか面白くなかった。
誰がそうなのか言わない。
これ以上、気を使って飲みたくない。親切心も度を過ぎると皮肉になる。
その帰り道小佐野氏のことが頭に浮かんだ。
「酒は楽しく飲めばいいさあ。自分がたのしければいいさ」
変わらぬ彼の飲み方であるが、結構、どの店でも人気があるようだ。
「あれかな?」
それでも、あの店には足を運ぶことも少なくなるだろう、と月夜をひとり、家路を急いだ。