調査員の「目」

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軍師・佐々淳行「反省しろよ慎太郎 だけどやっぱり慎太郎」(佐々淳行著/文藝春秋社)

2007-10-20 | 書評系
 佐々淳行さんの最新刊。

軍師・佐々淳行「反省しろよ慎太郎 だけどやっぱり慎太郎」(佐々淳行著/文藝春秋社)
1,850円(税込)
著者:佐々淳行(さっさあつゆき)氏
 昭和5年(1930年)東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。目黒警察署勤務を振り出しに、警視庁調査・外事・警備課長を歴任、「東大安田講堂事件」「連合赤軍浅間山荘事件」等では警備幕僚長として危機管理に携わる。その後、三重県警察本部長、防衛庁官房長、防衛施設庁長官等を経て、86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。2000年、第48回菊池寛賞を受賞。2001年、勲二等旭日重光章受章。著書多数。

 今年の3月に行われた東京都知事選では当初、現職の石原都知事は「贅沢な海外出張」「四男への公私混同の公費支出」「側近との料亭・高級レストランでの豪遊」などをネタに朝日新聞や週刊誌を中心に強いバッシングを受け、民主党から浅野史郎氏が立候補したことで「反・石原」の流れ・ムードが形成され始めるなど、厳しい選挙戦が予想されていた。

 その流れを「反省しろよ慎太郎 だけどやっぱり慎太郎」のキャッチフレーズを掲げて、石原都知事の三選に大きく貢献した選挙対策本部長・佐々氏の”戦記”が本書に収められている(最初の稿「石原都知事選対本部長かく戦えり」)。

 選挙戦における戦いにも読み応えがあるほか、石原都知事が当選した意味を『文明批評的にいえば、時代の「不安」に脅えた孫達が、綺麗ごとばかりいって頼り甲斐のない、全共闘、団塊の世代の「父」を越えて、戦前、戦中、戦後を知り、米・中・朝にも毅然として対応する誇り高い昭和一桁の雷「祖父」を為政者として選んだことになる』と客観的に分析してみせるなど、単なる「選対日誌」に終わっていないところにも改めて佐々氏の頭の良さを感じさせてくれている。

 その他、月刊誌「諸君!」に寄稿された最近の佐々氏の論が読め、お得である。

 良書。

 ちなみに、佐々氏が本書の中で「筆者の知る限り、現代最高の軍師は、やはり後藤田正晴さんだった」と述べておられるが、佐々氏をしてそこまで言わしめる後藤田氏は本当に凄い方だったのだろう。
 
 佐々氏も後藤田氏のように長生きして引き続き日本のために尽くして頂けることを蔭ながらお祈りしています。

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