靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

「NOと言ってあげてください」、に思う

2011-09-29 00:10:11 | 子育てノート
お世話になっている小児科の病室に、「どうぞ小さな頃からNOと言ってあげてください」というタイトルの記事の切抜きが貼ってある。

可哀想だからとなるべくNOと言わないようにして育てると、我慢のできない自分勝手な人間になってしまうと。自分の思い通りにならないときにどう対処していいのか分からない人間になってしまうと。そしてそれは最近の親の子育てによく見られる傾向だと。

よく分かる。世の中には「したいと思ってもしてはいけないこと」というのがある。

それでも「NO!」「NO!」と大人の論理から言いまくるだけ、というような簡単な事でもないと思う。そんなことでは返って「NO!」の威力も落ち、違った意味で「NOに免疫」がついてしまう。

小さな頃は、なるべく「NO」と言わないでいい環境を整える。触ってはいけないものや、危ないものをなるべく減らすようにし。細かい大人のルール的なことには目くじらをたてないようにし。ここぞというときの「NO」が子どもの心に響くように。

私の内では、「自身や他人の安全を侵す」、「他人が大切にしているものを踏みにじる」、「相手を傷つけ自分だけが楽しむ」、「約束したことを破る」、これらだけは小さな頃から一貫して「NO」と示そうと決めている。と言うと何だか子育てのしょっぱなから確固として決めていたようだけれど、あちらこちらにぶつかり失敗を繰り返しながら少しずつ「これだけは」という境界を見つけ出していったという方があっているだろう。それでも境界がはっきりとせずそうそう一筋縄にはくくれないこともある。

試行錯誤しながら大切だと感じるようになったことに、「NO」の背後にある親の姿勢のようなものもある。「NO」と言った後にはしたいという気持ちを必死で我慢する子どもにまずは寄り添うといいように感じている。この世にはしたくてもしてはいけないことがあるのだということを受け入れようとする子どもの悔しさや悲しみみたいなものに寄り添う。小さな子なら抱っこしてきれいな景色をみせるなどしながら、興奮して泣きもしているだろう背中をとんとんと叩いたり。「NO」を変えることはせず、それでも子どもの内にある感情に寄り添う。

気持ちに共感してもらい温もりに触れることで、子どもがすっと「NO」を受け入れる瞬間がある。頭で理解して受けれいるというよりは身体にしみ込んでいくというような感覚。

そんなことを繰り返す内に、外からの押し付けではなく、子どもの内に律のようなものが育っていくのかもしれない。

乳腺炎、対処あれこれ

2011-09-29 00:07:55 | 子育てノート
また乳話になるのですが、乳腺炎について。菌が入って炎症を起こすものと、母乳が詰まって起こるものとがあるよう。

対処の仕方がこちらと日本とで正反対ともいえるほど違ったのが興味深かった。

5人とも数回ずつ乳腺炎を患った。いずれも産後3ヶ月の間に。産後すぐにだけ患ったというのは、新生児の飲む力や量の少なさ、産後母体の免疫力が落ちていることが大きかったのだろう。

新生児の世話で寝不足続きのなか、炎症からの高熱、赤く腫上がった胸は歩く振動でもしばらく立ち止まりやり過ごす必要があるほど痛む。「ようこそこれであなたも仲間に!(Welcome to the club!) こんな世界があったなんて知らなかったでしょ?」フラフラの状態で病院にたどりついた私に、いつもユーモア溢れる担当の産科医が手を広げ笑いながら言った言葉が忘れられない。

こちらでは、まず抗生物質(赤ちゃんに害のないとされる種の)を呑む。そしてシャワーやカイロなどでとにかく「温め、赤ちゃんに飲ませるなり絞るなどして、どんどん出し流れをよくしていく」。

ちょうど乳腺炎の渦中にあるときに日本の親戚が産科医に対処法を聞いてくれたことがある、その後も日本の友人に聞いたりネットなどで調べてみると、日本の産科医ではまずは冷やして母乳を止める」ところが多いそうだ。まずは止めて炎症を治す、そして治ったら母乳再開。

体験から言って、温めて出し流れをよくしていく方がしっくりとくる。冷やして止めてしまったらせっかく出始めていた母乳を再開するのも大変だろう。乳児だって母乳よりも出やすい哺乳瓶の口に慣れてしまえば、母乳に戻ることを嫌がるようになるかもしれない。

日本でも、助産院や桶谷式などでは温めてマッサージなどでしこりをほぐしながら赤ちゃんにどんどん飲ませていくという方式をとっているらしい。この桶谷式などの母乳マッサージというものを一度でいいから受けてみたかった。

何度も繰り返し患ったので、他にも色々な民間療法も試してみた。豆腐やジャガイモの皮やキャベツを貼り付けるなどなど。効果は、よく分からなかった・・・。多分即効性はないのだろう。その度抗生物質を呑むのも嫌で、結局4人目くらいからは病院へ行くことも止め自宅で治すようになった。「とにかく温めて飲ませる絞る」という方法で、胸の周りにカイロや湯たんぽを貼り付けまくり。

私の場合、乳製品や砂糖を取り過ぎるとてき面に詰まる、ということも分かった。乳腺が詰まるということが自分の身体を知るいいバロメーターになっていたと思う。詰まるということは血流が悪くなるということでもあり、授乳をしていない今でも乳製品や砂糖の取り過ぎには注意しようと思っている。

あの赤くはれ上がったしこり、痛み、発熱前の悪寒、きたっ、という感覚、必死で飲んでくれる赤ちゃんの様子、懐かしいような気持ちで思い出しつつ。