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調査員の「目」

 日常の何気ない雑感とつれづれ日記。

太陽の王ラムセス1~5巻(クリスチャン・ジャック/角川文庫)

2006-05-05 | 書評系
 好きな本の紹介。
 『太陽の王ラムセス1~5巻(クリスチャン・ジャック 山田浩之=訳/角川文庫)』
 本書の舞台は現代を遡ること3300年前の紀元前1300年頃のエジプトで、エジプト史上最も偉大なファラオと呼ばれた”光の息子”ラムセス二世の物語である。年代には諸説あるものの、ラムセス二世の在位は66年間に及び、90歳で没したとされ、アブ・シンベル神殿を築き、非常に多くの子をもうけたと伝えられるほか、カデシュの戦いではヒッタイトの大軍を撃退して、平和条約を締結するなど非凡な才を見せた(※カデシュの戦い)。
 
 著者のクリスチャン・ジャック(1947~)はフランス人、ソルボンヌ大学で哲学と古典文学を学び、後にエジプト学で学位を取得した人物である。
 本書ではラムセス大王の少年期から90歳で亡くなるまでの足跡が、クリスチャン・ジャックの様々な知見に基づいて描かれているのだが、特に私が好きなシーンは3巻の「カデシュの戦い 第八章死闘」におけるエジプト軍絶対絶命のピンチからのラムセス二世による神懸かり的な逆転劇だ(笑)。アメン神の力を得て、ヒッタイト兵をただ一人で蹴散らす様は小説ながらも圧巻で、ヒッタイト皇帝ムワタリに「あれは人間ではない」と語らしめしたのは痛快だった(笑)。ほかにもクリスチャン・ジャックの小説を特徴づける動物の描き方はユニークで、カデシュの戦いでラムセスと共に死闘を演じた300キロを超す巨体のライオン”殺し屋”、犬の”門番”なども外せないキャラクターだ。
 また、ファラオになれなかった兄・シェナルの陰謀が早く露見しないか、イライラするのも見所なほか、出エジプト記の預言者モーゼも本書では同時代人として扱われており、少年期からのラムセスの親友で上品で洗練された外交官アーシャ、蛇遣いのセタオー、ファラオの「履き物係」で睡眠時間を殆ど取らない専属書記のアメニ、ラムセスを闇の力から守り続けた最愛の王妃ネフェルタリなどの魅力的な人物たちも心が躍る。読み始めると中々止まらず、仕事がやや疎かになり、睡眠時間も減ったが苦にならず、そのまま「光の石の伝説Ⅰ」へ続いてしまった(笑)。
(シリーズ各巻) 
 太陽の王ラムセス1               1,000円
 太陽の王ラムセス2 大神殿         1,000円
 太陽の王ラムセス3 カデシュの戦い      857円
 太陽の王ラムセス4 アブ・シンベルの王妃 857円
 太陽の王ラムセス5 アカシアの樹の下で  857円

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