アティトラン湖

2010年12月14日 | 世界の湖沼百選

 

14°42′N 91°12′O

所在地

グアテマラ

面積

130.1 km2

最大水深

340 m

水面の標高

1,562 m

アティトラン湖の面積は琵琶湖の約
0.2倍だが、最大水深は237m深く、標
高差は1,478m高い。

Panajachel en Guatemala
Panajachel
Ubicación de Panajachel en Guatemala

 

アティトラン湖(Lago de Atitlan)は、
中米グアテマラのソロラ県にある湖
である。中米で一番深い湖であり、
世界一、いや琵琶湖が世界一だから
世界第二位の美しい湖の1つとされ
る。アティトラン湖8万4千年前の
火山の噴火によってできたカルデラ
湖であり、周囲は断崖と3つの火山
に囲まれている。また、周囲にはマ
ヤ族の町や村もある。湖の周りの土
壌は、コーヒーやトウモロコシなど
の農作物の栽培に適している。湖内
には多くの生き物が生息している。

グアテマラ富士と呼ばれているアテ
ィトラン火山、トリマン火山、サン
ペドロ火山の囲まれたカルデラ湖で、
南からの熱帯風と高原からの冷たい
空気と衝突し、ショコミール(Xoc-
omil
:比叡颪のようなの?)と呼ば
れる強風が発生する。

 

アティトラン湖周辺には、魅力的な
村が多く、最大の村であるサンティ
アゴ・アティトランには、カトリッ
クの立派な教会があるが、村人達は
土着の神に頼っており、村人の願い
をかなえるために毎日様々な儀式が
行われている。この神様はマシモン
と呼ばれており、葉巻と焼酎が大好
きだという。

Panajachel atitlan.jpg

「アティトラン湖辺の1920年代と現
在の写真比較から、上下水システム
や水辺景観の変遷プロセスが解明さ
れた。かつて自然の湖水を直接飲み
水や洗濯などに利用してきたこの地
域には琵琶湖と同様の時間的、空間
的使いわけシステムが存在し、社会
的に成立していた。さらに植民地時
代からの伝統である地下浸透システ
ム(吸い込み式穴)により水の安全
性が確保されていた。現在ここに上
水道が導入されはじめているが、金
額が高いことから必ずしもすべての
家庭に普及しているわけではない。
特に、洗濯などは湖でするべきもの
という心性が深く根付いており、湖
での洗濯は今も社交の場として重要
である。

人間のし尿については、し尿を肥料
に利用する伝統はなく、し尿を貯め
て地下浸透をしなくなると埋めると
いう方式をとっていた。最近海外か
らの援助団体が、水洗便所の導入を
図るべく、下水処理施設をつくった。
しかし現在の所得水準の元では人び
とは下水処理費用を払えない。上水
道の支出は負担できても下水処理費
用は負担できない。湖辺の町の一部
では各家庭に水洗便所をつくり下水
の管はひいたが、処理場をつくる費
用が捻出できなかった。それゆえ、
下水は湖に直接排出され、伝統的な
地下浸透システムの時代よりも湖の
汚染は進んだ。この事例は、ネパー
ルと同様、近代的でグローバルなシ
ステムとして推奨される管渠を利用
する方式は、管渠の技術的な維持管
理が不整備であることと、料金徴収
などの問題から、社会的にうまく機
能していない。

湖辺の土地の所有と利用は、国家的
な登記制度はあるが実際はほとんど
機能しておらず、それよりも、土地
を使用しているという実態が所有を
形づくることになる。近隣の間での
所有争いが起きた場合は、自治体の
長が持つ「杖の力」で所有の調整を
行うことになる。

景観的には、山と湖、漁船、洗濯女、
そして織物をする女性とトウモロコ
シを生産する男性という生産を組み
込んだ表象システムが観光イメージ
をつくりだしているが、景観的にすぐ
れた土地から住民が追い出され、海
外からのNGOによる景勝地の囲いこみ
などの問題も発生しつつある。湖に
はマシモンというカソリックを装っ
た伝統的なマヤの神である大地や水
神信仰もある。」


  『景観の変化から探る世界の
   水辺環境の長期的トレンド
   に関する環境社会学的研究』
          
          嘉田由紀子

    
 

GT056-Antigua Arch-low.jpeg

Lake Atitlan from inside  

 

【エピソード】 

   

マヤ文明の滅亡は謎だ。中央アメリ
カで二千年もの間、高度な発達を遂
げてきたマヤ文明。しかし、この文
明は突然、短期間で消滅したといわ
れている。なぜそんな事が起きたの
かは、考古学界でも大きな謎であっ
た。マヤ文明の特徴は天文学にある。
しかし、マヤ暦と天文学を結びつけ
謎を解くというのは誇大妄想にすぎ
る。

ディック・ギルはマヤ文明崩壊の謎
に魅了され、1968年に銀行経営から
手を引き、謎の解明に挑み続けてる。
テキサス出身で干ばつの恐ろしさを
良く知り、その原因を干ばつではな
いかと考え、世界中から、古代のマ
ヤ低地で干ばつが起きた証拠を集め
ていく。まずメキシコ・シティで、
市の気象記録から20世紀初頭に3年間
極めて深刻な干ばつが起きた記録を
発見。次にメキシコの国立記録保管
所を訪れ、ユカタン半島でもっと昔
に大干ばつがあったという記述を探
しだす。さらに、世界中の古代の気
象記録を調べ、マヤ文明滅亡の時期
にスウェーデンではかつて例がない
ほどの寒さだった事実を見つけだし、
気象学の専門家の協力を得て、中央
アメリカと北極圏という二つの地域
の気象現象が関連していることを実
験で証明したという。

また、1200年前に例外的な気象現象
が起きたことを、北極の氷の化学分
析からも裏付けた。そして決定的な
証拠が見つかったのは、ユカタン半
島の湖だった。湖の底の泥を分析し
た結果、1200年前この地域で極めて
深刻な干ばつが起きたという物的証
拠を得たのだ。壮麗なマヤ文明が大
自然の猛威によって滅んだという説
を、ついにディックは立証したという。

脚注及びリンク集
------------------------------------
(1)「
世界の大湖沼
(2)「
世界湖沼会議」、財団法人 国際湖沼
  環境委員会
(3)「
世界の湖と琵琶湖
(4)「
JMAファン


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