井の中の蛙 goo

平成29年5月29日から「法定相続情報一覧図」の保管申出・交付が始まりました。

登記識別情報通知(書)は、登記済証ではありません。

2007-11-16 | 不動産登記
登記識別情報は12桁の英数字で、法務省の説明では「本人しか知らない情報」と言うことになっています。
実務では、本人には目隠しシールを貼ったまま保存するように説明しておりますので、本当は「本人も知らない情報」です。

法務省の説明では、パスワードのように感じられますが、実体は国が登記官の責任免除のために、登記名義人を特定するためのIDです。

この「本人も知らない情報」である12桁の英数字を、次回登記申請の際に提供することで、登記所(登記官)は、申請人が登記名義人本人であると確認できる制度になっています。

登記識別情報通知(書)は、12桁の英数字を印刷した書面で、登記名義人であることを確認するために、次回申請時に提供すべきものではありません。

実務では、多くの司法書士が、12桁の英数字が印刷された登記識別情報通知(書)を、従前の登記済証と同等に扱っています。しかし、登記申請書の添付情報は、登記識別情報通知(書)ではなく、12桁の英数字です。

登記識別情報の廃止を求める最大の理由は、本人も代理人である司法書士も、12桁の英数字が有効なものであるかどうかを判断することができないためです。

有効確認する制度はあるのですが、司法書士が確認するためには、本人の実印で押印した委任状と印鑑証明書が必要で、取引前に印鑑証明書の提供を受けることができず、有効確認もできない場合があります。

名義人の意思により失効する場合のほかにも、平成18年の「不適切な登記識別情報」の場合は、不動産登記法の規定も無いのに、職権で失効の手続きがされました。

登記識別情報通知(書)が本物であって、当初のシールが貼ってあっても、シールの下の登記識別情報(12桁の英数字)は、失効している場合もあるのです。

失効制度があるため、確認した時点で有効であっても、次の瞬間には失効している可能性があり、登記識別情報通知(書)を登記済証と同等に扱うことはできないのです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする