作成日:2019.12.19|更新日:2019.12.20
年末も押し詰まり後12日で令和2年を迎えます。今年
一年何もしていなかったわけでなく、個人的な活動集約
(環境問題のコンサルとリサーチ成果)をまとめること
にし、特に今興味のある『地域循環共生圏』について特
集してみたいと思います。まず、個人的なリサーチ活動
は、主に、①再生可能エネルギー及びエネルギー貯蔵の
技術トレンドと②地球温暖化対策の国内及びにおき、①
については❶シリーズ「ラストマイル」から❷シリーズ
「ポストエネルギー革命序論」(本日の段階で、117
回まで)ブログ連載してきましたので閲覧下さい。また、
日々の動向については『環境工学研究所 WEEF』のホ
ームページ「最新注目情報」を閲覧下さい。因みに、今
日注目した情報は、今年11月に、新電力Looopの
新しい「Looopでんき0」プランの発表(下図クリ
ック願参照)です。
また、後者②の「世界的な枠組み動向」について。12
月16日、COP25は「パリ協定」ルールの一部合意
できずに閉幕しましたが、12月9日のブログで「20
70年平均気温が4℃上昇した世界」(Impacts of a
4℃ global warming)では、「極端な洪水と干ばつが広
がり、赤道近くの多くの国が放棄され、人々は流浪逃散
し、都市の洪水災害が頻繁に発生。海面が1メートル上
昇し、何兆ドルもの不動産が消滅。避難民の数は、国際
機関や政府の対処能力を圧倒し、多くの難民は高緯度ま
たは低緯度で生き残り定住を試みるが、多くは難民の旅
を終わることはない。国境への入国が拒否され、餓え、
紛争、有害な環境条件により死者が続出。伝統的な自由
市場資本は瀕死状態に直面し、自然は竟にバランスを改
善しはじめる」というシナリオ(動画)を掲載し、警告
を鳴らしています。
地域循環共生圏概論Ⅰ
①地域循環共生圏とはなにか
さて、環境省によると、18年4月に閣議決定した第五
次環境基本計画では、国連「持続可能な開発目標」(SD
Gs)や「パリ協定」といった世界を巻き込む国際な潮流
や複雑化する環境・経済・社会の課題を踏まえ、複数の
課題の統合的な解決というSDGsの考え方も活用した
「地域循環共生圏」を提唱しましたが、「地域循環共生
圏」とは、各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大
限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ地域の
特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の
活力が最大限に発揮されることを目指します。
②地域循環共生圈における、ESG地域金融の重要性
15年のパリ協定とSDGsの採択で、世界の潮流は大きく
変わりました。その中で日本が今後、どのような社会や
経済をつくるのか。その方針を示したのが『第五次環境
基本計画』です。日本は、50年にC02排出量を80
%減らすことにコミットしているが、残りは約30年し
かなく、ハードルとしてはとても高く、環境省は、日本
ならではの特色を活かし、地域・循環・共生をキーワー
ドに社会・経済を循環させるシステム〈地域循環共生圈〉
を掲げました。これは、環境の分野を超えて、地域の多
様なステークホルダーによる----ここで、ステークホル
ダー(stakeholder)とは、企業・行政・NPO等の利害と
行動に直接・間接的な利害関係を有する者=利害関係者。
具体的には、消費者(顧客)、従業員、株主、債権者、
仕入先、得意先、地域社会、行政機関など----自発的な
取り組みを促進し、地域で、人・物・金・技術など多様な
要素を循環させ、『地域を元気にしていく』という構想
ですが、その中では、実物経済の裏側で至るところにお
金を流すESG地域金融--- ESG(環境・社会・ガバナン
ス)要素を考慮した融資等を通じて事業者を支援し、地
域の持続可能な成長を目指す動き----だが欠かせない存
在。しかし、直接金融よりも間接金融が中心の日本では、
ESG 融資の拡大が重要とされています(「〈地域循環共
生圈〉実現のカギは金融にあり-- 『ESG地域金融』で地
域を元気にする」環境ビジネス、20年冬季号より)。
特に地域金融機関によるESG地域金融が普及していく
ことで、全体的なインパクトの創出につながると考えて
います。
③知見を共有し、ESG地域金融を促進
環境省は、地域の資金調達の主体となる地方銀行や信用
金庫、信用組合などの地域金融機関と地域企業力パート
ナーシップを組む流れを推進する構えだ。まずはESG
地域金融へのモメンタムを全国津々浦々に広げるため、
全国キャラバン『事例から学ぶESG地域金融のあり方」セ
ミナー』 をはじめ、 ESG要素を考慮した事業性評価のプロ
セス構築支援や、地域におけるESG融資に対する利子補給
などESG地域金融に取り組みたいと考えている地域金
融機関の後押しを行っており、3月に公表した先行事例
集『ESG 地域金融のあり方』では、例えば滋賀銀行の事
例を紹介をおこなっています。滋賀県の地元企業が実施
する画期的な新規事業にSDGsの観点から投融資を行った
という事例で、滋賀銀行が本業として環境経営を取り組
まれており、短期的な利益を追求せず、長期的な視点で
事業の継続性やインパクト、企業価値を捉えられている
ことを賞賛しています。また、 ESG地域金融の推進は、
環境省と金融庁がタッグを組むなど、省庁間の壁を越え
た一体的な取り組みも特徴的。金融庁は金融機関を監督
するという立場にあるが、同庁とは良いパートナーシッ
プのもと、一緒に取り組んでおり、これからは、ありと
あらゆるチャネルや人と人との繋がりを捉えて進めてい
くことが求められていると環境省の担当責任者(中井徳
太郎総合環境政策統括官)は環境ビジネスとのインタビ
ューで語っています。
④ESG地域金融の今後の展望とは
環境省は、ESG地域金融の拡大に向けて、地域の資金
調達の主となる地域金融機関と、地域企業力パートナー
シップを組み、ともに中長期的な価値向上を目指し、ビ
ジネスを行っていく今の流れをさらに広げていくという。
このような地域金融への期待を、地域金融機関が全国か
ら集まりネットワーキングするイベントが10月に東京
で開催され、環境省も今回、初めて出展し、地域金融機
関の皆様が、それぞれのエリアを越え、企業同士がサプ
ライチェーンを結ぶ新たなマッチングが生まれ、各々の
地域の資源を活かす理想的なパートナーシップがあちこ
ちで実を結んでおり、地域金融機関のネットワークカに
は改めて驚き、今後、地域におけるビジネスを永続的に
循環させていくためには、このように地域金融機関や行
政を上手く巻き込みながら、地場に根付いている企業が
強みを活かしてプレイヤーとなるなど、パ-トナーシッ
プの重要性が大きくなる見通しで、いまの地球の状況は、
人でいう慢性病にかかった状態で、すぐにでも体質改善
しなければ、取り返しのつかないことになります。
これからの時代は、とってつけたような環境経営ではな
く、長期的な企業価値向上に向けた事業ポートフォリオ
の変更など、企業の“体質改善"が求められますが、日本
全国各地には、それを適切に支援してくれる地域金融機
関という心強い味方がいます。企業の皆様とうまく連携
しながら地域で一体となって取り組んでいただければ、
素晴らしいコラボレーションが生まれると信じていると
そう話しています。
❐ここで、持続可能な開発目標への直接投資でなく、
日本的な間接的投資が強調されていますが、少し違和感
をもちました。それというのは、二酸化炭素等の温暖化
ガス削減には①主に太陽光・熱及び②風力並びに③二次
電池(ユーティリティ型/分散型)と④二酸化炭素等の
温暖化ガスの吸収(吸着)除去回収、⑤地下化石燃料を
使用する火力発電、核燃料の発電の漸次撤退への積極的
な直接投資の促進をと考えています(『ポストエネルギ
ー革命序論』は技術・経済的側面から実現可能性の担保
として連載しています)。しかしながら、より丁寧に、
計画実行し目標達成させるための戦略ツールであること
の意味を否定するのではありません。
この項つづく
【エピソード】
会員の皆様へ
この間、平日夕方に近くの日本料理魚忠で打ち合わせよう
と電話予約の条件を尋ねると①前日までの予約と、②2人
以上ということでした。平日のランチなら、部屋さえ空いてい
たなら、価格や足下が明るいので利用しやすいが、夕方ぶ
らっと上がり会席を取るには便利悪いことがわかりました。
恒例の新年会(総会)は、平日のランチ時間に計画してみ
ませんか。
【脚注及びリンク】
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- 『ESG地域金融』で地域を元気にする 環境ビジネ
ス 2020年冬季号 - 滋賀県に根づく『三方よし』の経営を実現, 環境ビジ
ネス,2020年冬季号 - 米国 風力発電2019年水力を抜いて一躍トップに:ラス
トワンマイル23、ごくとうごくらく 2019.02.24 - 2070年平均気温が4℃上昇した世界 ごくとうご
くらく 2019.12.09 - 「よくもそんなことを」グレタ・トゥーンベリが気候
サミットに登壇 スピーチ全訳, BuzzFeed, 2019.09.24 - 気候変動が生む、新たな「アパルトヘイト」,GNV,2019.
12.15 - ほぼ日刊イトイ新聞 - 親鸞 Shinran、2007.10.12
- NHKスペシャル 被曝の森2018 見えてきた“汚
染循環” 赤かぶ 2018.02.25 - 天正地震 Wikipedia
- 滋賀県出身の人物一覧 Wikipedia
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