放射性木材チップ

2013年12月10日 | 防災と琵琶湖

 


 【福島原発汚染の拡大】

琵琶湖近くにある鴨川の河川敷などに、放射性セシウ
ムを含んだ大量の木材チップやチップを入れた土のう
77個(200~300トン)が放置が発覚したのは公式には
滋賀県が発表した9月17日。放置が見つかったのは、
滋賀県高島市安曇川町下小川の河川敷。滋賀県の調査
によると、チップからは、最大で1キログラム当たり
3千ベクレルの放射性セシウムが検出。この数値は再
利用可能な基準(100ベクレル)を上回るもので、川の
水や魚、周辺の農作物などからは、放射性物質は検出
されなかった報じられた(測定数値の信憑性について
は脚注を参照)。正確な出所は不明だが、福島原発事
故で汚染された可能性があり、今回は偶然にも発覚し
たが、専門家は「氷山の一角」と警告していた。

だが、実は、すでに今年4月、周辺住民が県土木事務
所に通報していた。当時、チップから1メートル離れ
た空間線量を県職員が測ったが、「毎時0.1マイクロ
シーベルト程度で問題ないと判断した」(県廃棄物監
視取締対策室)という。しかし約5カ月後の9月、搬
入に関わったという人物から「チップは放射性物質に
汚染されている可能性が高い」との情報が県に寄せら
れた。あらためて調べたところ、汚染を確認。17日の
問題公表となった。同時期の台風18号の豪雨で鴨川が
増水してチップが漬かったため、県はさらに緊急で水
質検査を実施。その結果、川や琵琶湖への汚染拡大は
なかったと結論づけた。しかし「住民の不安はまだ続
いている」(地元関係者)。嘉田由紀子知事は「琵琶
湖へ注ぐ河口に放置され、悪質で憤りを覚える。適切
な保全措置を行い、行為者には厳しく責任追及する」
と表明した。

今月6日の産経新聞によると、県は5日、木材チップ
をすべて撤去する趣旨の原状回復計画書が、処理に携
わる業者から提出されたことを明らかにした。計画に
よると、撤去作業は早ければ週明けに始まり、来月中
には完了する見通しだという。木材チップは大型の
土嚢(どのう)袋に入れて、トラックで県外の処理施
設に搬送。作業には県職員2人が立ち会い、適切に行
われたかどうかを確認する。撤去完了後は、県が周辺
の土壌に含まれる放射性物質の濃度を計測する。会見
で、森野次長は「撤去に見通しが立ったことは大きな
前進」と述べた。しかし、県は「撤去に関わる当事者
が特定されれば、現場での撤去作業に不測の事態を招
く恐れがある」として、計画書を提出した企業や処理
を行う施設などを明らかにしていない。高島市の福井
正明市長は「原状回復までの具体的な計画が示された
ことはある程度評価できるが、市は今月末までの全量
撤去を要請してきた。完了時期がずれ込むことについ
て、市議会と対応を協議したい」と発言している。

 


※ 1キロ当たり8千ベクレル以下の放射性物質は一般ご
みと同じく焼却したり、埋め立てたりできる。放射性物質汚
染対処特措法で、国が処分に責任を持つ指定廃棄物は、
8千ベクレル超の場合だけ。今回のケースが法律に触れる
としても、特措法違反ではなく、廃棄物処理法違反(不法
投棄)や河川法違反(形状変更)に問われることになる。

※ 脚注13)の中日新聞の記事に登場する関口鉄夫氏
によると「滋賀の事例は、不届きな業者が放置して偶
然発覚しただけで、水面下では同様の話が各地にある
はずだ。福島原発事故による汚染物質は、民間業者を
通じて全国に拡散している」と指摘。
原発事故以降、
福島県内の高速インター付近では、他県ナンバーの産廃
業者の車両による渋滞が頻繁にあった。「特に金属は再利
用しやすい資源。除染で出る枝や落ち葉も、焼却や生分解
すれば熱源利用できるので、どんどん持ち出されている」。
汚染物質は全国に広がっている。業者が複雑に介在して
いることも、処分責任の追及を難しくしている。滋賀の例で
は、木材チップを河川敷に置くよう指示した業者と、それを
運搬した業者、実際に河川敷に敷いた土木建設業者と、
判明しただけで複数いると指摘。 「今の汚染は半減期が
長い放射性物質が中心だ。全国に汚染物質が拡散すると、
より深刻な影響が出てしまう。その意味でも日本中の住民
に身近な問題だ」という。 

※ 脚注10)の「2013/11/23 Sat. 23:44:34 真実を
探すブログ」の計算では、木材チップの総量は約3百
トン(約36億ベクレル)で、今も高島市の鴨川河川敷
に勝手に置かれて、放置状態となっています。木材チ
ップの上には行政がビニールシートを被せて飛ばない
ようにしていますが、大雨や洪水で流れ出す可能性が
あると紹介されている。

*1万2000ベクレル×300トン(30万キロ)=36億ベク
 レル

同じく、講談社『FRIDAY』10月18日号を引用掲載して
いる経緯によると「「10tトラックが来たのは、春頃か
な。てっきり木材チップで、デコボコ道路をならして
いるのかと思っていた。近所を散歩している人が県に
通報したらしい。」(近隣住民)滋賀県が調べたところ、
投棄作業をしたのは、東京の「ホームサーバー企画」
という会社だった。同社社長で元郵政省(現総務省)キ
ャリア官僚の田中良拓氏が、3月15日に河川敷入口の
門の扉の鍵を借り受けていることが確認された。
この
事態を受け、県では投棄した運送業者に連日電話した
が、不通。仕事を委託したホームサーバー企画の田中
社長の電話も不通で、書類で送付した原状回復措置も
「受取人不在」だった。
 県によると、木材チップは福島
県本宮市のHという製材業者からでたものだった。原発
周辺の樹木は、表皮に大量の放射性物質が付着してい
る。この業者は、表皮を剥ぎ、線量を下げる作業を東
電から受注していた。 本来なら、放射性物質が付着し
た木材は国の許可した最終処分業者によって処分され
るはずだが、どういうわけか琵琶湖畔に放置されてい
た。「滋賀の件については、田中さんから事情は聞き
ました。あくまでも田中さんのもとで合法的に処理さ
れていますんで。今朝も電話が来て一切コメントを出
さないでくれと言われています」(H製材社長)実はH
製材は2012年12月、田中社長と事務代行契約を結び、
東電との交渉を任せていた。関係者によると、同社は
約9千トンの樹木を処理し、1tあたり5万3千円を東
電から受け取ることになっていたという。合計4億7700
万ものカネが支払われたことになる
」ということだ。

 

【エピソード】

 

考えてみれば、高島市民は、オスプレイ演習や台風18
号禍とこの放射性木材チップ騒動とトリプルパンチな
状況にある。ご同情申し上げる次第。しかし、4月か
ら来月まで放射性セシウムの拡散流失が続いていたわ
けで、決して他人事ではない。この一連の事態から、
福島県外に持ち出された放射性廃棄物(規制基準以下
を含め)の量的把握が出来ているのか甚だ疑問に思え
る。そのようなデータが存在するんであればそのよう
に情報開示(許容限度範囲で)して欲しい。そうする
ことが、問題の解決を円滑に進めると確信している(
 何者かが意図的に放射性物質をバラ撒こうとして
いる可能性が高いですね・・・汚染された物を広範囲にバ
ラ撒けというような指示を出していると推測されます
というような、意図的な疑いや邪推を生むこともない
)。

 【脚注およびリンク】

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  1. 関口鉄夫|IWJ Independent Web Journal
  2. 2012.06.24、宇宙飛行士・秋山豊寛さん講演
    「原発難民になって」
  3. NPO 市民環境研究所
  4. ①「今回、測定したNPO法人「市民環境研究
    所」代表の石田紀郎・元京都大教授(環境毒性
    学)らメンバーは10月31日、放置現場4地点で
    チップを採取。含まれた水などを3日間自然乾
    燥させた後、測定装置で調査。1キロ当たり約
    1万2千ベクレルの放射性セシウムを検出した」
  5. ②「9月6日に7地点でチップを採取。県衛生
    科学センタで測定し、1キロ当たり約3千ベク
    レルの放射性セシウムを検出したと同17日、公
    表」「しかし、気象庁などによると…採取した
    前々日までの4日間に約百ミリの雨が降ってい
    た」「県によると、チップは含水率60〜70%の
    状態だった」
  6. ③環境省廃棄物対策課「雨後など極端な状態で
    の測定は適切ではない」山本貴士・国立環境研
    究所主任研究員「含水率70%は試料の取り方
    としてあり得ない」「ガイドラインには、木材
    チップの測定に関する基準がない」滋賀県廃棄
    物監視取締対策室「ありのままを測るべきと考
    えた」
  7. 2013.10.01,毎日新聞、汚染木材:放射性セシウ
    ム、滋賀県の4倍検出NPO測定
  8. 2013.10.01,産経新聞,嘉田氏「琵琶湖預かる知
    事として許せない」放射性木材チップ問題で県
    が業者告発へ
  9. 2011.10.11,文科省,東京新聞,全国に降ったセシ
    ウム量,原発事故後、3~5月の間に日本全国に
    降下したセシウム量都道府県別の数値(東京新
    聞より) *文科省のデータが元になっています。
    福島県と宮城県のデータはありませんでした。
  10. 2013.11.24,琵琶湖に放置された約36億ベクレル
    もの汚染木材!原因は福島の除染業者!大雨で
    琵琶湖に流れる可能性も!
  11. 2013.09.17,産経新聞,河川敷放置の木材チップ
    から放射性セシウム 滋賀・高島市
  12. 2013.10.26,産経新聞,滋賀・鴨川河川敷の汚染
    木材チップ 県「受け入れる処分場がない」と
    撤去の具体的日程示さず
  13. 2013.10.02,中日新聞,琵琶湖近くにセシウム木
    片放置 民間ルートで全国に
  14. 2013.11.13,無断放置のセシウム木材チップ「ク
    リスマスプレゼントで東電前に」と嘉田知事
  15. 2013.11.28,産経新聞,泣くより早く処分して 高
    島市議会が嘉田知事に意見書
  16. 2013.12.07,産経新聞,「確実に原状回復できる
    ように責任持つ」滋賀県が撤去計画説明
  17. 2013.09.18,NEVER まとめ,なぜ?河川敷の放置
    木材チップからセシウム検出
  18. 2013.09.13,産経新聞,河川敷放置の木材チップ
    から放射性セシウム 滋賀・高島市
     
  19. 2013.12.06,産経新聞,高島の木材チップ放置問
    題 関係企業が撤去計画書 県に提出

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