除染技術とびわ湖

2012年02月11日 | 防災と琵琶湖

 




今回は、水の除染方法を考えてみました。このケースは
学校などのプールに含まれる放射性物質の除去方法を参
考にしてみました。


【除染技術目録】

1.各除染対象に関する技術
2.家屋(その他の建築物)・庭
 A1:屋援、屋根上の清掃、拭き歌り、プヲシ洗浄
 A2;屋根、屋根上等の放水(高圧)洗浄
 A3:雨樋、側溝等の清掃、洗浄
 A4:壁の削り取り、屋根の撤去・葺き替え
 A5:庭等(狭い土地)における表土等の除去
B.道路
 B1:道路(舗装面)の清掃、洗浄
 B2:道路や側溝の除染
 B3:舗装面の剥ぎ取り
 B4;未舗装の道路、のり面の土面における表土等の除去
C.学校・保育所・公園など
 C1:広い土地における表土除去(主に重機使用)
 C2:芝地の除染
 C3:土地表面の被覆(上下層の土の入れ替え、芝等の被覆)
 C4:拭き取り、剥ぎ取り(金属面)
 C5;拭き取り、剥取り(木面)
 C6:砂場の除染
 C7:プールの除染(吸着剤を用いた水中の放射性物賞の除去)
D.街路樹など生活圏の樹木
 D1:街路樹、公園、庭などの生活圏の樹木の除染
E.森林(住居などからの近隣の部分)

 E1:住居などの近隣の森林の除染
F.農地
 F1:農地の表土削り取り
 F2:農地の芝、牧草の剥ぎ取り
 F3;反転耕(土層の天地返し)
 F4:水田の土壌撹拌(代かき)、除染
G.除去物の減容化を可能とする技術


【プール除染】

-吸着剤を用いた水中の放射性物質の除去-

プール等の屋外で溜まった水に含まれる放射性物質を除去
し,放射能測定による安全確認をしたうえで排水する。この
除去過程では,ゼオライト等を用いて放射性物質を吸着させ
浮遊物とともに凝集,沈殿させる。排水後に残存する沈殿物
は,除去物として適切に管理する必要がある。

除染方法

学校のプール除染の実証試験で実施した手順は下記のとお
りである。

・深さ毎に水の放射能を測定し,排水の目安とする基準未満
 の層にある水は順次排水していく。
・網などですくい取れる落ち葉等は,バット等の水を受ける容
 器の網かごに集めて水を切り,ビニール袋に保管する。バ
 ット等に溜まった水は,プールへ戻す)。
・水でといだゼオライトを投入したポリタンクへプール
 の残存水を注入後,水が撹拌さ
れている状態で凝集剤
 (PAC,ポリ塩化アルミニウム)を注入する。凝集剤
 の注入
後にpH を測定,必要に応じて中和処理を行う。
 なお,排水の基準を満たさない場
合,この処理を二次
 三次的に実施する。
・凝集剤の注入後は,沈殿を待ち,放射能測定後にタン
 クの上澄み水を排水する
・プール,タンク内の沈殿物を脱水処理して,保管する。
・プールを清掃する。


除染に必要な機器(代表的なもの)

・吸着剤(ゼオライト) ・凝集剤(PAC:ポリ塩化アル
 ミニウム) ・pH 調整剤

・中和剤・タンク(1t 程度) ・分析用容器・麻袋(沈
 殿物保管) ・秤量器
・送水用ポンプ・ホース・バグフィルター・送水機能の
 動力源(燃料,電源)
・清掃用品・防水用品(長靴,ゴム手袋等) ・マスク
 等

必要な安全対策

・除染を通じて,効率的な放射能測定により,排水に含
 まれる放射性物質の量が安全目安を下廻ることを確認
 するとともに,吸着,凝集処理を行う水の量を減らす。
・吸着剤,凝集剤を使用するため,化学的な安全にも注
 意を払う必要があり,水素イオン濃度(pH)については
 5.8~8.6 を遵守する。
・除染作業でプールに沈殿した泥,手作業で除去した落
 ち葉等を除去物として適切に保管する。除去物の保管
 でブルーシートが濡れないようにする。

作業による放射性物質の低減効果

福島県内の幼稚園のプールで実施した試験では,放射性
セシウムの濃度(平均)が4,312Bq/L から123Bq/L に減
少させた事例がある。

除染作業の工数

学校のプール除染の例を示すが,大きさ,状態により,
必要な人員,日数は異なる。

①人員20 名程度

内訳)管理者:1 名,ポンプ作業:4 名,サンプリング・
放射能計測:4 名,清掃作業:7 名:その他スタッフ:
3名

②時間の目安

・作業の概要説明1 時間
・排水路の確保土砂の撤去などで0.5 日
・作業前の放射能測定プールで測定点を決め,サンプリ
 ング水を測定3 時間
・プールの上澄水の排出1 日
・タンクでの水処理1.5 時間(1t 当たり)
・沈殿物の水抜き量,天候等により,0.5~2 日
・沈殿物の処理。袋詰め1.5~2 日
・プール清掃0.5 日
・後片付け3 時間

備考

プールの他,人工池等の屋外で水を貯めている施設で,
固液分離により上澄み溶液を排出し,残存する汚染沈殿
物を回収する場合にも応用できる。

出典


「学校プール水の除染の手引き」の公表について(
(平成
23年9月7日国立大学法人福島大学(独)日本
原子力研究
開発機構プレス発表資料)


【エピソード】

【脚注及びリンク】
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1.除染技術カタログ、2011.11.23 内閣府原子力
  被災者生活支援チーム
2.EURANOS 除染技術データシート翻訳V1.0.2011.8
3.平成23年度「除染技術実証試験事業」公募結果
4.平成24年度「除染技術実証試験事業」2012.1.20
5.学校プール水の除染の手引き,2011.9.7

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