あれやらこれやら いろいろ沖縄

沖縄に住み30数年の県外居住者が見た沖縄の生活や人情・自然や文化、観光。「あれやらこれやら」気ままに。

沖縄の友へ~野島さん、優子さんありがとう~ひや酒で独白

2009年07月15日 20時19分44秒 | Weblog
 2年前の写真。沖縄の花の中で一番すきなゆうなの花。
波の上神宮の横の公園の高台へゆく遊歩道を歩いていて目にとまった。
可憐な一輪のゆうなの花。
ゆうなってこのように枝先に咲いているのはめずらしい。
こんもりした樹陰のあちこちにひっそり咲いている。
伊波千恵子の歌う「ゆうなの花」は沖縄の唄の最高の歌だ。

 きょうは浦添の場末にある店に別れを告げた。
客はいつも5,6人は必ずカウンターを占領していて、老人?が入ってくると若者??が席を作ったり、席を譲ったりする、20年前の赴任当時の「おきなわ」を見るようなそんな店だった。
先週のあの日から行かない、行ってはいけないと思った。

 数ヶ月前にある男と諍いを起こした。
この店には来ないほうがいい、来てはいけないんだと感じつつ、ずるずるときてしまった。
実際は、奴から喧嘩を吹っ掛けられた。なぜ、どうして、理由や善悪は関係ない。
そう痛感しただけである。喧嘩両成敗は天下の道理。しかし、諍いを起こした奴と自分とでは店に対する貢献度が違う。

 生来、短気だったからだろう、敬愛する今は亡き母が、
「逃げるが勝ち。危ないと思ったら逃げろ。君子危うきに近寄らず」
とか何とか云って
「ならぬ堪忍、するが誠の堪忍」
と短気な息子を戒めていた。
だから、自分では決して喧嘩を仕掛けるようなことはしなかった(はずだ)。はらわたが煮えくり返っても気持ちをあらぬ方向にやるのが精一杯だった。
それでも周囲には悟られるのか、
「あんな事ぐらいで腹立てるなよ」
と戒められ、更に面白くなくなって
「だから何も云ったり、したりしなかったろう」
と反発すると
「顔にでているさ」
と来る。余程、表情豊かか、短気なのだろう。
しかし、喧嘩をして傷ついて帰っても、母は
「馬鹿にされたら勝ち負け関係ない」
といって怪我したあちこちを拭ってくれた。
「おまえが我慢している以上に、相手が我慢しているかもしれないよ」
といわれることもしばしばだった。

 だが、訳もなく、
「おまえーーーーー」
と突然いわれた時は、プツンと切れた。10歳以上も違う若造からだ。
「きさま!」
といって立ち上がったのは自分。
相手もこのくそ爺に舐められてたまるかと立ち上がってきた。
店の外に連れ出すべきだった。今まではそうして来た。
この日ばかりは違った。ほんとうに激高した。

 こいつがよく仲間を連れてくる。
店にとっては上客だ。自分はいつもひとり。
ママが気を使っているのはわかった。
「今夜来るよ」
といわれても、逃げる事は許さない。
「関係ないさ」
ですませた。
あの店には行ってはいけないのかもしれない、来るなというサインかとは感じていた。すこしづつ間を空けた。
先週、伝言がうまく伝わらない。
直接出向くと
「きょう来るよ」
という。
「関係ないさ」
「でも、二人会っても黙っているから疲れるさ、小佐野さんだってそうでしょう」
おれには充分だった。

 「客は店を選ぶ、店は客を選ぶ」
人生数百年?なるが、店の中で諍いを演じたのは生まれて初めてだった。
「気に入った店には気に入られるようにしろ」
粋な先輩の遺言である。東京芸大を出て兄貴のように慕った人生の、仕事の先輩だった。後にも先にも出くわさない。
3年前、他界した。
鳥羽一郎の「兄弟酒」はあるスナックのママがいうには
「まるでふたりのようよ」
と笑って、彼が他界したあともよく歌わせられた。

「小佐野が来たら連絡してくれと伝えて。じゃあね」
そう、「じゃあね、さようなら」といったつもりだった。
「すみませんね」
とメールが届いた。小佐野と一緒だった。たまたま、彼女がどうのこうのというどうでもいい、痴話話だった。興味は全くなかった。そのときである。
「だれからよ」
とメールのベルに小佐野が首を突っ込んできた。
「関係ない!」
ここぞとばかり、小佐野に毒づいた。
「さっきの話だけどね。ママさんはね、生活がかかっているんだよ。命がけでやっているんだ。あんたが惚れたの腫れたのいうのなら、ママの生活を支えてやれるだけの甲斐性があるの、腹があるの!」
おれもいうことだけはいうよ。自分の過去を振り返りながらあきれた。
「とは云ってもね、ひとにはそれぞれ事情がある。おれも偉そうには言えた柄じゃないけれど、ママの立場を壊すような事をするならあなたは男じゃないよ、女に惚れる資格はないよ、もちろん、友達付き合いもやめる!」

 メールの返事は書かなかった。

 野島さん、優子さん、長い間ありがとう。
ほんとうにあなたたちに会うのが楽しみだった。
何日も何日も、あなたたちに伝えたかったけれど連絡のしようがなかった。
野島さんからいただいた名刺へとも思ったけれど、職場に電話するのも気が引けた。

 今夕、ひとり冷酒を飲んでいる。
一杯空けると、ブログに残しておこうと思った。ひょっとしたら見てくれるかもしれない、そう思った。
 あなた方に会えないのが辛い。
そう、残念だとか寂しいだとか月並みの言葉じゃない。
ふたりはあたたかくて、なつかしくて、ほのぼのとした気持ちにさせてもらいました。
男と女、難しいね。でも、男と女ってほんとうに安らぐよね。
野島さん、約束ですよ、那覇で3人で団欒しましょう。
優子さん、「幸せとおまわり」、自分のことだったんです。

 冷酒で ひとりまようか 夏の夜を