地域循環共生圏概論 ㊻

2022年04月03日 | 防災と琵琶湖


作成日:2022.4.2|更新日:2022.

地域循環共生圏概論 ㊻
□ 地盤強化と地震防災 ⑪


出典:環境省

第9章 その他ごみ処理施設にかかる事項の計画
9.1  事業計画等 
(3)概算事業費
  1) 施設整備費
直営方式(建設は公設、維持管理・運転は単年度委託)
における施設整備に関する概算見積の結果を 以下に示
す。
尚、用地取得や造成等の費用は含まれていない。
施設整備費算定根拠】 
⬖熱回収施設については、ストーカ式焼却方式のプラン
トメーカ見積の平均値とした。
⬖リサイクル施設については、プラントメーカ見積の平
均値とした。
⬖交付対象の比率についても、プラントメーカ見積の平
均を基本として設定した。熱回収施設の交付 対象比率
(1/2 及び 1/3)については、循環型社会形成推進交付
金の適用を受ける場合を想定した。
--------------------------------------------------
※ 交付金対象の検討:新施設の整備にあたっては、環
境省の交付金の交付を受けることができる。交付金のメ
ニュ ーとしては、熱回収施設は「エネルギー回収型廃
棄物処理施設」にかかる「循環型社会形成推進交付金」
または 「二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金」、リ
サイクル施設は「マテリアルリサイクル推進施設」にか
かる「循環 型社会形成推進交付金」の対象事業となる。
※ また、整備に先立って必要となる調査、計画、設計
等についても、「計画支援事業」として同交付金の対象
となる。
※ 交付金の充当率は通常、交付対象事業費の 1/3 であ
るが、「エネルギー回収型廃棄物処理施設」については、
一部優遇措置が設けられており、エネルギー回収に関連
する設備部分等について1/2 の充当率となる。また、二
酸化炭素排出抑制対策事業費交付金と循環型社会形成推
進交付金では、二酸化炭素排出抑制対策事業費交付金の
方が1/2交付対象となる範囲が多く、施設整備費に関し
てはメリットがある反面、売電の際には循環型社会形成
推進交付金による整備施設でないと固定価格買取制度の
適用を受けられない制約があるため、運営段階における
売電収入は循環型社会形成推進交付金による方が多く見
込めることとなる。
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表 各社回答の平均(施設整備費) 
⮚熱回収施設:14億7,825万円~14億7,379.5万円


⮚リサイクル施設:5億804.06万円~5億4,233.382万円

※上記の施設整備費は、2017年度に愛荘町竹原区が候補
地であったときに概算見積を徴集したものである。彦根
市西清崎町では地盤条件が異なること等により、施設整
備費は上記と異なる可能性があり、今後施設整備基本設
計業務において詳細な見積条件を検討の上、改めて概算
見積徴集を行う。

 2) 維持管理・運営費(20年間合計) 2027~2046年度
(20年間)の維持管理・運営費に関する概算見積の結果
を以下に示す。
【運営費算定根拠】
⮚熱回収施設については、ストーカ式焼却方式のプラン
トメーカ見積の平均値とした。 
⮚リサイクル施設については、プラントメーカ見積の平
均値とした。



 3)施設整備費および維持管理・運営費の合計(20年間
 合計) 上記、1)および 2)の合計費用を以下に示す。


 ※上記の施設整備費は、2017年度に愛荘町竹原区が候補
地であったときに概算見積を徴集したものである。彦根
市西清崎町では地盤条件が異なること等により、施設整
備費は上記と異なる可能性があり、今後施設整備基本設
計業務において詳細な見積条件を検討の上、改めて概算
見積徴集を行う。

【参考:概算費用等調査概要】
  1) 対象プラントメーカについて 調査依頼対象プラ
 ントメーカは、下記の考え方により選定した。
--------------------------------------------------
⮚2017年10月現在、一般廃棄物処理施設新設事業(設計・
施工)を継続していること。 
⮚焼却施設(ストーカ式または流動床式)、またはガス
化溶融施設(シャフト式または流動床 式)、またはリ
サイクル施設(破砕選別含む)の処理方式に対応可能で
あること。 
⮚2019年10月現在、焼却施設(ストーカ式または流動床
式)、またはガス化溶融施設(シャフト式または流動床
式)について、「全連続燃焼式・1 炉あたり 70t/24h
以上・2 炉以上・2007年度以降竣工」の施設の「稼働実
績」を有すること。または、リサイクル施設(破砕選別
含む)のみ見積対応可能な場合は、リサイクル施設(破
砕選別含む)について「2003年度以降竣工」の施設の「
単体受注実績及び稼働実績」を有すること。
--------------------------------------------------
資料)・2009年度版ごみ焼却施設台帳【全連続燃焼方式】
        2011年3月 財団法人 廃棄物研究財団
      ・各自治体入札情報等より調査
      ・対応可能処理方式は、各社稼働実績があり、ホ
        ームページ等において現在も事業継続が確認さ
        れているものとした。
※リサイクル単体受注実績は、熱回収施設で条件に該当
しない場合のみホームページ等において確認した。
 
2) 調査項目 調査項目は以下のとおりとした。
--------------------------------------------------
○概算事業費見積
・施設整備費(熱回収施設・リサイクル施設) ※公設の
  場合を想定
・維持管理・運営費(熱回収施設・リサイクル施設) ※
  単年度委託の場合を想定
○概算事業費見積の参考資料として、
・処理フロー・物質収支、工事工程表
○その他検討の参考資料として、
・概略施設配置図(案)
・自治会清掃ごみ(草木・川ざらい汚泥を含む)の処理可
  否についての考え
・熱回収施設の処理方式としてガス化溶融を選択した場
  合はスラグ全量再利用が可能な品質を確保することに
  ついての考え
・炉数について「2 炉」から「3 炉」とした場合のコス
  ト面(整備費および維持管理・運転費)での違いにつ
  いての考え
・熱回収施設の排ガス処理について「乾式」から「湿式
  」とした場合のコスト面(整備費および維持管理・運
  転費)での違いについての考え
・施設からの排水について「処理後下水道放流」から「
  プラント排水クローズド方式」とし たコスト面(整備
  費および維持管理・運転費)での違いについての考え
--------------------------------------------------
 3) 調査期間及び回答状況
  調査期間及び回答状況については、以下のとおりであ
  った。
--------------------------------------------------
○調査期間:2017年10月31日~11月30日(一部の回答に
ついて12月28日まで)
○回収状況:熱回収施設
                ストーカ式焼却方式 8 社
                流動床式焼却方式 0 社
                シャフト式ガス化溶融方式 0 社
                流動床式ガス化溶融方式 0 社
            リサイクル施設 10 社 
(4)財源計画 施設整備費について、交付金、起債及び
財源内訳に区分した財源内訳を試算する。財源内訳の考
え方を示した財源スキーム図は下記のとおりである。

※ なお、交付金は千円未満切り捨て、起債は 100 千円
   未満切り捨てとする。
図 財源スキーム図 

施設整備にかかる事業費及び財源内訳の試算結果は、以
下の通りである。




⮚概算施設整備費 ケース1:19.853713 億円 
         ケース2. 19.862906 億円
                  ケ-ス3. 20.161332 億円

9.2 施工計画
(1)施設整備工事中の公害防止
 施設整備工事中の公害防止について、周辺環境への配
慮の観点から、下記のような対策を講じるものとする。
【対策例】 
・土地の改変に伴う発生土砂は、できる限り敷地内で再
 利用することを基本とし、敷地外へ搬出する土砂運搬
 車両の台数を減らすことにより、沿道・騒音・大気質
 への影響を軽減する。
・工事車両の走行にあたっては、安全運転の励行及び車
 両管理を徹底する。また、沿道の通行時間帯の分散に
 努め、沿道騒音・振動・大気質への影響を軽減する。 
・工事用車両の洗浄を励行し、敷地内外への路面への土
 砂の堆積を防ぎ、粉じんの飛散防止に努める。また、
 強風時や砂じんの発生しやすい気象条件の場合には適
 時散水する。 
・土地の改変に伴う濁水流出を防止するため、仮設沈砂
 池及び排水処理装置等を設置し、公共用水域へ放流す
 る。 
・建設工事に使用する建設機械(重機)は、周囲への騒
 音・振動・大気質の影響を極力低減するよう配慮する。
 また、建設機械の稼働は昼間に行い、工事期間中に建
 設機械の稼働が集中することがないよう、使用時期や
 配置の分散にも努める。 
・建設工事の実施にあたっては、防音シートや仮囲いの
 設置により、建設作業騒音の低減や粉じんの飛散防止に
 努める。

(2)関連工事との調整
 新施設の敷地造成工事および建設工事と関連する工事
として、今後、想定される関連工事が生じた場合には本
項に留意事項等を記載する。同時期に実施される工事が
ある場合には、双方の工事において取合点等を明確にす
るとともに、工事工程等について連絡調整を行うものと
する。

尚、「彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備基本計画」
 は、彦根愛知犬上地域新ごみ処理施設整備基本計画検討
委員会において、建設候補地として愛荘町竹原区を想定
した上で検討した2019年9月19日の管理者会で建設候補地
に決定した彦根市西清崎町の内容に修正したものであっ
て、建設候補地選定については、彦根愛知犬上地域新ご
み処理施設整備基本計画検討委員会の検討事項ではない。

□ 本設備計画書の「事前評価調書」の比較事例研究
「軟弱地盤対策」の考察の前に北九州市の「事業事前評
価」の事例を比較考察し。「地盤改良体系」の考察に移
る。

 事例研究:日明工場建替事業 
関連研究:北九州市循環型社会形成推進基本計画
事業期間:2016~2024年
事業費 :310.77億円
国庫補助:循環型社会形成推進交付金
事業目的:
1.市内発生ごみの安定処理
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」により、市町村
はその区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支
障が生じないうちに収集・運搬・処分する責任を担って
いる。これを受け、本市では、日明工場、皇后崎工場及
び新門司工場にて焼却可能な一般廃棄物を中間処理し、
発生した焼却灰は響灘西地区廃棄物処分場で埋立処分を
行っている。日明工場は平成3年の稼働以来、2015年が
経過し老朽化が著しく、2024年度には使用年限を迎える
予定である。しかし、日明工場がなければ市内で発生す
る一般廃棄物の全量処理が不可能になることから、今後
も安定処理を継続することを目的として、日明工場の建
替えを行う。
2.災害対応力の強化
環境省の「廃棄物処理施設整備計画」の地域の核となる
廃棄物処理施設は、地震や水害によって稼働不能となら
ないよう、施設の耐震化地盤改良浸水対策等を推進
し、廃棄物処理システムとしての強靱性を確保すること
が求められている。同本市においても「北九州市地域防
災計画」の中で概括的な災害廃棄物の処理計画を立て、
市内の日明工場を含む3工場の災害廃棄物を迅速、確実
に処理し、環境衛生の万全を期することが求められてお
り、大規模災害にも対応した安定・効率的な処理を目的
とする。
3.他都市ごみの安定的受け入れ
本市は連携中枢都市圏構想に基づく「北九州都市圏域」
の中枢都市として、同圏域3市5町の一般廃棄物を受け
入れ処理を行ってきていることから、今後も安定的に継
続することを目的とする。
--------------------------------------------------
事業内容:
延床面積 約 14,000 ㎡~16,000 ㎡
焼却方式 全連続燃焼式ごみ焼却炉(ストーカ式)
施設規模 508t/日(254t/日×2 炉)
余熱利用 高効率発電設備による発電、蒸気・温水によ
     る場内利用
--------------------------------------------------
事業日程:
2016年度 循環型社会形成推進基本計画の中間見直し、
     公共事業事前評価1、環境影響評価
2017年度 技術検討会、PFI等導入可能性調査、環境影響
     評価
2018年度 公共事業事前評価2、環境影響評価
2019年度 要求水準書策定(PFI)
2020年度 PFI事業契約、詳細設計・着工
2021年度 竣工
2025年度 供用開始
事業目標:
1.市内発生ごみの安定処理:各年に発生するごみ量の
 100%
2.災害対応力の強化:新日明工場の供用開始
3.他都市ごみの安定的受け入れ:協定に基づき受け入
 れるごみ量の100%供用 

事業会計:事業費及び財源

管理運営方法:
本事業は民間の創意工夫等を活用し財政資金の効率的使
用や行政の効率化を図るため、PPP/PFI 手法を用いた事
業スキームを検討した。結果、本事業は 30 年間の事業
期間において当初の20年間を BTO 方式*により事業を実
施することが、コスト面で優位であった。そのため、管
理運営はBTO方式により受託した民間事業者が実施する
こととした。
* BTO(Build-Transfer-Operation)方式とは、民間事業
者が民間の施設として設計建設を行った後、市に所有権
を移し、民間事業者が運営・維持管理を行う事業形態の
こと。資金調達は民間が実施する。

 支出:管理運営 コスト収支予測
1.
維持管理・運営費
現在、工場の運転・受入については委託をしている。施
設の日常的な維持管理については同じ委託の中で行って
いるが、修繕工事や整備委託等は市が直接発注を行って
いる。今回は BTO方式を採用することにより、修繕工事
等についても受託した民間事業者が発注することになる。
以上を踏まえ、コストを設定した。なお、事業者が SPC
を構成する場合、そのための一般管理費等が発生する。

⮚ごみ1トン当たりの維持管理・運営費試算(筆者)
 10.0765625億円/年÷508トン/日=5.434円/トン
 収入:
1.自己搬入手数料:工場では排出者が自らごみを持ち
込む自己搬入も受け付けている。自己搬入は持ち込むご
みの重量に応じて、100 円/10kg の手数料を徴収してい
る。市内発生ごみのうち、自己搬入によるものはおよそ
半数であり、それによる手数料は3工場で年間 1,600
百万円程度である。
2.他都市ごみ手数料:一般廃棄物を受け入れる他都市
(3 市 5 町)からは 3工場で年間約 1,500 百万円の受
入料金を徴収している。
3.売電:現 3工場では、ごみを焼却した際に発生する
熱を利用し蒸気を発生させ、これを利用して蒸気タービ
ンを稼働させることにより発電を実現している。発電し
た電気は工場の稼働に利用し、余った電気は電力会社に
売電することにより、収入を得ることが可能である。新
工場においては、蒸気仕様を現工場の260℃ 2.11MPa
から 400℃,4MPa へと設定した結果、現工場は発電機出
力が 6,000[kW]であるのに対し、10,000[kW]以上の出力
が想定されるものとなった。これにより、売電量は以下
のとおり増加することが期待される。




⮚環境リスク評価がないので、売電料金(熱電変換効率)
 がアップすれば「ごみ処理事業」は"儲かる事業"とな
 り住民への還元となるが、本当かな(筆者)。


施設の課題(①) 焼却工場の耐用年数は概ね20年であ
るが、本市ではごみ焼却施設を構成する重要な設備や機
器について、大規模な改良を行う基幹的設備改良工事を
実施、施設状況に応じて寿命を3 0~35年まで延長
して使用している。日明工場は平成3年の稼働開始以来、
平成17~22年度の基幹的設備改良工事を経て27年
が経過しており、寿命到達が迫ってきている。また、設
備の故障リスクに加え、焼却炉の焼却能力も低下を続け
ており、現在の焼却能力は定格処理能力の80%を下回
っている。

※能力低下率[%]=(年間焼却量実績[t/年]÷焼却炉稼
働時間[h])÷(処理能力[t/日・炉]÷24[h]

                  この項つづく
【エピソード】

  
4月7日~14日が彦根城・宇曾川など周辺の桜が満開。
皆さん!お花見に出かけましょう。

【脚注及びリンク】
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