調査員の「目」

 日常の何気ない雑感とつれづれ日記。

越王勾践(燃ゆる呉越)

2008-12-06 | 日記・雑感系
 「呉越同舟」「臥薪嘗胆」の故事成語で知られる春秋時代の呉越の戦いを描いたDVD「越王勾践(邦題:燃ゆる呉越)」が非常に面白い。簡単に言うと約2500年前の中国(華中・華南)で、呉の王・夫差【ふさ】に負けた越の王・勾践【こうせん】が奴隷として艱難辛苦に耐えながら、越王に復帰して10年余り(史記では民政回復に10年、兵力の練兵に10年の約20年としている)を費やし、力を蓄え呉に復讐するまでの物語である。
 
 
 呉王・夫差。父・闔閭【こうりょ】を越王・勾践との戦いで負った矢傷が原因で亡くし、越への報復に3年かけて復讐した呉王夫差。この役の人は「レッドクリフ」の劉備役を演じている人だ。 


 越王・勾践。呉王夫差に会稽山【かいけいざん】の戦いで敗れ、呉の奴隷として筆舌に耐え難い恥辱・屈辱の日々を送りながら復讐を心に誓い(獣の肝を舐めて【嘗胆】)、約20年(史記:DVDでは12年)の時を耐えて、呉王を破って中原の覇者になる。

   
 越の上将軍・軍師 范蠡【はんれい】。越王勾践に仕え、復讐を助けた名軍師。イメージにぴったりの配役。史記では「越王は首が長く、口が黒くて尖っている。苦労は人に分かつことが出来ても、楽しみは分かてぬ人柄です。」と文種【ぶんしょう】に対する手紙に書き送り、越を去って後に「鴟夷子皮(しいしひ)」→「陶朱公」と名を変え、巨万の富を築く。 

 
 呉の相国【しょうこく】・伍子胥【ごししょ】。元は楚の人だったが讒言により父と兄を楚王に殺され、呉に亡命。後に先代呉王の闔閭を助け、楚に攻め入った際に楚王の墓をあばいて、死体に300回のムチを打ったのは有名。常に勾践(越)は殺すべきと呉王夫差に諫言し、後に夫差から自殺を命じられてしまう・・・。史記で「私の目は都の東門にかけておけ!越軍の入城を見届けてやる」と言い残したという。ちなみにこの役者は「三国志(中国中央電視台製作)」で曹操を演じている。どちらもハマリ役である。
 

 役者の配役が(レッドクリフとは違って?)イメージにぴったりで、演技も巧く次のストーリーを早く見たくなってしまう。特に越王・勾践が奴隷として馬小屋で働く場面や夫差の馬車を引く場面、越の女性が馬小屋で呉の男達にレイプされてしまうのに(「陛下~!陛下~!助けてください~!」と泣き叫ぶのに)助けることもできない地獄のような辱め、息子の瑛【きえい】が伍子胥の配下の端科【たんか】の策謀により自分の目の前で(!)殺されてしまう場面、常に勾践を殺そうと策謀を巡らす伍子胥と主君を守ろうとする范蠡との智慧の戦いなど見所はつきない。また姑蘇台【こそだい】からの風景も絶景だ。14巻(全41集)を一気に見てしまった。
  
 奴隷の時の髪を下ろした勾践は日本のお笑い芸人の「笑い飯(西田幸治)」に少し似ているような気がする(笑)。

 こういった「臥薪嘗胆」の故事をテレビで見ている中国人のメンタリティを考えると、いつかそのうち「日本に復讐を」という気分がわき上がってきそうで怖いものだ。

 ちなみに孫子の兵法で有名な孫武【そんぶ】将軍は、夫差の父・闔閭に仕えていた。闔閭に「女たちでも(孫子の)兵法で統率・練兵できるのか?」と問われ、後宮たち190人を練兵し指示に従わなかった責任として、闔閭が寵愛していた2人の側室を斬って殺したのはあまりにも有名な史実・・・。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (無双亡国)
2012-04-28 00:01:27
こんにちは、ケーブルTVで最近見ましたが
ストーリーといい、時代考証、風景といい、配役も最高ですね。 ハマってます。
ところで、勾践の銅剣が湖北省江陵県望山1号墓から見つかったとか。 初回と最終話に剣が出ていたのでそれかな?ロマンも感じさせます。
返信する

コメントを投稿