人麻呂神社の後、Mさんの車は、海に向かった。
しばらく走ると、目の前に、荒れ気味の<日本海>が現れた。
私は車を降りて砂浜を歩き、波打ちぎわ近くまで歩いていった。
吹きつける風を体全体で感じながら、いかにも日本海らしい荒れた海の姿を、存分に楽しんだ。
結構長いこと荒海の情景を楽しんでいた私だが、雨も降ってきたので、カメラをしまって車に戻ることにした。
ちょうどその時、石見空港に降りる飛行機が、海の上に姿を現わした。
私は慌ててカメラを取り出し、飛行機に向けてシャッターを押した。
その日は、同じく高校時代の友人であるYさんも一緒に、3人で夕食をとるよう、Mさんが段取りをしてくださっていた。
大分夕暮れてきたし、もう夕食の場所に向かうのかと思いきや、Mさんは、せっかくだから、<権現山(比礼振山)>にも上ってみよう
と言われる。
時間が無いのを気にしながらも、私は、今まで行ったことのない権現山にも、大いに興味を持った。
狭い山道をくねくね上って、車がやっと権現山の頂上に着いた。
車を降りた私は、眼下に広がる景色に、心が躍った。
こんな小高い所から、ふるさとを見下ろすのは、私にとって初めてのことだった!
お天気も悪く、夕暮れも迫っているので、クッキリとは見渡せないが、それがまた趣きのある風景になっている。(と思った)
木々の向こうに、益田の市街地が広がり、その向こうにウッスラと、日本海まで望める。
できるだけ市街地にフォーカスすると…
海の方にカメラを向ける。
海の上にうっすらと浮かんだように見える横長の島が、私たちが、幼い時からずっと見続けてきた、懐かしい<高島>だ。
<権現山(比礼振山 ヒレフリヤマ)>からの眺めはいつまでも見飽きなかったが、時間が遅くなったので、私たちは下山した。
そして、迎えに行ったYさんも一緒に、(Mさんが予約してくださっていた)お店に向かった。
そこは、カウンターに椅子が7、8つくらいの、こじんまりしたお店だったが、海の幸を中心とする美味しそうな料理が並べられていた。
私たち3人は、料理をいただきながら、互いにこの一年のことを忌憚なく喋り合った。
しかも、喋り合ったのは、3人でだけではなかった。
その日別の席には、それぞれ男女2人ずつの、やはり同級生同士の(私たちより10歳下の)お客が来られていた。
マスターのさりげない取り持ちで、(マスターも入れて8人の)同郷の人間同士の楽しい会話が始まった。
お店では、益田弁が飛び交い、笑い声が響いて、とっても楽しい夜になった。
Mさん・Yさんはもちろん、マスターと同席した4人の方々、楽しい夜を、本当にありがとうございました♪