調査員の「目」

 日常の何気ない雑感とつれづれ日記。

「史記 全8巻(徳間文庫)」

2007-02-09 | 書評系
 「史記 全8巻(徳間文庫)」各巻1,200円(税込)
 2005年10月に創刊25周年を記念として司馬遷の「史記」が徳間文庫シリーズで装いを新たにして登場。

史記1 覇者の条件
   ~三皇五帝の聖王伝説時代から春秋末期の呉・越抗争(紀元前5世紀)まで~
史記2 乱世の群像
   ~戦国時代(前403年~前221年)~
史記3 独裁の虚実
   ~秦帝国の成立と滅亡~
史記4 逆転の力学
   ~漢楚の死闘 項羽と劉邦登場~
史記5 権力の構造
   ~呂后専権から武帝の時代へ~
史記6 歴史の底流
   ~<列伝>を中心に人間の様々な生き方を見る一巻~
史記7 思想の命運
   ~中国人の思考の源流さぐる~
史記8 「史記」小辞典(私は未購入)
※~の文言は本の帯に書いてある文言またはカバー裏の文言、後は私が勝手に記載

 徳間文庫シリーズの「史記」は本のカバーの質も良く、文字もやや大きめで読みやすい。文庫版刊行にあたって三つの特徴があると書かれてある。
 すなわち
1.流れがつかめる -歴史の始まりから漢代までの流れを構成に工夫
2.読んで分かる  -翻訳だけですらすらわかる古典を目標とした
3.原典を参照できる-原典ですぐに探せるようにした
 ということだそうで、特にこの訳文だけですらすら分かるというのはその通りだと思う。
 「史記」や「十八史略」を読むと人間がいかに利害得失に左右されて生きているか、人の心やこの世の無常を実感させられる。同時に中国の歴史では【禍根】を残さないために一族郎党皆殺しにする場面が非常に多く、呂后【りょこう】の戚婦人【せきふじん】に対する残忍な復讐劇などを見ると中国人の思考の底流が見え隠れして非常に興味深い。
 また、太公望呂尚、管中、楽毅、項羽、劉邦、劉備、曹操、孫権など多彩な人物が沢山でてくるのも面白い。項羽と劉邦三国志は中国のテレビ局が作ったDVDもレンタルできるので、それを見ると一層流れが分かりやすくなる。宮城谷昌光さんや陳舜臣さんの小説もお薦めだ。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿